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いま聴きたい歌がここに。エモーショナルに刹那ポップを奏でる2人組、BLUES DRIVER

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
BLUES DRIVER photo by ポニーキャニオン

●Mr.FanTastiCは輝いている太陽。BLUES DRIVERは対照的な月

YouTubeチャンネル登録者数50万人超え、Twitterフォロワー数10万超え、歌ってみた動画は総再生回数2,000万超え、2019年にメジャーデビューしたロックバンドMr.FanTastiCの活躍で知られるメガテラ・ゼロ(Vo)と、ろまん西野(Ba)のふたりが結成した新プロジェクト、BLUES DRIVERに注目したい。

期せずしてSTAY HOME=巣篭もり期間となった4月から、毎週のようにミュージックビデオとともにサブスクで配信リリースしてきたBLUES DRIVER。刹那ポップで心を鷲掴みにする、思わず口ずさみたくなるドラマティック・チューンの数々。インディーポップ、オルタナティブロックな側面を感じさせるサウンドでありながら、人懐っこいメロディーと芯のある歌心。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックで未曾有の年となった現在。5月20日にリリースされたばかりの1stアルバム『BLUES DRIVER』をメンバーの言葉とともに解説していこう。

「Mr.FanTastiCだと、“明るく”というのが基本なんですけど、自分は根が明るくないので、飾らず、嫌なものは嫌みたいな。そういった面が如実に現れているのがBLUES DRIVERですね。ただワガママに作るだけなんで。」(メガテラ・ゼロ)

「曲が完成して後から思ったんですけど、BLUES DRIVERの曲には“泣かせる”っていう要素があると思います。全曲泣かしにいく、みたいな。メガちゃんの歌詞や声を活かすことを考えると、感情を揺さぶるポイントを刺激するのが大事というか。BLUES DRIVERは自分たちがやりたかったことの詰め合わせなんです。ある種、実験的でもありキメラじゃないですけど、この人のここ好き、この人のここ好き、この人のここ好きを組み合わせて混ぜ合わせたというか。それこそ、音楽ってオリジナルと言いつつも、これだけ歴史を重ねていると影響を受けたものの再生産な部分があると思うんです。うん、いいとこ取りなイメージですね。」(ろまん西野)

ポップ・ミュージックとは、先人の知恵をバトンのように継承していくカルチャーだ。ぐるぐると螺旋階段上に歴史は積み重なっていく。こうしてたどり着いたBLUES DRIVERによるオリジナルの世界観は、感情を揺さぶる刹那ポップな要素が特徴だ。たとえるならKing Gnu、Official髭男dism、秋山黄色などが解き放ってきた、昨今、ヒット曲のキーワードと言われる“エモみ”が一致するのだ。全身全霊で、琴線を揺さぶるナンバーにCDやストリーミングサービス、YouTubeを通じて耳を傾けてみてほしい。あなたの心に刻まれる、忘れられない出会いとなるはずだ。

<【全曲解説】BLUES DRIVER セルフライナートーク>

music by BLUES DRIVER / word by メガテラ・ゼロ

配信限定. 「大嫌いで、本当に最低で」(配信中&MV公開中)

「Mr.FanTastiCのライブでお酒を呑みながら、ベースのろまんさんとふたりで、僕はピアノを弾きながら歌ったのが最初でした。酔っ払ってましたね(笑)」(メガテラ・ゼロ)

「あのときのメガちゃんの顔は家でくつろいでいるときの顔でした(笑)。Mr.FanTastiCは輝いている太陽なんです。BLUES DRIVERは対照的な月ですね。それを象徴する曲だと思います。」(ろまん西野)

M1. 「BLUES DRIVER」(配信中&MV公開中)

「この曲は特殊で、最初ギターとドラムのパターンがありました。Mr.FanTastiCの前の頃ですね。ふと、曲を作ろうと思った時があって、ライブかリハの後で深夜だったんですけど、音源を掘り出して聴いてみたら“ええやんこれ!”ってふたりで勢いで作りあげました。サウンドの世界観はもちろん、BLUES DRIVERにとって名刺代わりになる曲というか。一番大好きなものたちを詰め込んだイメージですね。」(ろまん西野)

M2. 「勇者ではないです」(配信中&MV公開中)

「アニメが好きなんですけど、どのアニメを観ても主人公が嫌いで(苦笑)。でも、モブなキャラクターだけど人気になる人っているじゃないですか? “勇者じゃなくたって頑張ってるんだぜっ”ていう曲ですね。」(メガテラ・ゼロ)

「一番こだわったのは“いってらっしゃい”の一節です。生音プラス、いろんな音プラス、聴いたときに鳥肌が立つように思いを込めて作りました。」(ろまん西野)

M3. 「believe this」(配信中&5/27MV公開)

「リスペクトしているrevenge my LOSTというバンドに会えたときに、大きな影響を受けて作った曲です。すごすぎるバンドなので、じゃあ、自分でやれる精一杯はこれだなって。」(メガテラ・ゼロ)

「こんなドラムのパターンで曲を作りたいなってアイディアありきで実現した曲ですね。作ってみて思ったのは、初期のワンオクの匂いを感じるなって。」(ろまん西野)

M4. 「我がためのロックンロール」(配信中)

「アルバムがマイナス思考の曲ばかりだったので、一瞬だけでも明るい曲をと作ったのがこれでした。でも、結局は“お前のために音楽をやってるんちゃうぞ”っていうワガママな曲になりましたね。」(メガテラ・ゼロ)

「われわれ、バンドサウンドがやっぱり好きで。バンドサウンドをやろうとしてすごい勢いでできた曲ですね。メロディーと歌詞がぎゅっと詰まった状態で届いて、3日ぐらいで完成しました。」(ろまん西野)

M5. 「EMPTY」(配信中&6/3MV公開)

「海外のダンスチューンが好きで、試したいなって作った1曲目です。イヤーズ&イヤーズやクリス・ブラウンとか好きなんですよ。ゆくゆくはクラブとかでもかかるような曲も作ってみたくて。」(メガテラ・ゼロ)

「“こんなにメロディックな言葉で畳み掛けてくる曲になるとは”って思いました。サビメロも中毒性高いですよね。オケの気持ちよさ、流れの気持ちよさの上にメガちゃんのメロディーや歌がライドしていく感じで。」(ろまん西野)

M6. 「おしゃれに隠したありがとう」(配信中&6/10MV公開)

「弾き語りでやっていた曲ですね。それをバンド・スタイルにして。アーティストって恥ずかしがり屋だけど、親や親戚などに感謝の気持ちを歌で伝えたくて作った曲です。」(メガテラ・ゼロ)

「一番泣ける曲ですね。年齢を重ねれば重ねるほど伝わってくるというか。長く聴いてもらえる曲なんじゃないかなって。合唱とかで歌ってもカッコいいと思うんですよ。」(ろまん西野)

M7. 「斉唱」(配信中)

「明るい曲がもう1曲欲しいなって作った曲で。でも、勢いあるけど内容は暗いっていう。“世界は俺が死んでも死ななくても回るぜ”っていうね。明るい曲と誤解しながら聴いて欲しいです。」(メガテラ・ゼロ)

「サビの最後で“僕なしで回れ”ってあるんですけど、“あんなに前向きだったのにお前は後ろ向きなんかい”っていう。でも、誰もが思うことだと思うんです。心が疲れているときでも寄り添ってくれる曲ですね。」(ろまん西野)

M8. 「Good Bye My Girlfriend Baby」(配信中&MV公開中)

「最初はピアノで即興で作った曲だったんです。反応がよかったので曲にしてろまんさんに投げた曲ですね。最初にできたオモチャみたいな感じっていうか。曲にしてみたいなっていうワクワクする感じがあって。」(メガテラ・ゼロ)

「メガちゃんから送られてきた最初のピアノ弾き語り曲ですね。そこからオケを形にしていきました。」(ろまん西野)

M9. 「幸せブルース」(配信中&MV公開中)

「Mr.FanTastiCが発足する前ぐらいからトラックはできていて。なんていうか、恋愛の割り切れない感情を代弁してくれていて。女性からしたら女々しく映ると思うんだけど“それも男なんやで”っていう曲ですね。」(ろまん西野)

「この曲は女性に嫌われる曲ですね(苦笑)。でも、ちゃんと伝わるように歌っていきたいんですけど、ライブやらないのでたぶん無理ですね(苦笑)」(メガテラ・ゼロ)

M10. 「This My Life All Away」(配信中&MV公開中)

「散々我慢してボーンと出すっていうか。最初、点ぐらいの弱いところから最後強くなるってのが大好きで。この曲、『もののけ姫』やって思っているんですよ。“最後、ダイダラボッチが出てくる”みたいな(笑)」(メガテラ・ゼロ)

「構成が破天荒。途中まで静かなのに、違う曲がはじまったのかぐらいの大音量になって、最後また戻っていくという。流れが気持ちいいので、ここから1曲目にまた戻ってアルバムをリピートして楽しんでほしいです。」(ろまん西野)

BLUES DRIVER公式サイト

https://bluesdriver.jp

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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