【旧版】小出恵介さんの事件について、相手女性がハニートラップであるかどうかと違法性は関係がない

(写真:アフロ)

*本稿は旧版であり、記事について御指摘いただいた結果、6月15日6時に改訂版をアップしています。

本稿について、訂正箇所について説明しています。

改訂版

俳優の小出恵介さんが当時17歳の女性と飲酒の上、性行為(類似行為も含みます。以下同じ)に及んだということで問題視されていますが、一方で、相手女性がハニートラップではないのか等といった憶測も出ているようです。

→→本稿では、ネット上では相手女性がハニートラップであることにより、そもそも小出さん側が被害者であるというような意見まで出ていたので、仮に小出さんの行為が淫行に当たる場合に、相手女性がハニートラップであるからと言って、小出さんの違法性が阻却されるわけではないということをお伝えしたかったのですが、そもそも小出さんの行為が違法かどうかにも疑義があり、結論的には違法ではないと認定される可能性の方が高いと考えるに至ったため、改訂版では、主要論点を相手女性がハニートラップである場合にどのような影響があるかよりも、端的に小出さんの行為が違法であるかどうかに絞ることとしました。

小出恵介「500万円要求された」 事務所に相談せず自ら交渉も

芸能人と18歳未満との性行為については、少し前に狩野英孝さんの件でも問題となりましたが、筆者はその時も記事にさせていただき、「法律上18歳未満の相手との性行為は原則問題なし!!狩野さんが処罰される可能性はほぼゼロ」と述べていました。

前回の狩野英孝さんの事件に関する記事

結果論ではありますが、実際に狩野さんが処罰されたという話は聞きません。

しかし、今回の小出恵介さんの事件は違法の疑いが強い「でないと認定される可能性は十分ある」と考えています。狩野さんの件と比較しつつ、まずはもう一度、18歳未満を相手とする性行為についておさらいします。

淫行が問題になるのは相手が18歳未満の場合のみ!(未成年ではない)

まず、報道や専門家のコメントで、本件の相手女性が「未成年」(つまり20歳未満)であったという書き方で問題定義しているものが非常に多いですが、これは誤りで、いわゆる淫行として、相手の年齢が問題になる可能性があるのは「18歳未満」の場合です(この誤解があまりに多く、ここを正すだけでも本稿の意義があると思っています)。

18歳以上の相手と性行為を行ったことで処罰対象となる可能性があるのは、売春のように有償である場合(その場合も売春そのものが直ちに処罰対象となるわけではありません)や、暴行・脅迫を用いたり(強制わいせつ・強姦罪になります)、相手が飲酒等によって抵抗できない状態になっている時に(準強制わいせつ・準強姦罪になります)、性行為に及んだ場合です。

逆に、相手が18歳未満であるからこそ問題になるのは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童買春禁止法)に規定される児童買春(18歳以上と異なり売春そのものが処罰対象)のほか、本件で問題となる、いわゆる淫行条例(本件では大阪府青少年健全育成条例)や児童福祉法に規定されている淫らな性行為「淫行」に該当する場合です。

→→淫行条例と児童福祉法では、「淫行」の該当要件が異なるため、改訂版では淫行条例に絞って議論を進めています。

それぞれ、保護の対象である「青少年」や「児童」の定義として、18歳未満の者と定義されています。

ちなみに、相手が13歳未満の場合には、いかなる場合も許されず、刑法において強姦罪等で処罰されることになります。

法的には相手が18歳未満でも原則的に問題なし!

そして、相手が18歳未満であっても、それだけで処罰対象になるわけではありません。

そもそも国民の行為は原則的に尊重されて自由が認められており、何らかの目的(公共の福祉)のためにどうしても規制しなければならない行為のみ禁止されています(憲法13条)。

性行為については、性的自己決定権という人間の尊厳・人格を基礎づける極めて重要で根本的な権利が問題となるわけですから、当然、その権利を国家が制約するのは最小限度でなければなりません。

この観点から言えば、未成年にとっても、未成年を保護するつもりで広く性行為を規制することは、未成年の性的自己決定権を狭めることにもなり、単純に規制すれば良いということにはなりません。

そして、法律上、許されない性行為とは何かと言えば、さきほどの淫行条例及び児童福祉法において禁止されている淫行です(条文例は後述参照)。

重要なのは、18歳未満との性行為が一律に禁止されているわけではなく、原則的には問題はないが、例外的に淫行が禁止されているという点です。

(あくまでも、「法的」には、18歳未満との性行為というだけで問題になるわけではないという趣旨であって、倫理、道徳については議論の対象外としていますし、当然ながら、違法の疑いのある交際や性行為を奨励しているわけではありません。)

淫行とは何か、淫行を処罰する趣旨は?

淫行とは何か、そもそも淫行を処罰する趣旨は何かということはこれまで何度も議論されてきており、特に法律家の中で有名なのが昭和60年10月23日の最高裁判決(福岡県青少年保護育成条例違反被告事件)です。

この判決の中で、裁判所は、淫行を処罰する趣旨については、

「一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に未だ十分に安定していないため、性行為等によって精神的な痛手を受け易く、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとした」

としており、このような趣旨からすれば、処罰すべき淫行とは、

「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう」

とし、また、単に反倫理的あるいは不純な性行為を指すものでもないとも述べられています。

基本的に全国の淫行条例の規定や運用については、この最高裁判決を参考にしており、例えば、東京都青少年の健全な育成に関する条例については、淫行とは、「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいいます。なお、婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある場合は除かれます。」と、警視庁ホームページ上で解説されています。

ちなみに、結婚を前提とするような真摯な交際関係における性行為は、淫行ではない1つの例に過ぎず、これに当たらなければ淫行と評価されるわけではありません。

→→一般論としては、上記のとおりですが、大阪府の淫行条例は少し特殊で、最高裁判例で定義された淫行よりもかなり狭い範囲でしか処罰していないため、改訂版では、本件でも違法でないと認定される可能性が十分あるとの考えに至っています。

(ただ、淫行の定義は上記のように述べられていますが、淫行の定義や具体的な認定については、その時その時の社会規範の前提に判断されますので、上記判決が出された昭和60年当時と現在では判断が異なる可能性はあります。)

では、本件の小出さんの一連の行為の違法性についてはどう考えるべきか?

小出さんの行為が報道のとおりであれば、少なくとも、大阪府青少年健全育成条例等で禁止されている淫行に該当する疑いが強い「可能性は高くない」と考えています。

狩野さんの事件では、相手女性もその親御さんも、狩野英孝さんのことを非難していたわけでもなく、また、少なくとも狩野さんの記者会見を前提とすれば、一定の恋愛感情を前提とし、享楽的ではない継続性のある交際をしていたということでしたが、本件では、報道されている限りでは、小出さんと相手女性は出会ったばかりであったこと、小出さんは相手女性と飲酒をしていたこと、その他小出さんの行為態様全般からすれば、淫行に該当する可能性が高いと考えます。

ちなみに、上記最高裁判決の事案では、被告人は、当時16歳であった女性に対し、初対面であったにもかかわらず、口説いて性行為に及び、その後も二人が会っている間は専ら性行為に従事していたという事案で、当該女性を単なる性欲の対象として扱っていたものとしか認められないと判断されています。

なお、本件では、小出さんが、相手女性が18歳未満であることを知らなかったとしても、原則的に処罰は免れません(大阪府青少年健全育成条例第52条)。

ただ結論として、実際に起訴されて処罰されるか否かについては、捜査機関において、報道事実が真実であったとして、その裏付けがとれるかどうか、相手方女性やその親御さんの意向、示談の有無等によって決せられるのではないかと思います。

仮に、相手女性がシングルマザーであったり、乗り気であったり、さらにはハニートラップであったりした場合に小出さんの違法性に影響するか??

一部の記事では、相手女性はシングルマザーであったし、そもそも相手女性も乗り気で、さらに言えば本件はハニートラップであったのではといった憶測まで出ており、そのため相手女性に非があるかのような意見まで見かけます。

→→冒頭に記載したとおり、この項では小出さんの行為が違法である場合を前提とした解説になっていますが、そもそも違法でない可能性も十分あるとの考えから、改訂版ではこの項目以下の論点についてはほぼ削除しています。

ただし、お伝えしたかった趣旨は、未成熟である青少年を保護しようというのが淫行条例の趣旨である以上、青少年が未熟であることはもとより前提となっており、青少年の未熟さをもって保護の対象から外れると考えるべきではないということです。このような考えた自体は普遍的なものだと考えています。

まず、相手女性がシングルマザーであったとしても、青少年であることに変わりはなく、淫行条例の保護対象であることに変わりはありません(18歳未満であっても、婚姻までしていれば青少年とは扱われなくなるため(大阪府青少年健全育成条例第3条第1項)、その場合は児童福祉法のみが問題となります)。

そもそも、18歳未満でシングルマザーになること自体は、当然ながら違法ではなく、本人の自己決定権の範囲内ですから、単にシングルマザーということで相手女性にも非があったかのような論調はあまりに偏見に過ぎると思われます。

また、仮に相手女性が、小出さんとの性行為について乗り気であった場合、被害者ではないのではないかと言った指摘もあるようですが、全く的外れです。

そもそも、淫行条例等は、青少年が未成熟であることを前提とした上で、だからこそ、性行為に関する体験によって健全な育成を阻害されないように淫行を処罰対象としているのであって、青少年の同意の有無を問題としていませんし(強要されたかどうかは関係ない)、さらには青少年が自ら積極的に性行為を行っていたりしても、それ自体、まさに淫行条例等が防止しようとしている事例そのものです(青少年本人が被害に気が付いていないケースさえ想定できます)。

青少年は未成熟だから保護しようという規定なのに、被害者側が未成熟であったら保護しなくていいというかのような指摘は、規定の前提を誤っています。

逆に、青少年が皆しっかりしていて、誘惑から自制できたり、あるいは、自ら事件に巻き込まれた場合に全て自己責任として片づけられるのであれば、そもそも淫行条例等を設ける必要がありません。

また、大阪府青少年健全育成条例の前文においては、青少年を支えて導くことは社会全体の責務であると宣言されていますが、これは、青少年の健全な育成は、単に青少年の個人的価値を保護するという趣旨に留まらず、青少年が社会の大切な構成員であるため保護すべきという社会的な価値の保護といった側面も見出しているのではないかと思います。

淫行条例違反が、親告罪ではなく、つまり、被害者本人の申告がなくても処罰できるようになっているのも、青少年の健全な育成が単なる個人的な価値に留まらないことを表しているような気もします。

このような観点からしましても、青少年の個人的な属性によって、簡単に保護の対象から外れることはないと考えます。

これは、仮に本件の相手女性がいわゆるハニートラップであったとしても同様で、18歳未満の青少年が、このような反社会的な手口に利用され、あるいは、自ら行ってしまうことも、未だ心身の未成熟があるがゆえに起こりえ、他方、小出さん側にとっては、いかに相手女性か積極的であったり、あるいは何かしらの誘導があったとしても(そのような事実があったと確認されているわけではありません)、それに対してどのように対応するかは小出さんの完全な自由意志にかかっているのであって、自ら淫行をしたことに何ら変わりはありません(仮にハニートラップであった場合に、相手女性に違法性があるかどうかは別の議論)。

相手女性の内心に一切関係なく、小出さんの淫行は行われていたわけですが、それにもかかわらず、相手女性の属性等について非難する意見があるのは、何となく小出さんが悪くなったのだという印象操作のように感じてしまいます(余談ですが、森友問題で、国有地払い下げの当否と直接関係ない籠池氏の人格非難がされているのと似ています)。

また、相手女性がハニートラップであることを前提に、淫行条例の必要性や、青少年側を処罰するルールも考えるべきといった意見もあるようですが、仮にそのような事実があったとしても、一部の例外を下に、淫行条例全体の当否を論じるべきではないと思っています(さらに余談ですが、痴漢冤罪があることをもって、痴漢処罰そのものの当否を論じるべきではないのと似ています)。

青少年(相手女性)の保護を一番に考えるべき

本件では、相手女性にも非があったのではないかという憶測も出ていますが(繰り返しですが、そのような事実が確認できているわけではありません)、仮にそうであったとしても、それも含めて、青少年が未成熟だからこそ淫行条例が定められているわけです。

それにもかかわらず、憶測と偏見を交えて、相手女性を非難する論評はあまりに的外れではないかと思いますし、また、実名報道のようなものまで見かけますが、そのような記事こそ、名誉棄損やプライバシー侵害で違法行為と判断される可能性は十分あり、あまりに酷いものは、相手女性からの申告次第で実際に刑事処罰や賠償責任が課せられる可能性もありますので、本件において適正な理解と節度ある論評をすべきであると考えます。

※本事は分かりやすさを優先しているため、法律的な厳密さを欠いている部分があります。また、法律家により多少の意見の相違はあり得ます。

大阪府青少年健全育成条例

前文

青少年が健やかに育つことは、府民全ての願いである。我々は、青少年自らが、たくましい自立の力、やさしい心、豊かな創造性を身につけて、互いに助けあい、社会の発展と人類の幸福に貢献する人間に成長することを心から希望し、期待する。

同時に、青少年を取り巻く環境が大きく変化する中で、彼らを支え、導くことは、社会全体の責務であることを改めて自覚するものである。

我々は、大阪の誇る自由と進取の伝統を大切にしつつ、府民の全てが、それぞれの立場で心身ともに健やかな青少年を育成することを努力したい。

ここに新たな決意をもって、この条例を制定する。

(定義)

第三条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 青少年 十八歳未満の者(婚姻により成年に達したものとみなされる者を除く。)をいう。

(淫らな性行為及びわいせつな行為の禁止)

第三十四条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。

一 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第二項に該当するものを除く。)。

二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

三 性行為又はわいせつな行為を行うことの周旋を受け、青少年に対し当該周旋に係る性行為又はわいせつな行為を行うこと。

四 青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

第四十七条 第三十四条の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第五十二条 第三十四条、第三十七条第二号若しくは第三号又は第三十八条第一号、第三号若しくは第四号の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第四十七条、第四十八条又は第四十九条第一号の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

第五十四条 この条例の罰則は、青少年に対しては、適用しない。ただし、青少年が営む営業に関する罰則の適用については、この限りでない。

出典:大阪府ホームページ

児童福祉法

第三十四条  何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

六  児童に淫行をさせる行為

出典:法令データ提供システム

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童買春禁止法)

(定義)

第二条  この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。

2  この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。

一  児童 

二  児童に対する性交等の周旋をした者

三  児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者

(児童買春)

第四条  児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

出典:法令データ提供システム

刑法

(強姦)

第百七十七条  暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

(準強制わいせつ及び準強姦)

第百七十八条  人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

2  女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。

出典:法令データ提供システム

「淫行」処罰規定

みだらな性交又は性交類似行為とは、

青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいいます。

なお、婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある場合は除かれます。

出典:警視庁ホームページ