Official髭男dism、映画ドラえもん主題歌で表現する俯瞰視点から描く青春ポップ

photo by Official髭男dism

●Official髭男dism、2021年第一弾楽曲「Universe」

子どもの頃、ドラえもんの映画が好きだった。SF映画という概念を知ったのも、映画という奥深いストーリーテリングに魅了されたのもドラえもんがきっかけだった。その後、どんな映画を観ても“このテーマ性、ドラえもんでやってたじゃん!”とドラえもん原理主義となってしまった少年時代だった。なかでも、1985年に公開された『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争』は古典である『ガリバー旅行記』や、SF映画『スター・ウォーズ』、短編『天井裏の宇宙戦争』(『ドラえもん』てんとう虫コミックス19巻収録)などをオマージュとしたマッシュアップ風展開に驚かされたものだ。作者、藤子・F・不二雄によるマニアックな映画好き要素が本作には凝縮されている。

さらに細かい話をしよう。当時本編が、雑誌『コロコロコミック』で“大長編ドラえもん”シリーズとして連載された際、最終回後半のハイライトシーンを袋とじで表現されたことは忘れられないセンセーショナルな事件だった。小学3年生で同級生だった小石くんに、急展開する物語のハイライトシーンを昼休みの教室の黒板の下で座りながら熱く語ったことを今も鮮明に覚えている。ポップカルチャーとは青春の栄養なのだ。

そんな本作が、映画『ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』としてリメイクされる(※新型 コロナウィルスの感染状況に鑑みて、公開延期へ)。

https://doraeiga.com/2021/

主題歌に起用されるのがOfficial髭男dism、2021年第一弾楽曲となる「Universe」だ。機材を撮影したジャケット写真も、青と赤と黄色=“ドラえもんカラー”を意識していることに好感が持てる。

国民的バンドとなった“ヒゲダン”が、国民的コミック&アニメ『ドラえもん』とコラボレーションするとなれば掛け合わされるシナジー効果は絶大だ。しかも本作は、2020年に迎えたドラえもん連載開始50周年の記念作品の集大成となる。新たに書き下ろされた脚本と3DCGで繰り広げられる映像表現。脚本に、レコードレーベル“フロッグマンレコーズ”を運営した経歴を持ち、テクノ黎明期を支え、音楽文化とアニメーション文化を紡いだ佐藤 大が参加していることも気になるポイントだ。

●あの頃の思い出の扉を開けてくれるかのような魔法めいたポップソング

さらに注目したいのが主題歌となるOfficial髭男dism「Universe」。ラグタイム・ジャズ風のイントロダクションから、壮大な宇宙空間を想像させるアグレッシヴに跳ねるピアノメロディー。レコーディングにおけるサウンド面でのこだわりの進化を感じながらも、メリハリある音像は王道“ヒゲダン”ソングとでもいうべき、多幸感ある歌メロが優しく温かく僕らに寄り添い積み込んでくれる。

そして、なんといってもミュージックビデオがいい。子ども部屋にいたキッズが未知との遭遇!?を彷彿とさせる冒頭シーンから、まるで映画『のび太の宇宙開拓史』で異次元と繋がる扉(畳)のようにOfficial髭男dismが宇宙船で演奏するシーンへ乗り移る。ワウギターのカッティング、繊細にビートを刻む巧みなドラム&うねるベースの気持ちよさ。ピアノと歌メロで宇宙船を操縦するかのように飛行する展開。キッズが卓(ミキサー)を操り、ゴスペル的高揚感を醸し出すブラスが織りなす鳥肌ものの多幸感。映像とのシンクロ率が高い作品となっている。

ドラえもんワールドとリスナー自らの幼少期、さらに“心に土足で来た侵略者”などはSNS時代を生きる人々の感情を掛け合わせ、“0点”と“満点”、“伸びた影=のび太?”という歌詞フレーズで魅せる遊び心。ああ、なんだか愛に溢れていて泣けてくる……。時間を忘れて日が暮れるまで遊びまくった、あの頃の思い出の扉を開けてくれるかのような魔法めいたポップソングに仕上がっているのだ。オーラスへと突き進む、センチメンタルな胸の高鳴りが止まらない。

“星空を見ていた〜”から半音上に転調する“ユニバース”へ向けて、ラストへ駆け抜けていくパートは、俯瞰視点から自らの幼少期を見ているかのような着地っぷりに脱帽だ。タイトル「Universe」とは、答えのない日々を“生きていく”ティーン世代、そして“生きてきた”大人世代における自分自身のこと。「Universe」とは、“みんなのうた”なんだな。

photo by 「Universe」Official髭男dism
photo by 「Universe」Official髭男dism

Official髭男dism オフィシャルサイト

http://higedan.com/