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松山棄権!石川も?日本人2名同時棄権の誤報が流れたワケ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
米ツアーのコンピューターは「松山WD」。が、ツイッターは「石川WD」だった

米ツアーのホンダ・クラシック2日目のスタート前に松山英樹が左手首痛のため棄権した。

松山は前日のラウンド中から左手首に痛みを感じている様子で、ショット直後にクラブから手を離す場面が何度も見られた。ホールアウト後、すぐさまアイシングで手首を冷やし、日本メディアから状態を尋ねられると「大丈夫でしょう」と答えていた。

2日目は午前11時55分のスタートに備え、コースにやってきて練習場で球を打った。松山自身は思い切り打っているつもりだったそうだが、その姿は弱々しく、結局、スタート前に棄権を決意。

「語ることはないです。(左手首の状態については)ご想像にお任せします。来週(WGCキャディラック選手権)もある。来週は予選落ちもないし、フェデックスカップのポイントも高いし。来週のためです」というコメントを残し、コースを去っていった。

その数分後。会場内のメディアセンターで、米メディアの数人から、不思議なことを尋ねられた。

「ジャパニーズは2人とも手首痛で棄権だなんて、とんでもない偶然だな」

「どちらも本当に手首を痛めたのか?」

「2人とも同じスタート時間で、同じ手首痛で、同時に棄権って、どうなってるんだ?」

そう尋ねられて、こちらが泡を食った。確かに、石川遼も同じ11時55分のスタート時間で、松山と逆側からプレーすることになっているが、石川も手首痛?石川も棄権?日本メディアも知らないそんなことを、なぜ米メディアが先に知っているのか???

大慌てで調べたら、すぐにコトの次第がわかった。

松山が棄権するという意志を松山のマネージャーから伝えられた米ツアーのルールオフィシャルが、松山と石川を間違え、すぐさま「石川棄権」とメディアオフィシャルに伝えた。それを聞いたメディアオフィシャルが米ツアーとしてのツイッター・アカウントから「リオ・イシカワが棄権」とツイートした。

そのツイートを見て、米メディアは石川が棄権したと勘違い。さらに、米ツアーがメディア用に完備しているショットリンクなるコンピューター画面には「ヒデキ・マツヤマ WD」とすでに表示されており、その2つから「日本人選手が2人とも棄権」という怪情報が流れてしまった。

もちろん、すぐに訂正し、米ツアーは誤ったツイートを即削除。そのころ、石川はすでに2日目のラウンドを始めており、いつしか誤情報は笑い話に変わっていったのだが、情報の早さは、誤情報を広めるのも早いという典型例だった。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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