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ゴルフ界の帝王ジャック・ニクラスがニクラス・カンパニーに訴えられた!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

 史上最多のメジャー通算18勝を誇るゴルフ界の帝王ジャック・ニクラスが彼の肖像権や知名度などを管理するニクラス・カンパニーから訴えられる事態が起こっていることを米スポーツイラストレイテッド誌が伝えた。

 ニクラス・カンパニーは5月13日、ニクラスがニクラス・カンパニーを通さず、外部と不法にビジネス交渉を行なっていることが契約義務違反に当たるとして、ニューヨーク最高裁判所に訴状を提出した。

 ニクラス・カンパニーが主張しているニクラスによる「不法なビジネス交渉」には、ニクラスによるマスターズやPGAツアーを舞台にしたビデオゲームへの関与やグレッグ・ノーマンがCEOを務めるサウジアラビアのリブ・ゴルフ・インベストメンツとの交渉が含まれている。

 サウジのリブ・ゴルフ・インベストメンツが、6月から創始しようとしている新ツアー「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」の「顔役」「かじ取り役」をニクラスに依頼し、1億ドル(約128億円)の報酬をオファーしていたことは、先日、米英両メディアによって報じられたばかりだ。

 米ニュースサイトのファイアピット・コレクティブによると、「ニクラスはこのオファーを拒絶した」とされているが、ニクラス・カンパニーはニクラスがサウジ側と直接交渉したことを問題視し、契約義務違反を指摘している。

 これに対してニクラスは「訴状の内容は事実に反する」と主張。さらにニクラスは、自身と会社との関係性を「公けにすることは避けるべきだったのではないか?」と不快感を露わにしているという。

 米スポーツイラストレイテッド誌による報道後、ニクラス・カンパニーは声明を発表。

 「ニクラス・カンパニーはゴルフ界のレジェンドであるジャック・ニクラスに対し、多大なる憧憬と尊敬を抱いており、訴状を提出することを回避するためのあらゆる努力を試みた」と前置きした上で、「ニクラス・カンパニーとその従業員、顧客やビジネス・パートナーを守るために、この事態を早急に友好的に解決できると信じている」としている。

 端的に言えば、ニクラスがビジネス上で暴走していると考えた会社側が、法的手段を取ることで警告を出したという状況だ。

 昨今のゴルフ界にはビッグマネーのオファーがうごめく喧噪ばかりが目立っているが、だからこそ、ニクラス・カンパニーの声明にある通り、両者の歩み寄りと早期解決を祈りたいところだ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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