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タイガー・ウッズの悲痛な叫び。「もう1度、プロのゴルフがしたい」「人生を取り戻したい」

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
41歳、2児の父。4度目の腰の手術を受けリハビリ中。ウッズは今、何を想うのか?(写真:ロイター/アフロ)

今年4月に4度目の腰の手術を受け、今季の試合出場すべてを取りやめてリハビリ生活を送っているタイガー・ウッズが、現在の胸中を赤裸々に明かした。

自身のウエブサイト上のブログにはウッズの複雑な想いが綴られていた。

「ゴルフができないのは本当に残念だ。メジャー大会を休むのは嫌だ。とりわけマスターズを欠場するのは嫌だった。しかし、戦うことができない。それが現実だった。優勝したセルジオ(ガルシア)に、もう一度、おめでとうを言いたい」

今季最初のメジャー、マスターズの欠場を余儀なくされたことで、長年の迷いに踏ん切りがついたようだ。「これまでに受けた手術以外の治療法は、何一つうまくいかず、いつも痛みがあった」と振り返ったウッズは、マスターズ後に「フュージョン」と呼ばれる手法の手術を受けた。

その手術から1か月以上が経過した現在、ウッズの生活はリハビリが中心だという。

「歩いたり、軽いエクササイズをしたり、子供たちの学校の送り迎えをしたり。できることをやり、ドクターに言われたことをやり、日々少しずつ前進している。焦ってはいけない」

毎年5月には「タイガー・ジャム」と呼ばれる大規模なチャリティコンサートをラスベガスで開催し、ウッズ自身も参加して大いに盛り上がる。だが、今年のラスベガスにウッズの姿はなく、彼は静かにフロリダの自宅でリハビリに専念している。

今、ウッズの胸の中には、2つの強い想いがあるという。

「もう1度、プロフェッショナルなゴルフがしたい」

もはや、ジャック・ニクラスのメジャー18勝の記録に「追いつき、追い抜きたい」とは言わず、米ツアーやメジャー大会という一流の舞台に立って「もう1度、プロフェッショナルなゴルフがしたい」。そこにウッズの悲痛な願いがある。

同時にウッズは、こうも言っている。

「フュージョン手術を受けたデービス・ラブやレティーフ・グーセン、リー・トレビノといった選手たちは、みな戦いの場へカムバックできた。でも、それより何より一番大事なのは、手術によって彼らの人生がベターになったことだ。それが一番大事。僕も子供たちと一緒に人生を取り戻せる」

そこには、痛みのない生活、家族とともに暮らす当たり前の幸せを得られることへのウッズの安堵が感じられる。

アスリートとしての想いとともに、父親として、一人の人間としての想いも交錯する複雑な胸の内を明かしたウッズは、姿は見えずとも世界中のファンや若き選手たちの希望であり続ける。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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