予選落ちした選手に賞金提供?コロナ禍で再開される米女子ツアーの救済策とは?

昨年、渋野日向子が制した全英女子オープン。今年は予選落ちにも賞金が提供される(写真:ロイター/アフロ)

すでに再開している米男子ツアーに続き、いよいよ米女子ツアーもドライブ・オン選手権(7月31日~8月2日)から再開されることになった。続くマラソン・クラシックが米オハイオ州で開催されると、その後にはスコットランドでの2連戦が予定されており、新型コロナウイルス感染防止のための対策や救済策が次々に発表されている。

再開初戦のドライブ・オン選手権は無観客で行なわれ、コーチや家族の会場入りも不可とされている。クラブハウスやロッカールームの使用も実質的には禁止となり、選手やキャディは駐車場でシューズを履き、そのままコースへ直行することになる。

2戦目のマラソン・クラシック(8月6日~9日)は、今のところは限定的に観客を入れる予定で、可能であれば、2000人のギャラリー入場を試みるとされている。しかし、同じオハイオ州で開催される男子ツアーのメモリアル・トーナメントが当初の予定を変更して無観客試合へ切り替えたため、それにならって女子のマラソン・クラシックも無観客になる可能性が取り沙汰されている。

そして、スコットランドで開催されるレディス・スコティッシュ・オープンと全英女子オープンは、無観客となることが主催者のR&Aから正式に発表されたばかりだ。家族の入場も不可。車のシェアも禁止され、1台の車に乗れるのは選手とキャディのみ。そして、全員が同じホテルに宿泊すべしとされている。

【救済策が素晴らしい】

米男子ツアー同様、米女子ツアーもコロナ感染者への補償給付金を支払うという発表には、少々驚かされた。というのも、米女子ツアーは経済的に苦境にあるため、給付金を支払う余裕はないと思われていた。だが、やっぱりここは踏ん張りどころということなのだろう。

とはいえ、金額は男子と比べると格段に低額ではある。男子ツアーでは、試合会場近くでのPCR検査で陽性判定を受けた選手に対して、当初は10万ドル(約1070万円)が支払われ、現在は検査場所を問わず、一律75,000ドルが給付されている。キャディに対しても給付金を出しているが、選手とは比較にならないほど低く、一律5000ドルとされている。

一方、女子ツアーは試合会場近くの検査場で陽性判定を受けた選手には5000ドル、自宅での検査で陽性なら2500ドルと、男子とは桁が違っている。だが、この5000ドルと2500ドルをキャディに対しても同額支払うというところに、米女子ツアーを率いるマイク・ワン会長の優しくフェアな人柄が滲み出ている。

しかし、ワン会長だからこその厳しさもある。米女子ツアーでは、感染防止対策上の規定を守らなかった選手には2500ドルの罰金を科し、2度違反したら出場停止処分に科すという。このペナルティ規定は、男子ツアーには見られないものだが、この厳罰規定も最終的には罰することより、他選手やキャディ、関係者を守るためのものであり、周囲を気遣う優しさの表れと言えるのだろう。

ワン会長の気遣いと優しさは、至るところに溢れている。米国からスコットランドへ移動する選手やキャディのために、米LPGAは150人が搭乗できるチャーター機を用意するそうだが、その使用料はエコノミークラスなら片道1200ドル、ビジネスクラスなら片道2500ドル。コロナ禍という特別な事情も考慮すると、この料金はチャーター機使用料としては驚くほど格安に抑えられている。

さらに、米LPGAはスコットランドでの2試合においては、予選落ちした選手にも、最下位相当の賞金も提供されるとのこと。

正直なところ、米LPGAがここまでやるとは、いやいや、ここまでやれるとは思わなかった。無理を承知で敢行する選手やキャディへの救済処置。男子ツアーのジェイ・モナハン会長のアグレッシブな姿勢も素晴らしいが、女子ツアーのワン会長の肝の座り具合も、あっぱれである。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米。以後、米ツアー選手たちと直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を独特の表現で発信し続けている。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。26年間の米国生活に区切りを付け、2019年から日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、さらには武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。

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