レイプ被害者救済のために、ネットメディア、検索メディアがすべきこと

ネットメディアはレイプ・強姦が犯罪であることをちゃんと伝えているだろうか?(写真:ロイター/アフロ)

俳優の高畑裕太容疑者の強姦事件が問題になっていますが、現時点で一番問題なのは被害者の容姿や年齢など個人情報に関わる報道、被害者を非難しているサイトなどのセカンドレイプでしょう。

参考記事:勝部元気氏「高畑容疑者関連の報道、マスコミのセカンドレイプ助長がひどすぎる

この事件を受けて、まずはレイプ事件について調べてみようと思い、ネット検索をかけてみたところ、日本で「レイプ」「強姦」がどのように受け止められているのか、少なくともネット界隈でどのように認識されているのかを示すデータが出てきたので、今回はそれを中心に分析してみたいと思います。

まず、「レイプ」で検索して最初に出てくるのは「レイプ動画無修正」「強姦アダルトDVD通販」「レイプかわいい女子高生」などのAV動画ばかりです。「レイプは犯罪である」「レイプとは何か」といった説明や分析のサイトはほとんど出てきません。

一方、「強姦」で検索すると、やはり高畑容疑者の強姦事件がトップに出てきます。それに続いて「強姦の意味」「強姦罪で逮捕されたら」などの結果が出てきます。「強姦」の検索の最初の1ページ中で唯一、被害者側によりそったページは神奈川県警の「強姦(レイプ)神話とは」だけでした。

次に、より詳細な検索情報を知る為、トレンド分析をかけてみました。

まず「レイプ」でこの1ヶ月間のトレンド分析をかけると、「レイプ エロ」「レイプ 動画」「漫画 レイプ」「レイプ エロ 動画」「レイプ 無料」がトップ5の検索結果です。

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次に、「強姦」でこの1ヶ月間のトレンド分析をかけると、「高畑」「高畑 強姦」「強姦 致傷」「高畑裕太」「レイプ」がトップ5の関連検索として出てきます。

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高畑容疑者の強姦事件が起こる前の状況を調べる為、検索設定を2006年7月30日から2016年7月30日にして「強姦」で分析をかけてみたところ、トップ5の関連検索は「レイプ」「レイプ 強姦」「強姦 動画」「強姦 事件」「エロ 強姦」でした。

https://g.co/trends/cXUri

同じトレンド分析をアメリカの過去5年分について行ったところ、やはりレイプ動画に関する検索が上位をしめていました。

https://g.co/trends/CDtYX

ただし、アメリカの場合は「rape」で通常検索すると上位に出てくるのは「rape wikipedia」「レイプキットとは何か」「レイプ被害者に関する統計」など、客観的な説明や被害者の助けになるサイトが中心で、検索結果の上位にポルノサイトが出てくる事はありません。

こうして見てみると、日本では「レイプ」も「強姦」もAV動画などの性的嗜好と結びつけられる単語であり、必ず撲滅しなければならない凶悪な犯罪であると認識されている単語ではないのだという実態が浮かび上がってきます。しかも、「レイプ」「強姦」の検索結果上位にポルノサイトが出てきてしまうことも問題です。もしレイプ被害者が助けを求めて「強姦」「レイプ」などと検索したときにこのようなサイトを見たら、それだけでも二次被害です。

このようなネットの状況は、日本で「レイプ」がどのように受け止められているのかをよく表しているように思い、女性として恐怖心さえ感じます。レイプを性的指向の一つくらいにしか捉えていない社会では、セカンドレイプを問題視すること自体が無意味なのではないかとさえ思ってしまいます。

ただし、少し希望が持てる結果もありました。「レイプ」のトレンド分析では、「検索が増えているキーワード」として1位の「高畑 レイプ」の次に、2位に「セカンドレイプ」が前月より650%増でランクインしていました。これにはツイッターやネット上の記事で「セカンドレイプ」の問題点を指摘する声がかなり出ていたことが大きく影響しているでしょう。少しずつではあれ、セカンドレイプというものに対する関心が出てきているのかもしれない、と思いました。

日本のインターネット利用率は、13歳から59歳の全年代において90%を超えており、30代以下では97%を超えています。平成27年度総務省情報通信白書によれば、日本では約29.6%の人が情報収集(ニュースを知る場合に最も利用するメディア)にインターネットを利用しており、これはテレビ63.9%についで高いものです。インターネットにどのような検索結果が出てくるのかは、利用者すべてにとって大きな影響をもたらすものです。

これらを踏まえた上で私が提言したいのは、大手検索サイトと政府が協力して「レイプ」」「強姦」と検索したら、まずトップの「広告欄」にレイプ・強姦被害者に向けたメッセージや救済サイトを載せることです。これは自殺対策として前例があり、Yahoo Japan!やGoogle Japanで「死にたい」「助けて」などと検索すると、トップに「電話相談ダイヤル」と関連する相談ウェブサイトなどがトップに表示されるようになっています。レイプ被害者はその後PTSD、うつ業、パニック障害、うつ病など各種のメンタルの不調、自殺願望を持つ比率も高い事が、各国の研究で明らかにされています。レイプは性的嗜好でもなければ、「犬に噛まれたと思って忘れる」ことができるようなものでもありません。レイプ被害者を救済する為に、政府(厚生労働省、警察など)と大手検索会社が協力してできることはたくさんあるはずです。