Yahoo!ニュース

今注目すべきシンガー・ソングライター〝美根〟。新曲「零れる光」で表現する、人の真理を歌う”美しさ”

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
〝美根〟 Photo by POWERPOP&Co.

優れた表現者は時代の移り変わり、変化の匂いに敏感だ。時として、紡がれる言葉とメロディーは時代を映し出す鏡となる。音楽とは形なき旋律によって、人の心を動かす魔法だ。

そんな作品を生み出し続けるオルタナティブ・シンガー・ソングライター〝美根〟(みね)に出会った。

〝美根〟の楽曲には小手先の小細工が無い。無骨に自ら信じる70年代〜90年代の音像を浮き彫りとするフォーキーかつロックなサウンドで、2022年の“いま”を表現する。

人によっては、その声の存在感から椎名林檎、中島みゆきといった影響=リファレンスが思い浮かぶかもしれない。たしかに、歌謡センスとフォーク調なメッセージが強く伝わるドラマチックなサウンドを説明するのにわかりやすいキーワードだ。しかし、令和歌謡、令和ポップスをアップデートするべく〝美根〟は、力強いメロディーで琴線を震わす感動を鳴らし続ける。

もともと〝美根〟は、“みねこ美根”の名前で活動していた。今年の4月に心機一転〝美根〟へと改名をしたばかり。ストリーミング時代、とかくアーティストが増え、リリース数が増えた。〝美根〟もまた、現時点では埋もれた才能のひとりだ。

まずは、リリースされたばかりの新曲「零れる光」(こぼれるひかり)を耳にしてほしい。ゆっくりたゆたうように一歩ずつ歩みを進めるような力強い鼓動。訥々と、人を説得するかのように問い掛ける、人が生きる上で大事な真理を歌う”美しさ”に気づくはずだ。

そのロック色強いバンド・アンサンブルからは、オアシスやマニック・ストリート・プリーチャーズなど、90年代に誕生したUKロックなテイストも感じとれるからおもしろい。

さらに、“みねこ美根”時代の楽曲「我にかえれ」におけるせつなき旋律の流麗なるメロディー。キャッチーなイントロダクションにのせて、歌謡フィーリングなメロディーがたゆたう「さよなら起承転結」。ドラマティックな映像の浮かぶサウンドが魅力溢れる「くわの実」も耳にして欲しい。楽曲センスの良さ、幅の広い作風が伝わってくるだろう。まさに、今にも孵化しようとしている才能の卵といった状態だ。

「零れる光」を聴いて、知り合いのティーンエイジャーから「感動しました!」という反応を聴いてハッとした。そう、10代でまだ自分に自信を持てない学生こそ、かつての尾崎豊ではないがメッセージ性の強さ、生き方を導いてくれる〝美根〟の音楽、メロディーと言葉は刺さるのかもしれない。

昨今、Z世代発のムーブメントにニュートロという言葉がある。ニューとレトロを合体した造語だ。レトロの中に新しさを見出したカルチャーとでもいうべきか。もはや90年代ですら約30年前の世界だ。昨今の平成リバイバルブームの到来。古き良き時代への憧れを、若い世代の視点で取り入れるマッシュアップな感覚を持つ、リアルタイムといった概念の再解釈。そう、ストリーミング時代、音楽は出会った瞬間がリスナーにとって新曲となる時代となったのだ。

2022年5月25日にリリースされた〝美根〟最新曲「零れる光」は、配信曲としては初のセルフプロデュース作品となる。1本の映画作品を観たかのような聴後感を与えてくれる本作は、〝美根〟による表現者としての決意表明だ。そこには、流行り廃りや媚びることなど一切ない。

〝美根〟は「零れる光」の歌詞で、こう歌う。

「強く願えば 強く光刺す 未来が近づいてくる 僕らには見える 零れる光 見上げれば輝き出す まだ先が続いている」。

そこには、混沌の時代を生きる我々ながらも、紛うことなき希望が垣間見れた。

まだまだ無名な存在だが、オルタナティブ・シンガー・ソングライター〝美根〟の名前を覚えておいてほしい。音楽シーンに風穴をあけるであろう新しい才能。そう、〝美根〟を発見するのはあなただ。

〝美根〟「零れる光」 Photo by POWERPOP&Co.
〝美根〟「零れる光」 Photo by POWERPOP&Co.

<LIVE INFO.>

2022年7月8日(金)

開場:18:15~ / 開演:19:00~ @ 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE(東京都)

〝美根〟初ワンマンLIVE

http://eplus.jp/mine/

〝美根〟オフィシャルサイト

https://lit.link/minelink

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

ふくりゅうの最近の記事