在米日本大使館での外国人ビザ発給の悪待遇は観光立国への第一関門

在外公館のビザ発給の悪待遇は日本旅行への期待を半減させているのではないか。(ペイレスイメージズ/アフロ)

先日、在米日本大使館に友人(南米出身)の旅行ビザ申請のために訪れた。

小国や発展途上国の多くの国の旅行者は、日本を訪れるために旅行者ビザを取得する必要がある。旅行者ビザを取得するには日本人の「スポンサー」が必要だ。ビザ申請書になぜその外国人を日本に招くのかを説明し、署名をしなければならない。私は友人の申請書にスポンサーとして旅行目的を書き署名したのだが、彼が「ビザ申請ではどの国も待遇が悪いので、その国の人と一緒に来てもらったほうが心強いから有希子も一緒に来てくれないか。そのほうが確実だ」というので、「日本は観光立国を目指しているし、日本大使館は親切なはずだよ」と答えたのだが、どうしても一緒に来て欲しいというのでついていった。

大使館に行ってみてびっくりしたのだが、本当にありえないほどの待遇の悪さだった。今回、旅行ビザ申請で「申請する側」の立場にたってみなければ、日本のビザ発行の傲慢さにも気づかなかったし、こんな傲慢な態度で観光立国を目指すなどというバカバカしさに気づくこともなかっただろう。日本のためにもなると思うので、今回こうして記録しておくことにした。

外国人旅行者のビザ発行における差別という「試練」

まず、ビザ申請窓口に誰もいない。

中のオフィスには何人かいるのだがこちらを無視している。

数分後、やっと窓口に日本人の中年女性が来たかと思ったら、非常にぶっきらぼうに「ビザ?」と聞いてきた。(やり取りは全部英語)

友人が「はい、ビザの申請にきました」というと、何も言わずに指でガラスで覆われている窓口の下の方の小窓をコツコツとたたいて書類を出せ、という合図をしている。

「いらっしゃいませ。書類の提出をこちらからお願いします」くらい言えないのかと思って、まずその時点でこちらとしてはかなり違和感があったが、彼が何も言わないのでそのまま黙って横で窓口の女性の待遇を観察することにした。

彼女は私の怒りも知らず、そのままぶっきらぼうに書類をチェックしていくと、米国ビザ関係の書類をポンポンと指差して「コピーは?」と言う。

彼が「コピー?家にはコピーをとってあるけれど、それは現物です。現物が必要なのかと思って」と言うと、彼女はそれには答えず「なんでコピーとってこないの?コピー提出してよね。」というと、何も言わずに書類を持ってオフィスに引っ込んでいってしまった。

1、2分で戻ってくると、乱暴に「次回からはコピーを持ってきて」と言う。

そこではじめて私は、この人はコピーをとってきたんだなということがわかった。

彼女は引き続き書類をチェックし始めたが、そこには彼ひとり分の申請書類しかなかったので、私の方をちらっと見てから彼に「あなただけ?」というので、彼が「僕だけです」と答える。またしても返事は無く、そのままむすっと他の書類に目を通していく。

次に彼女は「飛行機チケットは?」とむすっと聞いてきた。

友人が「チケット?」と聞き返すと、女性は「チケットがないとビザ申請できない」と言う。

まるで「そんなことも知らないでビザ申請してるのか?」とでも言いたそうな口調だ。

彼としては「わかりました。チケットはすぐ買います。」と言うしかない。

何も言わず、そのまま他の書類にも目を通していくと、申請書類の中に私のパスポートのコピーを見つけて「あれっ?」といって、私の方を見た。

そして日本語で「日本の方でしたか!」と急ににこやかになって、あとはずっと私の方を見て日本語で書類の説明をしていった。

「この書類と、この書類が足りません。飛行機チケットと30日分の旅行の詳細な日程がないと申請できないので、残りの書類提出をお願いします」と言って「では、書類を準備してまた来てください」とご丁寧に会釈までしてくれた。

外国人旅行者が感じた日本大使館での差別

大使館を出て、彼が最初に発したのは「こんなにひどい待遇をされたのは初めてだ」という一言だった。

「有希子は常々、日本は外国人に対する差別がひどい国だと言ってたけれど、本当にそうなんだね。これまでいろいろな国の大使館にビザ申請したことあるけれど、あんなに態度の悪い対応をされたのことはない。どこの国もビザ申請はそんなに親切なものではないけれど、今回のやり取りに比べればよっぽど親切だしフレンドリーだ。」と怒っていた。

しかし、彼が一番おかしいと感じたのは、外国人の自分にはぶっきらぼうで、日本人の私には親切だったことだ。

「有希子が日本人だとわかったとたんにものすごい態度変えてきたよね。今まで、ビザ申請に行くときはいつもその国の友人についてきてもらったのだけれど、あれだけ態度が豹変するのを見たのは初めてだよ。あの態度、「日本に来るな」とでも言いたげだったよね。」と呆れかえっていた。

彼はさらに「ビザを申請しないと旅行に行けない国というのは、発展途上国か政治的に難しい国だ。そういう国の人たちには来てほしくないということか、そういう国の人たちは差別的な待遇をしても良いと考えているということだ。多かれ少なかれビザ申請ではそういう経験をしてきた。だが、今回のは最悪だ。」と、怒りをあらわにしていた。

そして「僕が言った通りでしょ?有希子が一緒だったからちゃんと説明してくれたけど、一緒じゃなかったらどうなってたかわからないよ」と、目を丸くしてこちらの意見を求めてきた。

私としては「こういう経験をしたことがなかったので、日本のビザ発給システムの傲慢さを知らなかった。これは看過できないのでブログで文句の記事でも載せるわ」と返事をした。

外国人旅行者はお客様なのに・・・

外国人旅行者にせよ就労ビザにせよ、彼らは日本に行ってお金を落とす「お客様」のはずなのに、在米大使館での対応からは、そういう意識が全く感じられなかった。

在外公館というのは本来、その国における日本の「顔」でもあるはずなのに、その窓口の対応が外国人に対して愛想も親切さもなく、むしろ嫌な思いをさせるというのは、対外的にも決してプラスにはならない。日本政府が外国人旅行者を少しでも歓迎する意思を持っているならば、ああいう態度をとる大使館員に対しては即刻、厳重注意をする必要があるだろう。

窓口のでのぶっきらぼうで不親切な対応のほかに、ビザ申請でいくつか違和感を持った点がある。

旅行者本人は銀行残高証明、日本に滞在中の旅程を1日ずつこと細かに説明した書類を提出しなければならない。そもそも旅行ビザ申請でここまでするのかということに驚いた。

一番おかしな規定は飛行機のチケットを提出せよ、というものだろう。

彼は「これまで様々な国でビザ申請を経験してきたが、こんなバカな規定は見たことがない。誰もビザが出るかもわからないうちから飛行機チケットなんて買わないよ。」と驚いていた。だからこそ、ビザ申請で飛行機チケットを持っていかなければいけないという規定を見落としてしまったのだ。

彼の場合はアメリカ在住でアメリカで仕事をしているので、チケットを事前に購入して、もしビザが却下されても大きな負担にはならない。だが、ビザが発行されるかどうかもわからないのに、日本と比べて平均収入も低い国の人に飛行機のチケット提出を求めるなどというのは、途上国の人々にとっては大変なリスクだし、下手したら日本旅行の計画そのものがご破算になる。そんなリスクを平然と課すような国が観光立国を目指しているなど、悪夢のような冗談にしか聞こえない。

こんなずさんで不親切な対応やビザ申請の規定で観光立国を目指すなどとはよく言えたものだ。

日本政府が「観光立国」を語るとき、そこに外国人側の視点がいかに欠けているかを、今回こうして旅行ビザ申請という外国人旅行者の「最初の入り口」のところで経験した。