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待望のウッズ復帰に世界中がお祭りムード。「来年のマスターズに出る」予言からボール贈呈キャンペーンまで

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:Splash/アフロ)

タイガー・ウッズが長男チャーリーくんと出場する今週末の「親子の大会」、PNCチャンピオンシップ(12月18日~19日、フロリダ州オーランド、リッツカールトン・グランデ・レイクス)開幕を控え、アメリカのゴルフ界は、まさにお祭りムード一色という様子だ。

今年2月の交通事故で右足に重傷を負ったウッズが10か月に及んだ辛いリハビリ生活を経て、初めて試合形式の大会に挑むことは奇跡的なカムバックと言っていい。

ウッズの回復と復帰を待ち望んでいたファンや関係者は、歓喜と興奮の中、ウッズのカムバックを祝い、盛り上げようと、次々にアクションを起こしている。

米ツアー仲間であり、フロリダ州ジュピターのウッズの自宅の「ご近所さん」でもあるジャスティン・トーマスは、ウッズの交通事故後、真っ先にウッズを見舞い、その後もことあるごとにウッズの自宅を訪れて、右足の回復状態や彼の胸の内を聞いてきた、いわば年の離れた「親友」のような存在だ。

そのトーマスが、15日(米国時間)のPGAツアー関連のラジオで、こうコメントした。

「タイガーの姿は来年のオーガスタにもあるはずだと僕は思っている。そのためにも(PNCチャンピオンシップに出る)今週が意味するものは彼にとって大きい」

今週末に試合に復帰するウッズが、そこからぐんぐん回復し、2022年4月にはマスターズにも出る。そんな希望的観測も現実的なストーリーとして広がり始めている。

PNCチャンピオンシップは米ツアーのアンオフィシャル(非公式)大会だが、昨年大会でウッズ父子が初出場して大きな注目を集め、そして今年はウッズの事故後の初の復帰戦となるとあって、テレビ中継は一気に拡大され、その放送予定時間の紹介も、まるでメジャー大会の開幕前のように詳細に紹介されている。

16日(木)と17日(金)はプロアマ戦が行なわれ、ウッズは17日のプロアマに出ると見られているが、ゴルフ専門TVのゴルフチャンネルでは、木曜日からニュース番組でPNCチャンピオンシップの様子を伝え、金曜日にはウッズが出るプロアマ戦の様子も紹介予定。本戦の土日は、ゴルフチャンネル、ピーコック、NBCの3局がほぼリレー形式でニュースとライブ中継を行なう予定だというから、驚きである。

ウッズが使用する予定のドライバーとボールの話題も世界を駆け巡っている。ウッズはここ数年、ブリヂストンのボール「ツアーB XS」を使用してきたが、PNCチャンピオンシップでは、そのニュー・バージョンのプロトタイプを使うことをウッズ自身がツイッターで明かした。

テーラーメイドのニュー・ドライバー、ステルスのプロトタイプを使う可能性もすでに米メディアによって報じられている。このステルスは、同社の大ヒット作であるSIMに続く新作で、つい数日前、USGAとR&Aの適合テストを経て、コンフォーミング(適合)リストに載ったばかりのホヤホヤだ。テーラーメイドのスタッフプレーヤーであるウッズの手元には、すでにステルスのプロタイプが送られているらしく、ウッズがPNCチャンピオンシップでこのドライバーを使う可能性は、きわめて高いと見られている。

ゴルフクラブやボールなどの用具好きのファンの間では、ウッズの復帰戦で新たなドライバーとボールで試合に挑むウッズの姿を目にできるとなれば、見どころが一気に倍増され、喜びも倍増するはずである。

そこに来て、今度はツイッターのウッズ応援アカウント「TWLEGION」とブリヂストン・ゴルフが共同で、ウッズが使用予定の新ボールのプロトタイプをプレゼントするコンテスト・キャンペーンまで開始され、お祭りムードは、とどまるところを知らない様子だ。(注:キャンペーンは米国居住者限定の模様)

開幕前のお祭りムードが高まれば高まるほど、ウッズはナーバスになっていることだろう。4度目の腰の手術後に試合に復帰したときも、昨年のPNCチャンピオンシップに父子で初出場したときも、ウッズは開幕前から「心臓がドキドキして破れそうだった」と明かしていた。

今回は交通事故からの復帰戦ゆえ、ウッズにとっても初体験。なおさらナーバスになっているはずだが、昨年からさらに成長したチャーリーくんが、きっとパパをカバーしてくれるのではないだろうか。

ウッズ父子の新たなチームワークを目にする日が、もう待ちきれない――。そんなワクワク感が、今、世界中に広がっている。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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