感謝の心で復活したタイガー・ウッズの普段着の笑顔と言葉

明るい笑顔のタイガー・ウッズ。会見では飾らない言葉を口にした(写真/舩越園子)

【本当に僕はラッキー】

今週、米ツアーのファーマーズ・インシュアランス・オープン(米カリフォルニア州サンディエゴ、トーリーパインズGC)で1年ぶりの公式競技復帰戦を迎えているタイガー・ウッズ。

練習日の23日(火曜日)は「サウスコースを9ホール回った」。そして、今日24日(水曜日)は合計5時間以上に及んだプロアマ戦を元気にこなし、終始、明るい笑顔を輝かせていた。

昨年も今大会で長期戦線離脱から復帰したが、過去7勝と2008年全米オープンも制した得意コースのトーリーパインズだというのに、昨年大会はあえなく予選落ちした。

だが、昨年4月に4度目の腰の手術を受け、過去3回の手術とは異なる抜本的な手術とリハビリを経た今は「もう今は痛みから完全に解放されている。それが去年と今年の最大の違いだ」と、ペイン・フリーを心底、喜んでいる。

4度目の手術は規模が大きく、すべてがうまく運べば効果も大きい分だけリスクもあったという。吉と出るか、凶と出るかは、ウッズにとって一世一代の賭けだったが、今、ウッズは「本当に僕はラッキーだ」と、手術後の経緯と結果に大満足。

だからこそ、彼の笑顔は、かつて見たことがないほどに輝いている。

会見では、うれしさを素直に言葉にしていた姿が印象的だった(写真/舩越園子)
会見では、うれしさを素直に言葉にしていた姿が印象的だった(写真/舩越園子)

【30歳代前半のスイングスピード】

プロアマ後の会見で、こんな言葉を口にしたウッズは、まるで夢見心地の少年のようだった。

「僕の主治医(整形外科医)が、今回の手術をしてうまくいけば30歳代前半ぐらいのスイングスピードを取り戻せるって言っていたんだけど、その通りだったよ。だって全然痛くないんだ(速く振れるんだ)!」

かつてのウッズは、会見と言えば、少々難しい表現やカッコいい表現、いわゆる“ウッズ語録”を駆使しながら、無理にでもクールな表情で王者を演じていた。

だが、4度の手術とリハビリ等々、あれやこれやを経て復帰した今のウッズは、ゴルフができることが、ただただうれしいという様子。王者もスターも演じてはいない。

「痛みを感じずにテークバックできる。インパクトできる、インパクト後も痛くない。歩いても痛くない。球が打てる。弾道を作れる。スコアを作れる。少し時間はかかるだろうけど、もう楽しみでたまらないよ」

そうやって、心の底から湧き出る喜びを飾らない言葉で素直に表現しているのが印象的だった。

サインを待っていたファンにも自ら歩み寄って積極的にサインしていた(写真/舩越園子)
サインを待っていたファンにも自ら歩み寄って積極的にサインしていた(写真/舩越園子)

【やっぱり、とてもラッキー】

かつての王者と言えども、ウッズの歩みを振り返れば、彼が克服すべきコトは本当に次々に起こり続けてきた。

度重なる膝や腰の故障、手術、リハビリ。それに伴う長期戦線離脱からの復活。ゴルフそのものの不調やスイング改造からの復活。さらには、2009年暮れから勃発した不倫騒動、そして昨年のDUI(Driving Under the Influence)による逮捕劇といった私生活上の法的騒動からの復活。

「(立ち直ることは)決してイージーではなかったけど、僕は素晴らしい家族と信じがたいほど素晴らしい友人たちに恵まれている。だから僕は、やっぱりとてもラッキーなんだ」

感謝の心も自ずと芽生えているのだろう。プロアマのプレー中もプレー後も、周囲の人々に笑顔を振りまき、ロープの外から声をかけるギャラリーにも笑顔で応え、サインを待つファンの列の方へ自ら歩み寄って、すらすらとサインをし続けたウッズ。

普段着の言葉が自ずと豪華なフレーズになっていく。飾らないウッズの笑顔が親近感を創出し、ファンに声をかけながらサインする元王者が、逆に昔より貫禄を感じさせている。

明日から、どんなゴルフを見せてくれるだろうか?

普段着のウッズは、果たしてサンデー・レッドシャツを再び勝利の赤に変えることはできるだろうか?

タイガー・イズ・バック――期待は膨らむばかりだ。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米。以後、米ツアー選手たちと直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を独特の表現で発信し続けている。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。26年間の米国生活に区切りを付け、2019年から日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、さらには武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。

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