自然災害は生活困窮者を直撃する。求められる自然災害への対応とは?

(写真:ロイター/アフロ)

まず、西日本豪雨災害の被災者の方々のご無事を祈るとともに、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

日本は地震大国として知られているが、今回のような豪雨や台風など、気象関連の自然災害も頻繁に起こっている。自然災害の被害は死傷者だけではなく、長期的な影響も大きい経済的被害も甚大である。

世界全体で見ても、地震とそれに伴う津波、そしてハリケーン、台風といった豪雨・洪水を伴う自然災害は、死傷者数や経済的被害が大きい。

2016年だけでも豪雨・洪水に関する大規模な自然災害が世界中で多発している。

なかでもアメリカでは500年に一度、1000年に一度にしか起こりえないような規模の豪雨や洪水が甚大な被害をもたらした。

こうした大規模な豪雨・洪水を伴う気象災害は世界で今後さらに増加していくとみられている。

原因として、温暖化現象によって地球全体で水分蒸発量が増え、雨の量が多くなることを指摘する科学者も多い。

通常、建物、道路、水道管などの都市の根幹をなすインフラは自然災害を考慮して設計されているため、十分に発展した都市では多少の自然災害で大破するようなことは無い。

問題は、自然災害に対応するための建物や道路、排水の強度計算、そして被害が起こってからの救難救護・災害援助計画も、すべて過去の災害の記録に基づいて、必要最低限の対策を立てていることである。

500年に一度、1000年に一度という規模の豪雨や洪水を伴う自然災害が増えている現状では、こうした過去の記録に基づいたギリギリの対策が用をなさなくなりつつある。

自然災害は死傷者や経済的被害だけではなく、地域や国といった「コミュニティ」にも大きな影響を及ぼし、ときに連帯を促し、ときに断絶を露呈する。

たとえば、阪神淡路大震災の後、それに対応するようにNPO団体が増加し、日本にも「市民団体」の存在が広く認知されるようになった。

また、東日本大震災やそれに伴う福島の原発事故の対応では、日本全体で復興に向けた取り組みが、ときに同調圧力を伴って強調され、まさしく連帯と断絶の様相を呈している。

そして、見過ごしてはならないのが、災害と社会経済階層の関連性である。災害前の生活の経済的困窮度、社会とのつながりの弱さが、災害に対する脆弱性と直結するからだ。

たとえば、逃げ遅れることなく迅速に災害に対応するには、日ごろから対策を立てている必要があるが、それなりの経済力が無ければ洪水や地震にも対応できるような住宅に住み、十分な災害保険をかけることは難しいし、災害対策として、食糧や避難グッズなどを準備しておくのにも、経済的な負担はかかる。

経済的な余裕だけではなく、災害対策にかかわる情報に触れ、それを有効に活用するのにも、社会とのつながりや、教育レベルといったものが大きく影響する。

また、災害を逃れた後の復興や各種支援を受けるにも、もともとの生活の豊かさが大きく影響する。仮設住宅に長期間住み続けなければならない人たちは、災害以前から経済的困難を抱えていることが多い。安定した仕事や収入がなければ、家を建て直すローンも借りられない。

さらに、高齢者の場合、年金以外の収入のあてもなく、仮設住宅を出て新たな家をゼロから探すことも難しいケースが多い。そして、社会経済階層の低い人ほど災害後のうつ状態などの精神的ダメージも大きい。

まず、今後ますます増えるであろう、超大規模な豪雨・洪水を伴う自然災害に対して、過去の災害の記録から、必要最低限の対策を立てる方法を見直し、想定される災害規模の最低ラインを上げる必要がある。

また、物理的な災害対策を強化するだけではなく、日ごろの災害対策をどう国民に知らせるのか、また災害からの復興支援において、被災者の多様な社会的、経済的バックグラウンドを考慮した対応を立てるべきである。

特に、高齢者の貧困率は働き盛りの人たちより高く、自然災害が起こるのは人口における高齢者比率の高い非都市部も多いので、高齢化が進む日本では生活困窮高齢者に対する支援は特に重要である。

画像
画像

Extreme Floods May Be the New Normal Communities should plan defenses and emergency responses based on the climate of the future, not the past

SAMHSA Disaster Technical Assistance Center Supplemental Research Bulletin Greater Impact: How Disasters Affect People of Low Socioeconomic Status

SCIENCE Disasters are getting worse. How much are we to blame?

Munich Re. (n.d.). The 10 biggest natural disasters worldwide by economic damage from 1980 to 2016 (in billion U.S. dollars). In Statista- The Statistics Portal. Retrieved July 12, 2018, from https://www.statista.com/statistics/268126/biggest-natural-disasters-by-economic-damage-since-1980/.

Munich Re. (n.d.). The 10 most significant natural disasters worldwide by death toll from 1980 to 2017. In Statista- The Statistics Portal. Retrieved July 12, 2018, from https://www.statista.com/statistics/268029/natural-disasters-by-death-toll-since-1980/.