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ゴルフ界にさらなる激震。デシャンボーもリードもノーマンの新ツアーに参戦。どんなゴールが待っている?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ゴルフ界の激動は、とどまるところを知らない様子だ。

 グレッグ・ノーマン率いる新ツアー「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」の初戦がロンドンのセンチュリオンGCで開幕したちょうどそのころ、メジャー・チャンピオン2名が新たに「リブ・ゴルフ」に加わることが報じられ、米ゴルフ界の関係者やファンを驚かせた。

 その2名とは、2020年全米オープン覇者、28歳のブライソン・デシャンボーと2018年マスターズ覇者、31歳のパトリック・リードだ。

 デシャンボーは「リブ・ゴルフ」の第2戦から出場する予定であることを、彼のエージェントが認め、米ゴルフウィーク誌にメールで伝えたという。

 エージェントのブレット・ウォーコフ氏は「ブライソンは常にイノベーターだ。斬新でユニークなものには、いつも興味津々になる。プロゴルフ界は変わりつつあり、変化のスピードはきわめて速い」とメールに記したそうだ。

 短期間に大量の食事を取り、過激なトレーニングや練習を積み、肉体の大改造を行なって大幅に飛距離を伸ばしたデシャンボーは、マッチョな体と400ヤード級のロングドライブを誇り、米国中、いや世界中のゴルフファンを魅了した。

 しかし、その後は腰や手首などの故障が相次ぎ、戦線離脱が続いていた。試合に出ても途中棄権や予選落ちが目立ち、かつての輝きは昨今は見られなかった。

 だが、それでもメジャー1勝を含むPGAツアー通算8勝、世界ランキングでもトップ30に数えられるスター選手であることに変わりはない。

 かねてから「デシャンボーはノーマンの新ツアーに移籍するのではないか?」と囁かれていたが、彼は今年2月にそうした噂を否定する声明を出し、「世界のベストプレーヤーたちがいる限り、僕はそこで戦う」と記して、PGAツアーへの忠誠を誓っていた。

 だが、それからわずか4か月後の今、前言を翻し、「リブ・ゴルフ」参戦を決意した。

 一方、リードが「リブ・ゴルフ」に参戦することは、本人サイドからの発表はまだされていないが、英国紙テレグラフが先行して報じた。

 メジャー1勝を含むPGAツアー通算9勝のリードも、デシャンボー同様、昨今は成績が振るわない日々を過ごしてきた。

 そんな中、ロンドンで開幕した「リブ・ゴルフ」初戦にフィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソン、セルジオ・ガルシア、リー・ウエストウッド、ルイ・ウエストヘーゼン、チャール・シュワーツェル、ケビン・ナといったPGAツアー選手たちが出場している姿を目にして心を決めた様子だ。

 リードは今週のPGAツアーの大会であるRBCカナディアン・オープンに出場予定だったが、6月7日の火曜日に同大会から棄権。翌日8日にテレグラフ紙がリードの決意を報じた。

 PGAツアー(米ツアー)とDPワールドツアー(欧州ツアー)は、ツアー・メンバーの選手たちが「リブ・ゴルフ」に参加することを認めておらず、規定に反して「リブ・ゴルフ」に出た選手には罰金や出場停止、追放といった重いペナルティを科すことを公言している。

 そのため、「リブ・ゴルフ」の初戦に出場している選手や第2戦に出場する選手は、今後、米欧両ツアーには出場できなくなる可能性が現状ではきわめて高い。

 一方、来週の全米オープンを主催するUSGAは、すでに出場資格を持っている選手であれば、たとえ「リブ・ゴルフ」に出場しても全米オープンには出場できるとして、PGAツアーとは異なる姿勢を示している。

 刻々と事態が変化している今は、まさにプロゴルフ界の大変革期。未曾有の大変革がたどり着くゴールは、今はまだ誰にも見えていないのではないだろうか。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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