アイラヴミー、令和時代を生き抜くアンセム「でも生きている」が持つ音楽のチカラ

アイラヴミー photo by 小川愛晃

ヒットの法則に、“世の中の流れ×自分だけが出来ること”という式がある。そして生まれるのが一期一会となるオリジナリティーだ。ポップミュージックの世界で大事なのは感情に訴えかけるメロディー、湧き上がる衝動を突き動かす言葉のパワー、そして文脈を紡ぐ心に染み渡るアレンジメントのバランスの妙だと思う。ポップとは、世の中を露わにする鏡みたいなものだ。

アイラヴミー photo by 小川愛晃
アイラヴミー photo by 小川愛晃

8月4日深夜、フジテレビの音楽番組『Lovemusic』にてフックアップされた3人組バンド、アイラヴミー(さとうみほの、野中大司、井嶋素充)が満を持して解き放つ新曲「でも生きている」が素晴らしい。すでにライブでも定番のキラーチューンだ。

イントロダクションから〈ほめられたい ほめられない ほめられないと伸びないのに チヤホヤされたい 才能無い あの子はいいな世渡り上手〉と、誰もが一度は感じたことがある心の片隅に抱え込んでいた負の感情にジャブを打つ。詞曲を手がけるヴォーカリスト、さとうみほのはバンドのコンセプトを表すキーワードを“ダメンタル”と名付けた。しかし、負けっぱなしではない。タイトルでもある〈でも生きている〉というパワーワードによって楽曲は急展開して加速していく。〈まだ生きてんだからさ またここからはじめるんだよ〉と負け犬戦士は宣言するのだ。

「ストレートなわかりやすい曲ですね。トラックメーカーと一緒にやった新しいサウンド感です。ギター的には、エレキギターっぽいアーティキュレーションで無い弾き方(横に置いて弾く)がサウンド的に合うのかなって。でも、“ダメンタル”というキーワードから『でも生きている』の境地にたどり着くのはドラマを感じますよね。」(野中)

「もともと、バンドメンバーに褒められたくて作った曲で(苦笑)。“私、曲作ってるのになんで褒めてくれないの?”ってメンバーに思って書きました(笑)。メンバーが、他のバンドのヴォーカルさんを褒めたりするんですよ。そうしたら“あの子はいいな世渡り上手”で、とか思っちゃったり(苦笑)。お恥ずかしい話なんですけどね。それを煮詰めていたら、だんだん歌詞が恋愛ソングになったんですけど、途中で“私が描きたいのは恋愛ソングじゃない!”って気がついてこの形になりました。堂々と自分の事をさらけ出している瞬間に“生きている”って思えたんです。」(さとう)

「詞のエモーショナルなところも熱いんですけど、ライブでこの曲をやるとき僕はずっとジャンプしてるんですよ。動かずにいられないっていうか。ライブでも聴くというか心と身体で感じて欲しい曲ですね。アイラヴミーの音楽は踊れるように作っているから、そこをもっともっと伝えていきたいですね。一緒に踊ってください。」(井嶋)

アイラヴミー photo by 小川愛晃
アイラヴミー photo by 小川愛晃

楽曲構成は洋楽的であり、足し算思考のJ-POPとは真逆のそぎ落とされたシンプルさが魅力だ。エレクトロ、EDMライクな四つ打ちビートではじまる踊れるニューロック2019。シンセポップなフレーズ、バンジョーを取り入れた高揚感に胸が高まる突き抜けたポップセンス。“心の痛み”に寄り添う魔法めいた歌詞のチカラに琴線を刺激された。サウンドとシンクロする日本語詞による言葉のノリ方が絶妙なのだ。

ほら生きている 朝日が私を照らしてる

ほら生きている ちゃんと今もまだ息をしている

幸せになるために生まれて来たんだから

ほら生きている ほら生きている

出典:でも生きている

ライブでは、3人組というキャラクター性の濃さも炸裂する。劣等感と自信の間を揺れ動く、さとうみほのによる気持ちの伝わる歌声の素晴らしさ。ギターをトリッキーにプレイするハットが似合うファッショナブルなギタリスト野中大司。スポーティーでアグレッシヴなベース&シンセ使いがキャッチーな井嶋素充というメンバーの存在感の強さ。さらに、サポートでドラマーも加え、音楽の楽しさをこれでもかと表現してくれる。

アイラヴミー「でも生きている」。2019年を映し出す、不安定な時代を刻むせつなさを具現化したパワーポップ・アンセムの誕生だ。

アイラヴミー 公式サイト

http://www.iloveme.info