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SpotifyプレイリストTOPカバーで注目の”空白ごっこ”。人気アニメ作品への抜擢で話題に

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
空白ごっこ / photo by ポニーキャニオン

●“生と死”というコンセプト、心象風景を赤裸々に描き出していく

2022年、要注目の新しい才能”空白ごっこ”。覚醒の1枚といえる『ラストストロウ』が届いた。TVアニメ『プラチナエンド』エンディングテーマ「ラストストロウ」が収録された話題作だ。『DEATH NOTE』、『バクマン』を生み出した大場つぐみ、小畑健の強力タッグが原作を手がけるアニメ作品への主題歌抜擢であり、2ndシリーズを彩る重要ナンバーである。

さらに、本作3曲目に収録された「ふたくち」がSpotify公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』にリストイン。今週TOPカバーとなったばかりだ。

Spotify公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』 / photo by Spotify Japan
Spotify公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』 / photo by Spotify Japan

https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWVlypmfyCIGr?si=8d2b5de6a4cb46d7

空白ごっことは、ヴォーカリストであるセツコ、コンポーザー針原翼、koyoriによるユニット形態の3人組バンド。最新曲「ラストストロウ」では、透明感ある透き通った歌声と心の痛みを両立する表現力の奥深さに注目したい。一度聴いたら忘れられない、エモーショナルなヴォーカリゼーションとブレスが魅力のセツコによる歌声、“生と死”を予感させる濃密なサウンドが心に突き刺さる。

「だんだんと空白ごっこが自分にとって馴染みのいいものになってきています。どうしていきたいとか、何をしていきたいかがはっきりと見えるようになってきました。」(セツコ)

「タイアップが決まったり、メディアに取り上げていただけるようになってありがたいですよね。そんなチャンスを掴みながら前に向かっていきたいです。」(koyori)

「これまでは準備期間だったのかなって、振り返って気がつくことがあります。年が明けて、セツコさんの発言も変わってきたんですよ。自信や成長を感じられるし、役割が明確になってきたというか。チームのスケール感も大きくなっていることをひしひしと感じています。空白ごっこに見合った大きな目標が定まってきたなと。」(針原)

●1曲目「ラストストロウ」

「ラストストロウ」は作詞をセツコ、作曲を空白ごっこの3人でCo-Write(共作)。アニメ『プラチナエンド』からの影響を強く感じさせるロックナンバーだ。これまで培ったバンドのアイデンティティーを惜しみなく込めた作品でもある。バラエティに富んだ前作2nd EP『開花』から一変して、ドープなイントロから深みへと突き進みながらも、セツコのブレスが印象的であり、心象風景を赤裸々に描き出していく作品だ。

「壮大にものを広げていきながらも、解釈として“こうだったんですよ”みたいな答えは出さないというか。全体の総括をするのではなく、主人公の幸せだった記憶にフォーカスしました。死がテーマな原作なので、死に近づいた瞬間を想像して、要素要素をいくつか歌詞に取り込んでいます。」(セツコ)

「今回、手探り感があって。僕が作りはじめたものを、ゴールが見えないなかハリー(針原)さんとセツコさんに投げて判断をもらいながら3人で作って。結果的にとてもよくなりました。」(koyori)

「セツコさんのブレスは、歌詞がないときのボーカルの存在をあらわすものなんです。歌っていない時を、どれだけ考えられるかを勝負したかったんです。他の人にバレたくないんですけどね(苦笑)。ラーメン屋の秘伝のタレ、みたいな感じで。今回は初っ端からブレス、息遣いが入っていて。それは、楽曲の“生と死”というコンセプトを表現しています。セツコさんのブレスを情報量あるサウンドとして捉えていて、こだわったポイントですね。」(針原)

●2曲目「カラス」

カップリング収録の「カラス」は、抗う気持ちをカラスに重ね合わせたkoyori詞曲による疾走感溢れるダークなロックチューン。バンド名に由来する、“何もないけれど何かある“空(くう)”という世界観を“心”に例えて、その精神世界で遊ぶ(ごっこする)こと”をコンセプトにした空白ごっこによる表現活動。まさにエモーショナルなギターフレーズがエッジーに空を切り開いていく。

「koyoriさんって毎回、koyoriさんらしい音色があるんですけどいつも楽曲が挑戦的じゃないですか? 『シャウりータイム』で出し切ったかと思いきや、上からドンって置き換えるよりも、下からぬるっと新しいモノを添える感じで『カラス』がやってきて、これは新しいなって。」(セツコ)

「この曲はタイアップ曲ではないし、なんの情報もないままにkoyoriくんに聞かせてもらって。ほんと飛び上がるほどカッコいい曲ですよね。」(針原)

「ギターがメインの曲です。このタイプの曲はひさびさで、ギターが熱いテンションの高さに高まる気持ちがあらわれているかも知れません。」(koyori)

●3曲目「ふたくち」

ストリーミングや通常盤CDの3曲目に収録された「ふたくち」。セツコによる詞曲ナンバー。なんとも言い表せない不安な気持ちを言語化したワードがすっと入ってくる作品だ。そこには悲しさとともに煌めいた優しさも感じられる。“だんだんとしまっていく感情”という精神状態の揺らぎともいえるフレーズが胸に残る。空白ごっこ“らしい”センシティブな世界観を生み出す極上のポップソングである。

「何のためにとかではなく、たまたま出来た曲なんですよ。『ラストストロウ』の制作中、上京をして一人暮らしをはじめて、生活の変化がありました。目標だったんですけど、健康的になることが多くって。考え方が楽観的になったというか、病まなくなりました(苦笑)。でも、到達したら到達したでデメリットもあって。大丈夫ではなかった頃にあった繊細な部分や細かい機微に気がつけた感覚が緩くなっていて。メリットとデメリットがあるんだなって冷静に受け止めて歌詞にしました。欲張りだなって、このタイトルにしたんです。」(セツコ)

「単曲でシングルにするのであれば、もっと柔らかにしていたかもしれません。他の2曲が強すぎたので、この形で完成しました。聞き応えという意味でサウンドは骨太になっていると思います。歌詞は、どちらにもとれたんですよ。でも、強さに沿った世界観になっていますね。」(針原)

「デモの段階から、いい曲だなと思って。よもや嫉妬すら生まれるくらいで(苦笑)。アレンジが組み上がって、ひとつひとつの音の存在感もバランスがよくて。説得力ある曲になりました。」(koyori)

●空白ごっこによるアートワーク、今後について

本作『ラストストロウ』のアートワークはセツコが手がけた。サウンド&ヴィジュアルというクリエイティヴ面の進化、新たな一歩を踏み出した2022年の空白ごっこ。すでに様々なメディアからの注目度も上がっている状況だが、今年はどんな年になりそうだろうか。

空白ごっこ『ラストストロウ』初回限定版アートワーク / photo by ポニーキャニオン
空白ごっこ『ラストストロウ』初回限定版アートワーク / photo by ポニーキャニオン

「アートワークは、3曲が完成する前にイメージがあって。今回、青と白の2色の砂つぶを使っていて、遠くから見ると砂つぶ同士が混ざってみえるんだけど。絵の具みたいに溶けあうわけではなく、遠いところにいるというのが『ラストストロウ』の世界観に似ているかなって。」(セツコ)

「今年は、よりチームの結束力が高まってきたので、僕も同じ方向をみて頑張っていきたいですね。」(koyori)

「去年からツアーもはじめてチャレンジはしているし、どれだけの評価が帰ってくるのかが明らかになっていく怖さもあります。でも、それを楽しみながらも、多くのリスナーに広げていきたいし、耳に届けるというゴールをしっかり見届けたいですよね。」(針原)

空白ごっこ オフィシャルサイト

https://www.kuhakugokko.com

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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