DOLL PARTSの登場は、2021年いまだカオスなシーンにおいて、ロック再生の起爆剤となりそうだ

DOLL PARTS photo by BAJ

今の時代の流れに逆行するバンドかもしれない。しかし、新しい時代のうねりを創り出すバンドとなるかもしれない。

DOLL PARTSが醸し出す、90年代ロックサウンドと昭和歌謡テイストを感じさせるメロディー、感情を突き動かす艶情なリリック(歌詞)、そしてライブハウスで目撃したひりひりとしたオルタナティヴな佇まいに魅了された。現在、世界的にラップやポップが音楽シーンを席巻しているが、DOLL PARTSの登場はロック再生の起爆剤となりそうだ。

令和時代のロックアイコン、博多出身のヴォーカル&ギターARISAによるワイルドで妖艶な存在感は、海外勢であるスタークローラーやL7、そしてバンド名の由来となったHOLE率いるコートニー・ラブを彷彿とさせる。リズム隊を固めるのは、岡山生まれ国立大工学部出身のレッド・ホット・チリ・ペッパーズを崇拝するベーシスト、シンジョーによるパワフルなグルーヴセンス。そして、群馬出身で菅沼孝三に師事しながら高橋幸宏も敬愛するというテクニカルなドラマー児太郎という3ピース。

そんなDOLL PARTSが初のミニアルバム『THE FIRST TASTE OF ME』を4月28日にリリースした。

「去年の5月にアルバムをリリースする予定だったんです。それがコロナ禍で延びて延びて……。でも、その頃に作っていた曲は、今の曲と全然違って。コロナ禍でもやれることあるだろうって、無観客で配信ワンマンやったり、いろんな経験をしてバージョンアップした曲が今回のミニアルバムとなりました。リハもいっぱいやったし、DOLL PARTSが一発で伝わる1枚になったと思います。」(ARISA:Vo&G)

「発表するタイミングが延びたことで曲数も増えたし、新曲も入ってDOLL PARTSらしさを表現できたなと思います。」(シンジョー:B)

「CDを出すという経験が初めてなので感慨深いですね。DOLL PARTSに入って毎日が刺激的で。」(児太郎:D)

バンドの魅力を伝えるために、まずは先行配信された「ア・イ・ノ・カ・タ・チ」におけるミュージックビデオを観てほしい。グランジやパワーポップを掛け合わせた日本ならではのタイトなロックサウンド、相手を好きすぎて食べて一体化したい想いを昇華する究極のラブソングへと仕上がっている。『週刊少年ジャンプ』で連載された漫画『チェンソーマン』的なブッとんだ世界観といえば伝わる人もいるだろうか。ライブでフックとなるキラーチューンだ。

さらに、相反するようにポップな世界観を醸し出す「シャイなあなた」も要チェック。実はこの曲、シンセポップ風味のさわやかな作品に見えながら、歌いはじめから「もう20回電話した 明日はもっとかけるね」というストーカーちっくな想いを表現したギミッカブルな異色ラブソングなのだ。この2曲の振り幅から、ステレオタイプなロック像を超えたオリジナルな存在感があなたへ伝わるだろうか。

異端な香り漂う、ただ者でないセンスを予感させるDOLL PARTSの3人は、まずARISAを中心に結成の話が進んだという。

「バンドになる前、わたしがソロで”DOLL PARTS”として活動していて、ライブではサポートメンバーに参加してもらってました。その頃から、プロデューサーのCOZZiと一緒にやっていて。でも、だんだんとソロではなくバンドにしたい気持ちが強くなって。そんな時に対バンで出会ったのがシンジョーでした。ベースの弾き方やフレーズがいいなって声をかけました。それが2年前ぐらいで、そこからドラム探しがはじまって。知り合い伝手で、児太郎を紹介してもらってセッションしたらとてもいい感じで。」(ARISA:Vo&G)

ARISAは、小学生の頃に土屋アンナ「LUCY」に影響を受けてロックに目覚めた。

ARISA / DOLL PARTS photo by BAJ
ARISA / DOLL PARTS photo by BAJ

「小さな頃から、お母さんがエアロスミスやブロンディを爆音で聴いていて。そこから、土屋アンナさんの『LUCY』のミュージックビデオを観て衝撃を受けました。日本に住んどる人でこんなカッケー人おるんやって。ロックをやりたい気持ちが芽生えました。プロデューサーのCOZZiさんが書いた曲だったこともあり、今の活動へとつながりますね。」(ARISA:Vo&G)

シンジョーは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやヒトリエをリスペクト。パワフルなライブ中のアクションとは打って変わり、取材中は柔らかな側面もみせる。

シンジョー / DOLL PARTS photo by BAJ
シンジョー / DOLL PARTS photo by BAJ

「大学入った時点で、将来は音楽でやっていきたいと決めていました。卒業をきっかけに東京に出て。ARISAに声をかけてもらって、これはチャンスだなと。ARISAの歌がほんとすごくて。普段は、ヒトリエが好きで、生で人間が演奏している感じに憧れていました。レッチリもそうですけど、ライブ感が大事なポイントですね。」(シンジョー:B)

児太郎は、現役音大生の20歳。菅沼孝三やYMOからの影響を熱く語るという次世代センスを醸し出す。

児太郎 / DOLL PARTS photo by BAJ
児太郎 / DOLL PARTS photo by BAJ

「菅沼孝三さんがレッスンをやられていて、弟子にしてくださいってお願いしました。ドラムをはじめたきっかけはYMOの高橋幸宏さんでした。叩き方、スネアのバックビートを打つ時にリムショットするんですけど、リンゴ・スターの影響らしいんです。僕も実践してますね。あと、マイケル・ジャクソンも好きですよ。」(児太郎:D)

DOLL PARTSの歴史はまだスタートしたばかり。当面は、ルーキーバンドらしくロックフェスでの活躍を目標とするという。2021年、まだまだ世の中はカオスな空気に包まれてはいるが、そんなモヤっとした視界を切り裂く強烈なサウンドと言葉。あなたの心のプレイリストへ織り込んで欲しい。

【全曲解説セルフライナートーク:『THE FIRST TASTE OF ME』DOLL PARTS】

ファーストミニアルバム『THE FIRST TASTE OF ME』DOLL PARTS / photo by BAJ
ファーストミニアルバム『THE FIRST TASTE OF ME』DOLL PARTS / photo by BAJ

1. ア.イ.ノ.カ.タ.チ

「最初、女性の嫉妬や独占欲について書きたいと思いました。ロックなんだけど昭和っぽいニュアンスというか。それがDOLL PARTSの色かなって。この曲に関しては“阿部定事件”をモチーフにしてアレンジしました。究極の情念ですよね。昔から事件などを調べるのが好きで。闇って、根っこには誰もが抱えていると思うんです。実行するかしないのかの違いで。わたしの歌詞って“僕”とか出てこないんですよ。全部“女性目線”なので。」(ARISA:Vo&G)

「DOLL PARTSらしさが伝わりやすい作品です。ARISAが書く歌詞って1本の映画やドラマのようで。言葉の強さ、圧があるんですよ。でも、小難しいわけではなく一枚、透けたベールに包まれているというか。」(シンジョー:B)

「歌詞がエグいんですよ。でも曲調は軽快で明るくって。なのでジャストにタイトなビートで叩きました。歌の存在感が強いので、負けないように心がけましたね。」(児太郎:D)

2. 金曜日のベッド

「バンドになる前からやっていた曲で。ロックでガッツある曲にしたかったんです。実は何バージョンもあるんですよ。やっと、バンドスタイルに落ち着けましたね。歌詞は、実はちょっと寂しい女性の曲で。」(ARISA:Vo&G)

「なんども聴けるような流れを意識しました。DOLL PARTSらしさをよくあらわしている曲ですね。」(シンジョー:B)

「バンドに入って最初にセッションした曲でした。僕の中ではDOLL PARTSといえばこの曲ですね。レコーディングでは、ちょっと変わった音が欲しくてハイハットをクラッシュシンバルに変えたんです。16分で刻みながらもロック感を忘れずに心がけました。」(児太郎:D)

3. FAKE

「まっさらに新曲として作ったナンバーです。勢いでテンションで作りあげました。歌詞は、いまの時代に向けてパンク感があるというか。テレビのワイドショーなどで見えてくる嘘に感じた苛立ちが凝縮していますね。ライブの最後とかに合いそう。」(ARISA:Vo&G)

「新曲でゼロ時点から参加できた曲なので、楽しくレコーディングできました。けっこう自分が出ている演奏だと思います。」(シンジョー:B)

「最初にデモを聴いた時に、ARISAの新しい面を感じました。みんなで作りあげた曲、各々のオリジナリティーが込められたイメージが強いです。」(児太郎:D)

4. シャイなあなた

「さらっと聴くと普通にラブソングなんですよ。ポップなメロディーとサウンドなんで。でも、怖がらせてやりたいなって気持ちもあって。歌詞の面ではストーカー的な。でも、ストーカーの人って自分がストーカーしていることに気がついていないんですよ。“あなたシャイね”ぐらいな。それをタイトルにしました。元は、HOLEの『Maribu』みたいな曲にしたくて。でも歌詞が強いので、どうせなら曲調はもっとポップにしてみようと。」(ARISA:Vo&G)

「このバンドで一番衝撃を受けた曲かもしれないです。最初は、DOLL PARTSってこんなストレートな曲をやるんだって印象だったんですけど、歌詞が実はね(苦笑)。自分の常識が壊されていく感じで。本当の顔の部分というか、裏の自己紹介みたいな曲ですね。」(シンジョー:B)

「歌詞とは裏腹なポップサウンドが怖さをより強調していますね。演奏に関していえば、リハする際、シンジョーと合わせるのがこの曲なんです。無機質な感じで歌を大事に。」(児太郎:D)

5. Anata

「やさしいメロディーだけどサウンドはファズで歪んだ音で。DOLL PARTSの中で珍しく直球なラブソングとなりました。ポイントは、実体験を含めた歌詞ですね。女性ファンも多いので、正直ライブで泣かしたくて書いた曲です。トータルでは寂しく響く曲かな。失恋じゃないですけど、でも少しだけ希望があるという歌詞なので。」(ARISA:Vo&G)

「デモを聴いた時から感動して。そんな初期衝動を崩さずに伝えたいと演奏しました。」(シンジョー:B)

「めずらしく自分が共感できる歌詞というか(苦笑)。純粋なラブソングですね。お客さんを巻き込んで、感情移入して気持ちよくライブで演奏している好きな曲です。」(児太郎:D)

6. Bird’s eye view

「ステージ上からの視点を書いた歌詞ですね。サウンドが爽快じゃないですか? 素直に合わせてストレートに書きましたね。」(ARISA:Vo&G)

「頭の中をまっさらにして伝えられる曲です。最初はいろんな演奏を取り入れていたんですけど、結果シンプルに落ち着きました。伝わります? なんだか、ふわふわした言い方になってしまいますけどね。」(シンジョー:B)

「この曲は自分のリズムに徹して叩いてます。」(児太郎:D)

7. 妬み心

「冒頭で『女の嫉妬は根深いの』って歌詞があるんですけど、“根深い”という感情が頭に降りてきて、そこからストーリーが進んでいきました。どちらかといえば、最近できた曲で。昭和っぽい感覚が強い歌詞ですね。DOLL PARTSのイメージでいう昭和感とは、山口百恵を意識していますね。サウンドは、シャッフルでお客さんが乗りやすいようになっています。わたしが好きな曲なんですよ。」(ARISA:Vo&G)

「合わせはじめの頃からハマりがよくって。ライブのセットリストでの採用率が高いですね。」(シンジョー:B)

「自然と身体が動いた曲です。最初に合わせた段階からいい感じでした。」(児太郎:D)

DOLL PARTS オフィシャルサイト

https://dollparts.jp/