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初の法廷闘争はPGAツアーの勝利。リブゴルフの弁護士の勉強不足が露呈!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

PGAツアーとリブゴルフの法廷における初の戦いは、PGAツアーの勝利となり、米ゴルフ界が久しぶりに沸いている様子だ。

PGAツアーに背を向け、グレッグ・ノーマン率いる新ツアー「リブゴルフ」へ移籍した選手たちのうちの11名(後にカルロス・オーティスは取り下げ、現在は10名)がPGAツアーから科された資格停止処分の取り消しを求め、そのうちの3名が今週11日から開催されるプレーオフ・シリーズ第1戦のフェデックス・セント・ジュード選手権への出場を許可する仮処分を申請し、カリフォルニア州サンホゼの連邦裁判所へ訴状を提出したのは8月3日のこと。

9日(米国時間)に行なわれた審問では、テーラー・グーチ、マット・ジョーンズ、ハドソン・スワフォードの3名が申請していたプレーオフ・シリーズ出場許可の正当性と妥当性を争う審問が行なわれた。

米メディアの多くは、「公平」「平等」をとりわけ重視するカリフォルニア州の裁判所であることを考慮して、「リブゴルフ有利」と予想していたが、出された判決は「PGAツアー勝利」。3名のプレーオフ出場の道は法廷の場できっぱり絶たれた。

もしも3名の出場を認める判決が出されたら、今週のフェデックス・セント・ジュード選手権の試合会場には、正規に出場資格を得た125名にこの3名を加えた128名が出場するという異例の事態を迎えざるを得なかった。

PGAツアーに忠誠を誓い、そのままPGAツアーに残って戦っている125名の選手たちと、ビッグマネーに魅せられてリブゴルフへ移った3名が「試合会場で激突することが避けられた」という安堵の声が米ゴルフ関係者の間から聞こえてくる。

SNSでは、安堵というより、歓喜の声が次々に上がり、同時に、ビッグマネー頼みのリブゴルフ側の態勢の甘さを批判する声も見られる。

審問でリブゴルフ側の弁護士は、PGAツアーのフェデックスカップをアメフトのスーパーボールに例えたそうだが、その際の説明は「複雑で何を言わんとしているのか不明。3週間に覚えた付け焼き刃の曖昧な知識を無理矢理、語っているみたいな弁論だった」「フェデックスカップの優勝者をジャック・ニクラスとグレッグ・ノーマンに例える的外れなことを言っていた」。

ゴルフに対する深い知識も愛も感じられなかったということだろう。PGAツアー側に軍配が上がったことは、「正当」「妥当」「当然」という声が多い。米ゴルフ界には歓喜の声が溢れ、止まらない様子である。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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