日本でタイガー・ウッズを迎え入れ、スキンズマッチが開催されたことの意義

ウッズは前日は都内でスポンサーイベントに参加。月曜日はスキンズマッチを戦った(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 いよいよ今週24日から日本で初開催される米国PGAツアーの大会、ZOZOチャンピオンシップが開幕する。大会に先駆けて21日には、タイガー・ウッズ、ローリー・マキロイ、ジェイソン・デイ、松山英樹の4名によるスキンズマッチ、「ザ・チャレンジ:ジャパン・スキンズ」が行なわれ、8スキンズ、21万ドルを獲得したデイが優勝した。

【スキンズマッチの歴史を辿れば】

 日本ではスキンズマッチは、あまり馴染みがないかもしれないが、米国では古くからスター選手たちによるスキンズマッチが行なわれていた。

 PGAツアーの非公式大会だった「ザ・スキンズゲーム」は1983年から2008年までの長きに亘って開催され、PGAオブ・アメリカ主催の「グランドスラム・オブ・ゴルフ」は、それよりもっと古い1979年からの開催だった。

 どちらのスキンズマッチも、ウッズのプロデビュー後に視聴率が急上昇したことは言うまでもない。ウッズはどちらのスキンズマッチにも7度ずつ出場してきたが、面白いことに「ザ・スキンズゲーム」では1度も勝てず、もう1つの「グランドスラム・オブ・ゴルフ」のほうは7戦7勝を挙げた。

 さらに、もう1つ、米国のゴルフファンに愛されてきたのは「バトル・アット・ビッグホーン」と呼ばれたスキンズマッチ。1999年に「マンデー・ナイト」という名で始まったこの大会は、後に開催コースの名が冠され、「ビッグホーン」として親しまれた。初回はウッズ対デビッド・デュバルという当時の「世界一争い」の対戦。2000年大会は、ウッズ対セルジオ・ガルシアで、こちらも熱戦だった。

 しかし、どのスキンズマッチも、不調や故障によってウッズの出場が無くなるにつれて視聴率が低下し、2004年~2006年ごろに、いずれも消滅してしまった。

【スキンズマッチ復活!】

 だが、ウッズの大復活がスキンズマッチをも復活させつつある。

 4度目の腰の手術後、戦線離脱していたウッズが、2018年のツアー選手権で5年ぶりの復活を遂げた2か月後。サンクスギビングデーにウッズとフィル・ミケルソンの2人が対戦するスキンズマッチ、「ザ・マッチ:タイガー&フィル」がラスベガスで開催され、米国のみならず世界中のゴルフファンが10数年ぶりにスキンズマッチに熱狂した。

 勝った方が9ミリオン(約10億円)という破格の賞金、ギャラリー入場無しでTV中継は課金方式の有料放送(ペイ・パー・ビュー)というシステムには賛否両論が上がったが、主催者側は胸を張って、こう言い切った。

「こういうマッチが実現したことに意義がある。これまでゴルフが登場する機会がほとんどなかったサンクスギビングデーにゴルフが話題になったことに意義がある」

 同大会を運営していたのは、米国有数のマネジメント代理店の「エクセル・スポーツ・マネジメント」だ。元々はバスケットボール選手のマネジメントをするために設立されたエクセル社は、今や一流のスポーツ選手やタレントらを代表する代理店へ成長している。

 そして、そのエクセル社が運営する2つ目のTV用ゴルフ・エキシビションとして開催されたのが、今回の「ザ・チャレンジ:ジャパン・スキンズ」だった。

【日本にとって大収穫】

 今後、エクセル社によるスキンズマッチは「グローバル・レベルのゴルフイベント」として世界各国へ広がっていくことが期待されており、その記念すべき第1回大会が日本で開催されたことは、日本のゴルフにとって、とても喜ばしいことだった。

 とはいえ、初回の開催ゆえに、ハプニングもあった。7番ホールでは、ラグビーのワールドカップのために来日していた新旧ラグビー選手たち4名とのペアでプレーする企画が盛り込まれたが、その内容や手順は選手たちに詳細に通達されてはおらず、彼らは明らかに戸惑っていた。

 だが、主催者側の担当者いわく、「あのホールは実は想定より早く進行した」とのこと。上がり2ホールがほとんど日没後となり、最後は照明の下でのナイターゴルフとなったが、それも「日本的なナイターゴルフをウッズらに体験してもらおう」という演出だったのだそうだ。米国生まれ、米国育ちのスキンズマッチが、そんなふうに日本風にアレンジされたことは、なんとも喜ばしいではないか。

 ウッズもマキロイもデイも、不慣れなナイターゴルフに苦戦し、ミスショットの連発となったが、何が起こるかわからないのがゴルフであり、「それもまた良し」「それもまた楽し」であろう。

 優勝したデイは、元々、日本贔屓だが、日本を訪れたのは今回が初めてだ。

「スキンズマッチを戦ったのも初めてだったし、ナイターゴルフも初めてだった。でも、タイガーの(スキンズマッチ)初優勝を僕が阻止できたし、とてもとても楽しかった」

 松山英樹は1スキン、2万ドルしか獲得できず、4名中、最下位に終わったが、観戦した日本のファンは松山を含めた米ツアー選手たちのダイナミックなゴルフとサービス精神たっぷりのエンタテイナーぶりを十二分に味わうことができたと思う。

 ウッズをはじめとする世界のトッププレーヤー4名が日本の土の上で、日本のファンの目の前で、熱い戦いを披露したことに意義がある。それは日本のゴルフ界にとって大きな収穫だった。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米。以後、米ツアー選手たちと直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を独特の表現で発信し続けている。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。26年間の米国生活に区切りを付け、2019年から日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、さらには武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。

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