Yahoo!ニュース

Hi Cheers!、キャッチーな新世代バンドが織りなす歌声が紡ぐ極上ポップソング

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
Photo by Hi Cheers!

●ポップ度120%な作風が魅力

YouTubeやストリーミング・サービスが普及した音楽シーンは、よりジャンルレスな時代に突入している。表現者が影響を受ける作品は時間軸を超えて多岐に渡っている。そんななか気鋭のニューカマー4人組バンド、Hi Cheers!(ハイチーズ)に注目したい。ヒット・チャートはもちろん、渋谷系好きにもシティ・ポップ好きにも刺さるポップかつ気の利いたサウンド・センスに耳を奪われた。

具体的に言えばフリッパーズ・ギターやSMAP、Little Glee Monster、Official髭男dismなどを好きなリスナーにも聴いてもらいたい。歌って楽しい、ポップ度120%な作風が魅力だ。思えば、日本の歌謡曲やニューミュージック、シティ・ポップは、あらゆるジャンルのいいとこどりだった。Hi Cheers!に感じたのは、リスニング・ミュージックとしてのリファレンスの奥深さと完成度の高さだ。

●若者世代ならではの怖いもの知らずな毒っ気を併せ持つ言葉の力

まず1stシングルとしてお披露目したのが、ポップでキュートなキラーチューン「ABCがワカラナイ」(2020年7月17日配信リリース)だ。

「4人で歌える曲にしたかったんです。あと、ソカのリズムをやってみたくて。」(高村風太:vo/key)

「“ABC”とはモノゴトの順番、プライオリティーのことを言っています。」(上野正明:vo/gt)

「キャッチーなんですけど、ちょっとした皮肉めいた歌詞がまたいいんですよ。」(Chie:vo/gt)

「答えを聞き手に任せているところが素敵だなって。良いのではと(笑)」(月川玲:vo/ba)

まるで80年代〜90年代の歌謡ポップな勢いある陽気さ、リズムはラテンであり、若者世代ならではの怖いもの知らずな毒っ気を併せ持つ言葉の力も強い。そう、ただキャッチーなだけではなく、骨太な指針を持つメッセージソングでもあるところにパンキッシュなセンスを感じたのだ。

“他人の声を気にして 言われた通りこなして それじゃ僕じゃなくていいじゃん!!”

“苦労は買ってでも そんなものにお金は払いたくない!!”

“やりたいことをして 悪あがきの僕らは未完成さ”

作詞作曲:高村風太

(「ABCがワカラナイ」歌詞より抜粋)

まさに、フルテンで感情を解放するポップセンスの高揚感に心を鷲掴みにされたのだ。

●巧みなコーラスワークでオーディエンスを魅了

Hi Cheers!は、メンバー4人がもともとシンガーソングライターの経歴を持ち、それぞれが曲を作り、歌い、楽器を担当する。巧みなコーラスワークでオーディエンスを魅了する新世代バンドだ。結果、楽曲に応じて様々な表情を届けることができる。ありそうでなかったこのスタイル。それを20代前半のクリエイターが、最新のセンスを織り交ぜながら生み出しているのだから興味深い。各メンバーへインタビューをしたので自己紹介がてら発言を抜粋してみよう。

「もともとシンガーソングライターでした。でも、だんだん独りは嫌だなと思って(苦笑)。ビートルズの映画を観て仲間と一緒に曲を作りたいなって。それで僕が好きな人を集めてバンドを組みました。僕は、星野源さんなどJ-POP全般が大好きで。親がディスコサウンドやサザンが好きで、影響を受けて育ちましたね。」(上野正明:vo/gt)

「作家やプロデューサー志望でした。山下達郎さんや吉田美奈子さん、角松敏生さんなど80年代AORが好きで。なんでも聴きます。ルーツは中学の頃に聴いていたSMAPですね。常に時代の作家さんを取り入れていて、アルバムごとに作風も違っていて。大好きです。時代に揉まれるバンドになっていきたいです!」(高村風太:vo/key)

「玲ちゃんと2ピースバンドをやってました。小さい頃はダンスをやっていて、音楽を聞くというより踊っている子でした。14歳ぐらいの時にギターをはじめました。MIYAVIさん影響でアコギでスラップ奏法をやってみたり、三味線やウクレレもやっています。ボカロ周りも好きですし、好奇心散漫なんですかね(苦笑)」(Chie:vo/gt)

「ずっと70年代洋楽のロックが好きで。2,3年前から別のユニットきっかけでベースをはじめました。両親の影響で、赤ちゃんの頃から聴いていたのがXTCやレッド・ツェッペリンでした。両方好きで。邦楽はCHARAさんや土岐麻子さんは聴きますけど、天邪鬼なので流行っている音楽はあまり聴いていないですね(苦笑)」(月川玲 :vo/ba)

●バンドのコンセプトは“Show me your smile”!!!

Hi Cheers!は、バンドのコンセプトを“Show me your smile”と掲げている。なるほど、ゆえにバンド名が“ハイチーズ”なのだ。4人が写ったアーティスト写真でメンバーはカメラを抱えてこちら(リスナー)にシャッターを切ろうとしている。まさに、自分たちが奏でるサウンドによって“あなたの笑顔をみせて!”ということなのだろう。

「僕らは、バンドで世界を変えてやるってような気持ちはないんです。少しでも、僕らの曲を聴いてくれる方が楽しくなってくれたら嬉しいなと。よく、辛い思いをしている人を音楽で変えることはなかなか大変だっていうじゃないですか? でも、元気になろうとしている人の背中を押せたら嬉しいなって。そんなバンドになりたいです。“Show me your smile”ということですね。」(高村風太:vo/key)

2020年、まだまだカオスな時代ではあるが、ニューノーマルな時代に笑顔の指針を与えてくれるような羅針盤となるバンド、Hi Cheers!。実は、まだまだいい曲がたくさん控えているので今後の活躍が楽しみだ。

Hi Cheers! オフィシャルサイト

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

ふくりゅうの最近の記事