ついに「女性受け入れ」決定、全英コースに復帰するミュアフィールドが示すもの

女人禁制だったミュアフィールドが女性受け入れを決め、再び全英オープンの舞台に戻る(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

世界のゴルフ界にビッグニュースが届いたのは3月14日の朝(米国時間)だった。

世界最古のゴルフクラブ、ミュアフィールドが、273年続いた「女人禁制」のポリシーを変更し、女性メンバーを受け入れることを決めたという。

1744年に創設されたミュアフィールドは過去16回、全英オープンの舞台になったスコットランドの超名門プライベートコース。

近年、欧米の名門クラブが次々に女性に門戸を開く中、ミュアフィールドは昨年5月に行なったメンバー投票で、従来通り、女人禁制のポリシーを貫くことを決定。そのため、全英オープンを主催するR&Aはミュアフィールドを全英開催コースのローテーションから外してしまった。

だが、今回の女性受け入れ決定により、ミュアフィールドは再び全英オープン開催コースのローテーションにカムバック。

このニュースは、同クラブのメンバーにとってもミュアフィールドで勝利を挙げた過去の全英チャンプたちにとっても、そして世の全ゴルファー、全女性たちにとっても、誰もが笑顔になる朗報だ。

【全英オープンの舞台に戻るため】

ミュアフィールドが女性メンバー受け入れの是非を600名超の男性たちに問う投票を行なったのは今回が2回目だ。

2016年5月に行なった1回目の投票では、ポリシー変更に必要な3分の2以上の票が得られなかったため、ミュアフィールドは従来通り、「男性オンリー」のままのクラブとして存続していくことが決まった。

この決定にはゴルフ界のみならず内外の各種団体、組織などからも批判や批難が殺到。そして、全英オープンを主催するR&Aはミュアフィールドを全英オープン開催コースのローテーションから外した。

名門ミュアフィールドを全英オープンの舞台へ戻したい――そんな願いを込めて、メンバーたちが行なった今回の投票は、投票率92.7%という高い参加となり、そのうちの80.2%が女性メンバー受け入れに賛成。規定変更に必要な3分の2以上を得票したため、晴れてポリシー変更が実現した。

同クラブのキャプテン、ヘンリー・フェアウエザー氏は「このクラブの素晴らしい伝統とフレンドシップをともに楽しむ女性メンバーを迎える日が今から楽しみだ」と喜びを語った。

【女性受け入れはとても重要】

伝統や格式を重んじる古き名門プライベート・ゴルフクラブが、従来の「メンズクラブ」から脱却し、女性に門戸を開くという動きは、ここ数年、欧米で次々に実現してきた。

その先鞭をつけたのはマスターズの舞台となる米国ジョージア州のオーガスタ・ナショナル。誇りと威厳を世界で最も頑なに保っているなどと言われてきたオーガスタが2012年に女性メンバー受け入れを決定すると、その2年後の2014年には英国のセント・アンドリュースも260年続いた「男性オンリー」にピリオドを打ち、女性受け入れを決めた。

昨年はロイヤル・セント・ジョージズ、ロイヤル・トゥルーンなど英国の4つのクラブも、これらに追随する形で女性に門戸を開いた。

だからこそ、ミュアフィールドの今後の姿勢に注目と期待が寄せられていた。

ミュアフィールドは過去に素晴らしい全英オープンが展開された名コースだ。ゲーリー・プレーヤー(1959年)、ジャック・ニクラス(1966年)、トム・ワトソン(1980年)、ニック・ファルド(1987年、1992年)など過去の優勝者リストはそうそうたる顔ぶれだ。

日本の丸山茂樹が優勝争いに絡み、5位になったのもミュアフィールド。そのとき優勝したのはアーニー・エルスだった。

最も近年、ミュアフィールドを制したのは2013年大会の覇者フィル・ミケルソン。そのとき、全英オープン初出場にして4位に食い込んだ松山英樹の大健闘は記憶に新しい。

ミュアフィールドで刻まれてきた歴史を消し去ってはならない。この地でさらなる歴史を刻んでいきたい。そんな同クラブの現メンバーたちの想いと彼らが感じ取った周囲の人々の願いが今回の投票結果につながったのだろう。

欧州ゴルフの総本山であり、世界のゴルフ界のリーダー的存在でもあるR&Aも、今回のミュアフィールドの方針変更を大歓迎。

「ビッグなスポーツイベントを開催する場所が女性を受け入れることは、とても重要。再びこの地で素晴らしい全英オープンを開催する日を楽しみにしている」

日本は東京五輪のゴルフ会場問題で今なお揺れている。全英オープンの開催コースとなることと五輪のゴルフ開催コースとなることは、いろんな意味で事情が異なり、単純比較はフェアではない。

だが、R&Aの声明にある「スポーツイベントを開催する場所が女性を受け入れることは、とても重要」というフレーズは、等しくすべてに当てはまり、何かしらの指針にはなるのではないだろうか。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米。以後、米ツアー選手たちと直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を独特の表現で発信し続けている。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。26年間の米国生活に区切りを付け、2019年から日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、さらには武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。

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