全英オープン3日目を終え、S・ローリーが4打差で単独首位。最終日に「何か」は起こるか、起こらないか?

「こんな日はもう2度とない」と言ったローリーだが、明日にでも到来するかも!?(写真:ロイター/アフロ)

 全英オープン3日目。昼下がりにティオフした上位陣たちは序盤から大混戦を演じ始めた。だが、54ホールが終わったとき、2位に4打差を付け、通算16アンダーで単独首位に立っていたのはアイルランド出身の32歳、シェーン・ローリーだった。

 英国のトミー・フリートウッドが通算12アンダーで2位、JBホームズ(米)が通算10アンダーで3位と続き、開幕前の優勝候補筆頭だったブルックス・ケプカ(米)と2016年リオ五輪ゴールドメダリストのジャスティン・ローズ(英)が通算9アンダーで4位に並んだ。

【何が起ころうとも】

 自身8度目の全英オープンを迎えているローリーだが、ここ4年は毎度毎度の予選落ち。そんな彼が今年の全英オープンにやってきたとき、「ほとんど注目されていなかった」のは自然な現象だった。

 だが、北アイルランドの地元のヒーローであるローリー・マキロイが予選落ちを喫し、タイガー・ウッズとフィル・ミケルソンがメジャー大会史上初めて同時に姿を消した3日目、スポットライトを浴び続けたのは、8アンダー、63の快進撃で首位の座を強固にしたローリーだった。

 終盤、ロイヤル・ポートラッシュの大観衆の声援は驚くほど高まっていった。その中でゴルフクラブを振ったローリーは「夢のような現象だった」と振り返った。

「コースでこんな日を迎えることは、もう2度とないかもしれない。だから、あと30分、これをエンジョイしよう」

 ローリーは17番ティに向かって歩きながら、相棒キャディにそう言ったそうだ。

 明日の最終日に勝利を挙げることができたら、この日に経験した夢のような現象はさらに巨大化し、ローリーは世界中から無数のスポットライトを浴びることになる。

 もちろん、ローリー自身、優勝を目指して明日に挑むことは言うまでもない。だが、それがすべてではないと彼は考えている。

 思い出されるのは2016年の全米オープン。あのときもローリーは2位に4打差をつけ、単独首位で最終日に臨んだが、勝利したのはダスティン・ジョンソンだった。ローリーは76を喫し、2位タイに甘んじた。

 だが、3年前の「あのとき」と「今」とでは、ローリーの中でゴルフの位置づけが変わっているという。

「今は、あのときほど僕の中でゴルフが重くない。そう思える変化があったんだ。今の僕には家族がいる。明日、どんなスコアで回ったとしても、家族が僕を待っていてくれる」

 勝っても負けても、自分の人生のファースト・プライオリティは家族――だから、たとえ何が起ころうとも受け入れる覚悟を、すでに彼は抱いている。それがローリーの最終日の武器になりそうな予感がする。

【何かが起こる?起こらない?】

 荒天が予想されている最終日。すでに全選手のスタート時間が2時間ほど繰り上げられ、日曜日のうちに勝敗が決まることを関係者は祈っている状況だ。

 そんな中、天候が大荒れになることを望んでいる選手もいる。

「風雨が強まれば、何が起こるかわからない。(逆転するためには)天気が荒れることが必要なんだ」

 そう語気を強めたのは、ローリーから7打差で4位タイに付けているケプカだった。悪天候がみんなのゴルフを荒らす中、その間隙をついて自分が猛チャージをかけていくつもりだが、もちろんケプカとて悪天候に乱されてしまえば、それで万事が休す。

「だから僕自身、これまで以上に弾道も落としどころもきっちりコントロールできなければいけないんだ」

 それができれば、何かが起こる。何が起こるかわからないのがゴルフなのだから――ケプカは、そう信じている。

 一方、ケプカと同じ4位タイの位置にいるローズは、明日、少なくとも勝利の行方に関しては「何も起こらない」と予想している。

「僕は、シェーンがこのまま勝つと思っている。彼はショートゲームが上手いから、タフなコンディションの中でも勝てるはず。なぜって、彼はアイリッシュだ。“悪天候に強い男”がいるとすれば、それは彼だ」

 天候が荒れても、ローリーのゴルフは荒れないとローズは信じている。だが、ローリーが明日、易々と勝つとは思っていないとローズは言った。

「タフなコンディションの中でメジャー優勝を目指すことは、決してイージーではない」

 ローズは、きっとローリーが勝つと信じているが、もしも彼のゴルフを乱すものがあるとすれば、それは天候ではなく、彼のメンタル面なのではないかとローズは予想する。

 しかし、当の本人であるローリーは「勝っても負けても、僕には家族がいるから」と、すでに腹を括っているわけで、となれば、「ローリー強し」なのではないか?

 そう思いつつ、サンデーアフタヌーンの戦いを心待ちにしている。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米。以後、米ツアー選手たちと直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を独特の表現で発信し続けている。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。26年間の米国生活に区切りを付け、2019年から日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、さらには武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。

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