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【動員力の秘密】なぜケツメイシは、笑いあり涙ありの体験型テーマパーク風ライブにこだわるのか?

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
ケツメイシ

2015年、音楽シーンの話題といえばコンサート、フェスへの注目の高さだ。楽曲販売やプロモーションのデジタル化が進んだいま、リアルな“体験”の有効性が問われている。そんななか、今年最も強いインパクトを受けたのがアイディア満載のケツメイシのライブだった。

ケツメイシ、2年ぶりの全国ツアーとなった、前代未聞のエンターテインメント・ショー『【アドベンチアーズ】KTM TOUR 2015シモネティーナと4人の賢者~失われた聖水を取り戻せ~ 』が、DVD・Blu-ray『ケツの穴...こだわらへん』(2015年10月21日発売)として映像化されたので、音楽ファンはもちろん、すべての表現者へ向けてレコメンドしたい。

KTM TOUR 2015シモネティーナと4人の賢者~失われた聖水を取り戻せ~
KTM TOUR 2015シモネティーナと4人の賢者~失われた聖水を取り戻せ~

最新アルバム『KETSUNOPOLIS 9』に収録された「カリフォルニー」、「RHYTHM OF THE SUN」、「月と太陽」などの人気チューンはもちろん、メンバーが海賊に扮しての3時間に及ぶ笑いあり、涙ありの感動のコント風ミュージカル的なステージ・パフォーマンス。4月19日におこなわれた、さいたまスーパーアリーナでの公演の模様を全曲ノーカットで収録。ケツメイシをはじめて観るようなオーディエンスでも、まるでテーマパークに来たかのように心の底から楽しめる見事なホスピタリティー。

特典映像には、本公演とは異なるセットリストで行われたスペシャルなツアーファイナル、沖縄・宜野湾海浜公園野外劇場公演も収録。さらに、ツアーでのオフショットやインタビュー、恒例の打ち上げ風景なども収録されている。人間力の高さ、トークの面白さにも定評のあるRYO、RYOJI、大蔵、DJ KOHNOの4人に、映像化についてざっくばらんに話を聞いてみた。

●実はケツメイシのツアーって今回が初体験だったんです。あまりの感動の大きさで、この夏、Yahoo!ニュースの記事で感想を書かせていただいたら、今回の対面取材をお誘いいただきました。

Yahoo!ニュース:『【夏といえばケツメイシ】動員力がハンパ無い、笑えて感動する奇蹟のミュージカル風ライブを観た!』2015年7月17日 掲載

http://bylines.news.yahoo.co.jp/fukuryu/20150717-00047625/

RYOJI 素晴らしい記事をありがとうございました!

●ケツメイシのライブは、動員力がすごいと噂では聞いていたのですが、人気の理由がわかりました。CDが売れない時代と言われてますが、楽曲へのこだわりはもちろん、エンターテイメント性の高いライブを実践されてますよね。誰ひとり飽きさせない心意気というか。

RYOJI そうですね。DVD・Blu-ray『ケツの穴...こだわらへん』もなるべく多くの人に観てもらいたいんです。でも、映像作品って好きな人しか買わないものだと思っているんで、友達とかに広げてくれると嬉しいですね。で、ライブに来てくれる人が増えてくれたら嬉しいです。あと、ライブで自分を観ることはできないじゃないですか? なので、こういった作品があると復習になるんですよね(苦笑)。次回はもっとこうしようとかね。まぁ、シラフではあんま観ないですけど、酔っ払って皆で観ると面白いんですよ。

一同 笑

●今回は、海賊をテーマにしたセットや衣装だったり、コンセプチュアルなステージになっていますが、どんな流れでイメージは決まったのですか?

RYOJI 日本って、だんだんハロウィンが盛り上がっていたり、コスプレが日常生活で流行っていたり、そういうのが得意な国だと思うんです。何かコンセプトを決めることによって、みんなで一緒に楽しめる感じっていうね。なので、世界観に合わせたグッズにもこだわりました。

●グッズ、ビール型ペンライトがあったじゃないですか? これ衝撃すぎて2個買いましたからね(笑)。最高ですよね。

ビール型ペンライト
ビール型ペンライト

RYOJI ライブ会場で、これだけ買った人もいたみたいで(苦笑)。

DJ KOHNO 何かペンライトを集めたブログみたいなのがあって、そこでも紹介されたんですよ。

●ははは(笑)。噂になったんですね。

DJ KOHNO SEKAI NO OWARIのペンライトと、いっしょに取り上げられていて、びっくりしました。

RYOJI 有名なアーティストのコンサートへ行くと、連動して腕で勝手にピカピカ光るヤツとかあるじゃないですか? ああいうのは僕らはイヤなんです(苦笑)。グッズとして造形にもこだわりたいんですよね。

●ビール型ペンライトを見たときに、こだわりを感じましたね。しかもジョッキ型だから乾杯ポーズ出来るし、持って構えるのも楽しいんですよね。

RYOJI まぁ、オリジナル商品だったので、軽量化に時間がかかりましたが(苦笑)。担当がノイローゼ風になって(苦笑)。

DJ KOHNO まだちょっと重いつって(苦笑)。お前、2時間これをお客さんに振らせんのかっていう(笑)。

●それこそセットの巨大さもおどろきました。現場的には大変だったんじゃないですか?

RYOJI 大道具さんがいうには、最近はセットをバンと置いてやるようなアーティストが少なくなってきたから、やりがいがあったと言ってくれて。巨大LEDモニターなデジタル系が多いじゃないですか? でも、不器用なところがケツメイシらしくていいかなって。

●なるほど。あと、RYOさんの代表挨拶がもう最高でした(笑)。客席見てると、下ネタなのに女性ファンの方が喜んでいたり。子連れの場合は、耳を手で塞いでいる親もいたり(苦笑)。面白かったですねぇ。ていうか、あれは何なんですか(苦笑)?

RYOJI あの規模のライブで客いじりするアーティストってあんまいないよね?(苦笑)。

●けっこうお客さんからのヤジを拾って返答してましたよね(苦笑)。

RYO (小声でボソボソと)う〜ん、何にも考えてないですよ。目の前の人とかいじったりしながら、ごまかしてるんです(苦笑)。

DJ KOHNO もうちょっと声を張ってもらっていいですか?(苦笑)。

●ははは(苦笑)。でも、あのMCによって、会場の空気感がやわらかくよい雰囲気になりますよね。

RYO あの規模でやる割には、ずいぶんやる側も観てる側もゆるい感じで(苦笑)。それがアレですかね。我々のこのグループのキャラというか、人となりがなんとなく出ていて。いつもまぁ、次はどうしよう?とか、いろいろ皆で考えるんですけど。まぁ、なかなかね。ほんと次はどうなるのかな?っていう感じなので。もう、皆けっこういい歳ですし、ツアーも2,3年に1回と考えると、一回一回を大切にしたいですよね。

DJ KOHNO 本気で思ってます?(苦笑)。

RYOJI 絶対思ってないでしょ(笑)。

RYO いや〜、この皆で過ごす4か月。ほら、修学旅行気分ていうか、いい歳してこんな感覚って味わえないでしょ?

●そうですよね。

RYO それがほんと楽しいですね。うん。

●それこそ、テーマパークに来たような気分で楽しめる夢のあるツアーでしたよね。

RYO (謙遜しながら)僕たちはいわゆる実力派ではないので……。

DJ KOHNO 何かそういう全体でごまかす(苦笑)

一同 笑

RYO 上手いことやる感じって大事なんですよ。ライブだって、ただ聴くだけじゃつまんないじゃないですか? よく知らない人のコンサートとにお付き合いで連れていかれて、知らない曲を聴いてるだけとか嫌で。

●はい。ここだけの話、辛いのとかありますからね(苦笑)。

RYO たとえばどれ?

一同 笑

●ははは(苦笑)。

RYO 子供から大人まで、初めて観る人にも楽しんでもらいたいんですよ。僕、けっこう知り合いのPTAの人がまとめてチケットを買って観に来てくれたりするんですよ。曲とかもちろん全然知らないんですけど、「まぁ、なんかよくわからないけどすごい面白かった!」って言ってくれて。終わった後こう、蒲田とかで打ち上げやってたりね。朝まで飲んで。そういうのを見るとなんかこう……嬉しくなりますよね。

DJ KOHNO みんなが盛り上がるきっかけになるんですよね。

RYO 飲み散らかすきっかけになっているみたいで。コンサートがきっかけで、テンションあがってそういうのっていいなって思ってます。

●それこそ、ケツメイシの動員力がどんどん上がっている状況ですし、メンバーとしても満足度が高いツアーだったんじゃないですか?

RYOJI まぁ、楽しかったし、自分たちでもいろんなアイデアを出したし、うまくやれたかなぁと思うんです。ただ、予算がいくらでもあるグループでもないですし、そこはアイデアでどんどんカバーしていくことが大事かなぁと。あと、大人でも夢の世界に行ったり、ちょっと現実と違う世界へ行くと、なんか楽しくなるっていうことを大事にしていきたいなって思っています。せっかく時間を作っていただいて、チケットにお金を出してもらうわけですから。それを裏切らないってことだけに集中したいなと思いますね。

●RYOJIさんが大切にされているエンターテイメント感もお伺いしたいです。ちなみに、コントやあのステージセットから、『8時だョ!全員集合』のドリフターズ感を受け取れたんですけれど、影響ってあるんですか?

RYOJI そうですね。たとえばレジャー施設に行ったら、乗り物に乗ったり、歌のショーに行ったり、いろいろ観れるじゃないですか? なんか場面場面でいろんなアトラクションに行ってる感覚になってくれたらなって思いますね。あと、いまは僕ら以外、コントをやっている音楽グループがいなかったっていうのもポイントですね。普段いっしょに接していても面白いメンバーだと思うし、打ち上げの時が一番面白いグループじゃダメだよなっていうのもあって(苦笑)。僕らテレビに出ないので。コンサートで楽しさを表現していければいいのかなと思っています。

●ツアーでは、音楽面だけじゃなく、演技だったり、剣を持って殺陣もやられていたじゃないですか? あれって大変だったんじゃないですか?

大蔵 けっこう挑戦でしたね。ちなみに、今回のドリフ的な要素は、ゲストにアンタッチャブルの柴田英嗣さんを迎えたのが大きかったですね。

●そうなんですね。柴田さん、登場シーンで「オイッス!」って言ってましたもんね(笑)。

大蔵 はい(笑)。僕らのことも元々ファンでいてくれて。柴田さんに会う前は、自分たちでネタを考えて、演技、コントみたいなのをやってたんですけれど、それだけじゃ敵わない部分があって。まぁ、お笑いのプロになろうとはしていないんですけれど(苦笑)。で、柴田さんに脚本書いてもらうようになってから、良くなったっていうか。

DJ KOHNO 役割が明確になりましたね。

大蔵 で、ドリフ的なコントを書いていただいて、立ち位置などを指示してもらって。で、間の取り方を教わりました。

●それを、1万何千人の前で披露ってすごいですよね。

大蔵 そうですね。でもライブが終わると、曲が良かったって言われるより、コントが良かったって(苦笑)。まぁ、それなりに楽しんでもらえた証拠かなと思っています。

●コントやミュージカル的要素があることで、楽曲に入りやすくなりますよね。あと、物語性もあるので共感度があがるっていうのも発明だと思います。

大蔵 ずっと曲だけをやってるとね、つらいっていうか。

RYOJI けど、最初ってなんか、コントはじめたの、ライブ中にタバコが吸いたいとかの理由じゃなかったっけ?

一同 笑

DJ KOHNO 僕らがZEPPとかクアトロとかをまわってた頃って、衣装チェンジとかないじゃないですか? どうやったらタバコを吸う時間作れるんだろうって考えてたましたね(苦笑)。

RYOJI あとはまあ、うちのRYOが日本でも5本の指に入るほどお腹が弱いので(笑)。トイレ時間の確保も重要で。

RYO 腹痛で一万人を15分くらい待たせちゃったりね。前日飲みすぎちゃって……。

RYOJI でもここまで本格的なミュージカルだと、逆に休憩に入る時間がなくなっちゃったんだよね(苦笑)。一応タバコは吸うんですけど(笑)。

DJ KOHNO でもバタバタバタって。ダッシュですよね(苦笑)。

RYO 着替えるのも、脱ぐのも大変だしね。2,3人がかりで。着替えしやすいように、マジックテープ仕様のズボンだったりとか(苦笑)。

●作品内でもインタビューで語られてましたが、アンタッチャブルの柴田さんとの出会いはどんなだったんですか?

RYOJI 僕がすごくアンタッチャブルを大好きなんです。で、ゴルフ場でたまたま会って。いつもDVD観ていたんで、会釈しちゃったんですよ。思わず知ってる人に会ったと思って。でも、向こうはポカーンとしてて。で、あー、やっぱ芸能人ってそうなんだなぁって思ったりして。

DJ KOHNO 知らない人から会釈されたら誰でもそうでしょ(苦笑)。

RYOJI で、お金払う受付の所に行ったら、置手紙があって。「先ほどはすいませんでした!」みたいな感じで。「あの、急なことでびっくりしちゃいましたけど、今日朝、ちょうどケツメイシのDVD観てきたんです」って書いてくれていて。そういうことならってことでCDやDVDを送って。そうしたらラジオに呼んでくれて。ラジオに出てから一緒にゴルフに行くようになったんです。ふだん芸人さんって、テレビでは喋面白いけど、おとなしい方が多いじゃないですか? あの人はふだんも面白いしうるさかった(笑)。で、うちのグループでコントをやりたいみたいな話をして。DVDも観てくれていたんで、話も早かったっていう感じですかね。

●しかも全公演参加なんですよね。

RYOJI 今回はそうですね。売れっ子芸人さんは普通はそんなにスケジュールが空いてないんですけどね。いろいろあったからね(苦笑)。

●やっぱりなんか、ものすごく華がある方でしたね。

RYOJI そうですね。

RYO えっ、華すか?(苦笑)。

一同 笑

RYOJI いつも必死ですよね。一生懸命やられてましたよ。

●同年代な感じですか?

RYOJI そうですね、大蔵と同じ年です。

DJ KOHNO 地方行ってもどこに飲みに行っても、お店のスタッフさんだったり、一緒に飲むようになった素人さんに対しても、柴田さんは丁寧に接していて、面白くしてくれましたね。

RYOJI 芸人としても『M-1』で一番を取っている人じゃないですか? だからいろんな修羅場をくぐってきているだけあって、僕らの扱いも上手いんですよね。コントに対して最初は疑問があるメンバーもいたし、でも上手にゆっくりやってくれたんです。まぁ今ではね、一番やりたくなかったKOHNOさんがね、自分からボケを増やすっていう(苦笑)。それはそれで柴田さんは感動してました(笑)。ここまで来てくれたんだって。

一同 笑

DJ KOHNO 柴田さんと一緒にいると、ツアー終わってからモテるようになるんですよ(笑)。なんかその、柴田さんイズムじゃないんですけど。人が寄ってくる感じというか、すごいなぁと思います。

●今回、ミュージカルでそれぞれメンバーに特殊能力キャラ(3秒先の未来が予知できる by RYOJI、人の体を自由に操れる by大蔵、結構いいタイミングでケツメイシの名曲をかける by DJ KOHNO、人の嘘を見破れる by RYO)を設定されていたり、最高だなと思ったんですけど、そのへんはどんな流れで決まったんですか?

RYOJI そこは僕らから提案したんだけど、演出で広げてもらいました。

RYO 舞台周りの演出は、劇団SETの方がもう一人付いてくれてたんです。なので、コントと舞台の融合みたいな。

●劇団SETの方なんですねぇ。

RYOJI なるべく笑わせたい人と、なるべく感動させたい人と、そのやり取りがすごかったですね。

●カタルシスあるストーリー展開で。アーティストのライブでここまで演技を本気でやられるっていうのは、すごいなと感動しました。

RYOJI もうリハーサル初日はほんとに無理だって思ったんですよ。

一同 笑

DJ KOHNO 覚えらんねぇよって(笑)。

●セリフに立ち回り、殺陣、歌、振り付けなどなど、覚えること多すぎますよね。

RYOJI ただ今回ダンサーも役者として出てたんで、彼らが頑張ってるのに僕らが頑張んないわけにはいかないという状況が良かったと思いますね。

●こんな大規模なチャレンジを全国数ヶ所で、数万人の前でツアーでやられるとメンバーの絆がより深まったんじゃないですか?

RYOJI そうですね。いまCDが売れなくなってきた時代じゃないですか? でも、もともと僕らはライブで頑張ろうってグループだったので、CDが不況時代を迎えたことで逆に僕らの絆は間違いなく深まったと思いますね。今はとてもいい状態ですね。

RYO 今回のツアーは結構、金曜入りして、土日公演で、月曜には帰るんですけど。みんなそれぞれ金曜はそれぞれで呑んでました。でも一番最後の打ち上げはめちゃくちゃまとまりましたね。熱い感じのツアーでした。

RYOJI それぞれキャラがはっきりしてきたよね。

RYO 遊びのジャンルが違うからね。

RYOJI まぁ、「飲みすぎないでね、気を付けてね」って話してます(笑)。

DJ KOHNO 「怪我しないようにね」って(笑)。

RYO 大蔵さんはね、どっか行くとタニマチ大ちゃんって呼んでるんですけど、必ず黒塗りのハイヤーが迎えにくるから。

大蔵 苦笑

DJ KOHNO いやいやいや(苦笑)、そこまでじゃないでしょ(笑)。

RYO まぁ、個人でも営業でいろんなところに行くんで。どこでも大体、僕らを置いて行っちゃうんですよ。

DJ KOHNO 僕らをおいて(苦笑)。ちょっと語弊が(笑)。

RYO 僕はフィリピンパブが好きなんで。その土地でしか行けない風俗とか、いろいろジャンルがありますからね。

DJ KOHNO えっと、RYOさんは、プライベートの家庭でいろいろ主婦的なこともやってるので、ツアー始まっても忙しいんですよ。

RYO あんまり飲みに行けないんですよ。嫁が普段飲み散らかしてるので(苦笑)。ツアー行った時だけは呑もうと思って。全力で3ヶ月を乗り切りました。

●MCでも話されてましたが、学校の集まりにも参加されてるんですね?

RYO もう、下の子も中学になっちゃったんで最近はあれですけど。地元のエリアなんで、どっか行けば知り合いに鉢合わせちゃうんですよ。で、呑んじゃって、なげぇな今日も、みたいな。

RYOJI ツアー前にRYOさんが地元でいつも遊んでるお店に皆で飲みに行ったんです。

DJ KOHNO 行きましたね。めちゃくちゃ面白かった(笑)。

●RYOさんワールドが繰り広げられたと。で、話を戻しますが、今回のツアーで選曲されたケツメイシのあらゆる楽曲ですが、大蔵さんのMCであったり、楽曲に込められたメッセージ性が活かされているセットリストに仕上がったと思いました。今回の曲順であったり、曲にいろいろな意味を込めていくなかで、どんなこだわりがあったりしましたか?

DJ KOHNO やっぱ軸となるのは、アルバム『KETSUNOPOLIS 9』ですね。曲順リストはみんなで相談して選んでいくんですけど、普通だったらやっぱ「カリフォルニー」から始まると思うんです。でも、あの時たしかRYOJI君だったと思うんですけど、「やっぱ『EMERGENCY』からやったら面白くない?」って話が出て「あっそれは誰も想像できないね」ってなって。で、舞台の演出の方たちは最初ポカーンとしてて。「それありなの?」みたいな感じで。「でもこういう見せ方で行けばカッコよくなるんじゃない?」って。その後に「カリフォルニー」に場面を変えて。このブロックはこういう見せ方で。このブロックはこういうメッセージでっていう、順を追った組み立て方ですかね。

RYOJI なんか外タレのライブへ行くとこういうことやってるんですよね。

DJ KOHNO ローのカッコいいノリで入る曲ですよね。

RYOJI で、本人はなかなか登場しない感じでね。今回たまたまテーマが海賊だったんで、このノリが良かったんだと思います。はじまりは怖いダークな雰囲気でね。

●その後も大蔵さんは、曲紹介のところで絶妙なMCを入れられていたのが印象的でした。

大蔵 そうですね、やっぱりライブは一体感が大事だと思うので。普通に曲を流して歌ってってよりは、ちゃんとここはこうやって楽しむんだどよとか、ここはこうやって静かに聞くんだよみたいな、ガイド役って大事だと思うんです。より曲を楽しんでもらうためにはね。

RYOJI 曲順は、うちには現役のDJがいるのでDJ KOHNOを中心に。僕はやっぱり演出的な部分の目線で曲を選んだりしました。まぁ、今回は意見がぴったり合いましたね。普段はツアー中に直したりするんですよ。けっこううちらはスタッフ泣かせなんですよ。

DJ KOHNO 大体一発目やった後に変えますね(笑)。あれ、ちょっと違ったねっつって。

RYOJI それが、今回はなかったんです。やっぱり最初からうまく配置されてたのかなって気がしますね。

DJ KOHNO この曲の前にこの曲があるから、聴かせたい曲がもっと良く聞こえるっていうのは、音楽の不思議なころだとと思うんです。でも、いまツイッターやフェイスブックがあるじゃないですか? ライブの感想を見てると「あの曲いらなかった」とか書かれたりするんですよ。でも、あれがあるからこれが光るんだよみたいな。

RYOJI サザンのライブで桑田さんもそんなこと言ってたよ。

一同 笑

DJ KOHNO それこそ、ライブ終わった後にふくりゅうさんが書いて頂いたライブレポの記事を読んで、本当にそう伝ってほしいなって思った感じで伝わっていて、ちょっと感動しました。

RYOJI うん、すごいテンション上がりました。

●もうあの後ずっとケツメイシ・モードでひたすらケツメイシばっか聴いてました。ちょうど聴き放題サービスのAWAとかも始まって、ケツメイシのプレイリストとか作っちゃったり。CDも買い直したり。

AWAプレイリスト:『夏2015、ケツメイシが聴きたくなったの。』by fukuryu

https://s.awa.fm/playlist/gbqv3qhsnbbsbgklf4gqhimfmy/

RYOJI ありがとうございます(笑)。

●相当はまってます。そこですごいなって思ったのが、ケツメイシのライブは、テンションあがる曲と聞かせる曲のバランスが最高だなと思いました。それでは、今回のツアー、見どころ聴きどころを教えてください。DVDやBlu-rayでここは必見的な。

DJ KOHNO 今までのライブって、本編最後に盛り上がる系の曲を持ってくるケースが多くて、最後の最後にちょっと感動できる曲で終わってたんですね。今回は逆なんですよ。最後に盛り上がって終わるっていう。はっちゃけたいっていう昔からのファンからすると、途中までストレス溜まると思うんです。けど、それがあるからこそ最後に爆発できるっていう。これまでと違う仕掛けですね。

●なんか曲的にこの曲でとかそういうのあったりしますか?

DJ KOHNO 本編の肝は「少年と花火」っていう曲。セットリストのなかで色が違うんですね。でもこの曲をどう見せるかっていうこだわり。思い入れのある曲だから、絶対歌いたい。じゃあそれをどう表現していくかってことを考えました。普通に曲順だけ見ると「FUTARIDAY」の後に「少年と花火」ってありえないんですけど、でもそれを成立させるためにも映像だったり、その間の時間を置くことで、感動してもらえたかなと。単純に曲だけずらずらってやってたら絶対これ無理なんで。で、ここから場面転換でミュージカルに行くよっていう、お客さんのスイッチの切り替えも細かく考えてるんですよね。

●飽きさせない流れが、本当にしっかり作られていましたね。

RYOJI 気になったところといえば、「それぞれのライフ」が終わった後に「親父のメール」のイントロが入るんですけど、そこで大蔵がいつも同じようなMCをするんです。でも、その尺がギリギリなんですよ(苦笑)。でも、いつもなんとなくうまくやってたんで、……ここに注目してほしいな(苦笑)。いつもひやひやしてたんですよ。

一同 笑

大蔵 そうですか、すみません(笑)。

RYOJI 何回かギリギリのところがあったんだよね(苦笑)。よくもまあ、あんなに長いセリフをねぇ。心にもないことをよく言えるもんだなと(笑)。

大蔵 ははは(笑)。

RYO 感謝の安売りね(笑)

RYOJI でも、ほぼ毎回間違ってないんだよね。同じ語り口で同じセリフでちゃんと言えてるんで。大したものだな、と。さすがリーダーだな、と(笑)。

RYO さすがっすよ、大さん。

DJ KOHNO あ、でも半拍ずれて入るときがあったよね。入りでズレた時にたぶん。

RYOJI そう、入りでずれたら途中で巻けばいいのに途中は巻かないの(笑)。

DJ KOHNO 曲出して、あっズレたって思うんですよ。しゃべり始めた時に(苦笑)。

RYOJI ここ僕は映ってないかもしれない。大蔵だけのオンリーの映像かもしれないけど、大蔵がそれをやってる時に見てる僕が映ってたら面白いと思う(苦笑)。

DJ KOHNO 不安な顔してるんだ(笑)。

大蔵 ははは(苦笑)。

DJ KOHNO RYOさんは、よく油断してますよね。いろんな場面で。

RYO ボヤっとする癖があるんで。

大蔵 最後の最後までツアーしてて「EMERGENCY」の歌詞を一回も覚えてなかったですよね。

RYO 覚えてなかった(苦笑)。

DJ KOHNO あ、そうなの?

RYO 舞台に出てないシーンなんで、歌詞を壁に貼って見ながら歌ってました。

RYOJI カンペ貼って、担当の人が順にライトで照らすっていう(笑)。カラオケみたいに。

DJ KOHNO 知らなかったわ(笑)。最低ですね(苦笑)。

RYO カンペはお守りみたいなものです(苦笑)。

RYOJI 見所といえばダンサーを観て欲しいですね。本編ラストの盛り上がる「LOVE LOVE Summer」、「RHYTHM OF THE SUN」あたりは、ダンサーが一番辛いとこなんです。ダンサーが疲れていく様を見ていただきたい。

RYO なんか女子マラソンの視聴率とかいいらしいんですよ。苦しんでいる表情とかが訴求ポイントらしくて。それと多分通じてますね。でもツアーは、もっとプリンプリンな女の子たちがいるし(笑)。

RYOJI あとはあれだね、ディスク2のアンコールの「さくら」ね。もう完全に歌い飽きてる感じの(苦笑)。

一同 笑

RYOJI ははは(笑)。今回後ろのモニターに、メンバーの若いころの写真がアップされていて、ライブなのにオーディエンスが自分たちを観てくれていないっていう不安感(苦笑)。

大蔵 全然こっち見てないしね(苦笑)。

RYO 観てくれてないなって顔しながら映ってるんだよね(苦笑)。

RYOJI しかも、へたに前に出ていくとお客さんがモニターが観えなくて「ちょっどいて!」みたいな(苦笑)。

大蔵 アンコールでのメドレーは非常によかったですね。流れも。「さくら」の反応もすごいよかった。

RYOJI あと沖縄ライブね。沖縄ライブでRYOさん、大蔵のMCが怖かったて言ってたよね。なんだっけ?

DJ KOHNO 「カーニバル」の時ね。

RYO  MCで「みんな騒ぎに来たんでしょう! 葬式じゃないんだよ!!!」って(笑)。

一同 笑

RYO こんなムキムキした男が(笑)。そもそも山賀さん(スタッフ)に、今回の映像のチェックしてくださいって言われて。「歌とかは別にいいんですけど、大さんの最後のアレがちょっと怖すぎて観た人がどうも思うのか心配……」って伝えました(苦笑)。

大蔵 子供が泣くんじゃないかって(苦笑)。

RYO “DV”のDは大蔵のD(苦笑)。

RYOJI 大蔵のDは“DV”のD(苦笑)。

一同 笑

●今回のDVD・Blu-ray『ケツの穴...こだわらへん』には、特典映像として沖縄ライブがたっぷり収録されていてお得感があります。ていうか、あの開演前にステージ上でバーベキューやってたのって、あれ何ですか?

DJ KOHNO ははは(苦笑)。あれ正解がまだわからないです(笑)。

RYOJI もし2DAYS公演だったら、バーベキューは初日でやめてたかな(苦笑)。

DJ KOHNO ザワつきましたねぇ。何やってんだろうねあれ(苦笑)。

●ケツメイシにとって沖縄とは?

RYOJI 第二の故郷ですよね。僕らが知られていったのは沖縄からだったんです。桜前線じゃないですけど、人気が北上していったので、沖縄に対する感謝がすごいあるんですよ。その頃、仲のいいタワーレコードの担当の方が沖縄店にいらっしゃって。沖縄に行く機会も多くて。だからなんか育てて頂いたじゃないですけど、自分達のやっていることは間違ってないって教えてもらった場所なんです。はじめの頃は、ケツメイシは沖縄出身だと思っている方が沖縄にもいっぱいいたので。

●それすごいことですね。

DJ KOHNO 最初のインディーズで出したCDが一番売れたのが沖縄だったんだよね。沖縄OPAのタワレコ。

大蔵 今ないですけどね

RYO OPAの上にタワーレコードがあって、インディーズの最初のアルバム『ケツノポリス』なんですけど、一店舗で700枚位売れたんですよ。安室ちゃんの記録を抜いたらしいんですよ。バキバキの安室ちゃんをインディーズの俺らがね。

●それはすごい。

RYOJI ただ沖縄出身のバンドじゃないってバレてから袋叩きになりましたけどね(苦笑)。

DJ KOHNO 「なんだちげーのかよ!」っつって(笑)。

RYO 僕も「うちなんちゅう」とかよく言っていたんで(苦笑)。

大蔵 「沖縄出身なんですか?」って聞かれて、だんだん面倒臭くなって「そうなんです!」って答えてましたもんね(笑)。

RYO 大蔵はけっこう沖縄弁がうまいんです。俺らから聞いたら完璧に聞こえるんですけど、沖縄の人からみると……。

大蔵 馬鹿にしてんのかって(苦笑)。

一同 笑

大蔵 僕は沖縄の人みたいってこの前も言われたんですよ。ちょっとね、顔が濃いからRYOさんとか特に。

DJ KOHNO なんですかね、あとアルバムのジャケット写真を首里城の入口で撮ったのが大きかったかな。あれはほんとは予算がなかったので、ライブに行ったついでに首里城で撮ったら、「それジャケットにしちゃおうよ!」って(笑)。適当な担当の人だったので(苦笑)。しかも朝まで飲んじゃってたから、疲れてあそこまでしか登れなかったんですよね(笑)。

●愛がある特典映像に仕上がってますよね。あと、オフショット映像やインタビューカットも含めものすごい豪華に仕上がっています。今回も、めちゃめちゃ楽しそうな打ち上げシーンも入っていて。ファン的に嬉しいですよね。

RYO まあひどいよね(笑)。

大蔵 1枚目のDVD『ケツの穴 〜入門篇〜』から、打ち上げを撮ってたり、ムチャな感じだったんですよ。RYOさんが吐いてるのを残したり、裸で走りまわったりとか(苦笑)。でも、改めて観ても変わらないですよね(苦笑)。

RYO アラフォーでしょあなたたちっていうか(笑)。ちょっとちゃんとしないと……。

RYOJI でも、ちゃんとしてたら特典に付けても何も面白くないから(笑)。

●そういえば、ライブの楽屋に長州力さんから差し入れでカツサンドが届いてましたね?

DJ KOHNO ええと、飲み友達といいますか、飲み屋で僕の同級生の先輩にご紹介して頂いたんです。5,6年前かな。「お前酒飲めんのか?」って言われて。「多少は」なんて答えちゃって(苦笑)。いまだに力さんには否定されるんですけど、一時間半で一本半飲まされましたよ、テキーラ(笑)。

●うわぁ、すごいペースですね(苦笑)。

DJ KOHNO それで帰り際に「おい、お前ちょっと電話番号教えろよ。娘がファンかもしれねえから」って(笑)。それ以来の仲です。そしたら、娘さんあんまりファンじゃなかった(苦笑)。

一同 笑

RYOJI 今度リリースするとき長州さんにCMやってほしいですよね。なに言ってるかわからないような(苦笑)。

DJ KOHNO ケツメイシの為ならなんかやるからって言ってくれてるんで。

RYOJI じゃぁ、同じくプロレスラーの藤波辰爾さんと天龍源一郎さんもいっしょに!

DJ KOHNO 豪華な3人バージョンね(苦笑)。

●それは最強ですね(苦笑)。ケツメイシのCM、いつもセンス良いですもんね。あと、RYOさんはフィリピン・ツアーが目標と語られてましたね。

RYO 日本のフィリピン(パブ)・ツアーはやったんですけどね(苦笑)。

●ははは(笑)。ケツメイシの活動をみてると地方も含めじっくりとツアーをやられていて。リピーターも多くて、しかも友達や家族を連れてきたくなるライブなんですよね。なので動員が増えつづけているという。そして来年はメジャーデビュー15周年だそうですね。いろいろ準備中ですか?

RYOJI ですねぇ。

●大事な年になりそうですね。

RYOJI はい。イベントを自分たちで考えたりして、アルバムも次が10枚目になるので盛り上げていきたいですね。メンバーも意欲的に動くつもりなので、いつもと違うことができればいいなって考えてます。それまでは、DVD・Blu-ray『ケツの穴...こだわらへん』をお楽しみ下さい。

一同 よろしくお願いします!

2015年9月30日/西麻布にて

DVD・Blu-ray『ケツの穴...こだわらへん』
DVD・Blu-ray『ケツの穴...こだわらへん』

http://www.ketsume.com/

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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