マスターズ2連覇は逃したが、次は全米オープン2連覇を狙うジョーダン・スピース

マスターズ最終日後半に崩れ、2連覇を逃したJ・スピースがついに胸中を語った(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

米ツアーの今週の大会、ウエルスファーゴ選手権には強豪選手が勢揃いしている。マスターズ以後、しばしのオフを取っていたローリー・マキロイやアダム・スコット、そして松山英樹も参戦するが、トッププレーヤーの中で今なおオフを取り続けているのはジョーダン・スピース、ただ一人。

4月のマスターズ最終日の後半に崩れ、目前だった2連覇を逃した心の傷はさぞかし深かったに違いない。

以後、公けの場から遠ざかっていたスピースが、ついに姿を現わし、その胸の内を複数のメディアに語った。

【寄付のために】

マスターズ後は、米ツアー仲間のリッキー・ファウラーをはじめ、ジュニア時代からの親友であるジャスティン・トーマスやスマイリー・カウフマンとバハマ旅行に行っていたスピース。

その楽しげな様子は、SNS上でファウラーやトーマスから発信され続けていたのだが、マスターズ惜敗に対するスピース自身の気持ちが発せられることはなく、果たしてスピースが敗北のショックからどのぐらい回復しているのか、いないのかは知るよしもなかった。

そんなスピースが今回、マスターズ後に初めて公の場に姿を現し、メディアに対して口を開いたのだが、その場所は試合会場ではなく、ペンシルベニア州にあるフェデックス社の本拠地だった。

スピースは米ツアーが行なっているフェデックスカップなるポイントレースの昨季の総合優勝に輝いた。その際、手に入れた10ミリオンのビッグボーナスのうちの1ミリオンを、同社を通じて小児病院へ寄付する手続きを行なうため、彼の地に赴いていた。

バハマ旅行で自分自身の心身のケアに終始するのではなく、オフを取っている間も社会貢献、社会還元に努めるところが、なんともスピースらしい。

【最悪のタイミングだった】

マスターズ最終日。スピースは前半を終えた時点では2位に5打差を付けて単独首位に立っていた。しかし、アーメンコーナーの12番(パー3)で2度も池に落とし、痛恨の「7」を叩いた。

そのときのことをスピースはこんなふうに振り返った。

「あのとき僕はピンをデッドに狙ったわけじゃない。ピンの左側の“僕らのスポット”を狙って打った」

スピースはバッバ・ワトソンに破れて2位になった2014年大会のときも、今年と同じように、12番でピンの左側を狙って打ちながら池につかまった。今年の12番の第1打は、まるで2年前の再現のようだった。

「(今年の)あの週は(ショットが)なかなか芯を食わず、少し右に出るミスが続いていた。11番でもそういう球が出たけど、それはまだ大きな問題ではなかった。

でも、あの12番の第1打は、そのミスが最悪のタイミングで出てしまった。そして次のウエッジショット(打ち直しの第3打)は、ただただ酷いものになってしまった」

直後の13番、そして15番でもバーディーを奪い返したが、スピースは自分と入れ替わって首位に立ったダニー・ウイレットについに追いつくことはできず、2位に甘んじた。

【心はすでに全米オープン】

2連覇の夢破れ、自分が再び羽織るはずだったグリーンジャケットを自らの手でウイレットに羽織らせる屈辱を味わったスピース。その心の傷は、もう癒えたのか。

「メジャーの優勝争いでは、ああいう出来事が何度も起こるものだけど、でも僕は、もう2度と、ああいうミスや崩れ方をしたくない。

でも、起こしてしまったあのときのことを僕が忘れることはないと思う。

たとえ来週、優勝争いをして勝ったとしても、次なる全米オープンで優勝争いをして勝ったとしても、オーガスタに行けば、やっぱり今年のあの出来事がきっと頭に蘇る。それは覚悟している」

寄付のための手続きを終えたスピースは、翌日には近郊のピッツバーグへ足を伸ばし、今年の全米オープンの舞台、オークモントに赴く予定だそうだ。

そう、マスターズ2連覇の夢は破れたが、スピースにはもう1つ、全米オープン2連覇という夢が残されている。

昨年、勝利を挙げたチェンバーズベイを、どんなふうに下見して、どんなふうに練習して、どう備えたかを振り返り、「去年と同じように、しっかり準備をして、優勝を目指したい」。

そのためにスピースは、今週は試合会場ではなく“別の場所”へ向かい、そこで社会貢献と全米オープンの下見をすることが、自分が今やるべきことと決めたそうだ。

そう言えば、スピースの相棒キャディ、マイケル・グレラーは、マスターズ直後から、こう言っていた。

「僕らは、これまで何度もそうやって来たように、今回もこの惜敗から立ち直り、必ず勝利の舞台へ戻ってくる」

スピースとグレラーは、来週の“第5のメジャー”プレーヤーズ選手権で、戦いの場へ、勝利の舞台へ、戻ってくる――。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米。以後、米ツアー選手たちと直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を独特の表現で発信し続けている。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。26年間の米国生活に区切りを付け、2019年から日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、さらには武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。

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