法律上18歳未満の相手との性行為は原則問題なし!!狩野さんが処罰される可能性はほぼゼロ-弁護士が解説

(写真:アフロ)

【本稿は、あくまでも18歳未満との性行為をしたというだけで法律上問題になるわけではないという趣旨の記事であって、当然ながら、決して違法の疑いのある交際や性行為を奨励しているわけではありません。少し過激なタイトルのように思われるかもしれませんが、道徳や倫理的な考えではなく、法的見解を解説する記事ですので、最後までご覧ください】

タレントの狩野英孝さんが、女子高生と淫行したのではないかとして、本日、記者会見を開き、謹慎処分が下されたことが報じられました。

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一連の報道に対して、賛否の意見がなされ、さらに、東京都の『青少年の健全な育成に関する条例』に違反している可能性があるといった意見も出されているようです。

確かに、34歳の男性タレントが17歳の女子高生と何かしらの性的関係を持ったとすれば、(法的に違法どうかは関係なく)何となく問題だと思う人も少なからずいるわけですから、そういう意味で、一定の社会的影響力のあるタレント活動に差し障ることはあると思います。

しかし、法的にどうかといえば、全く話は異なります(本稿では道徳・倫理的な問題については触れません)。

法的には相手が18歳未満でも原則的に問題なし

一般的に、18歳未満と交際をしたり、性的関係を持ったりすると、それだけで犯罪だという人を見かけますが、それは誤りです。

しかも、18歳未満ですらなく、未成年が相手というだけで問題だと思っている人もいますが、これも大きな間違いです。

法的には、相手が13歳未満の場合には、誰の同意があろうといかなる場合も許されませんが(後述に条文参照)、そうでなければ、原則的に問題ありません。

そもそも国民の行為は原則的に尊重されて自由が認められており、何らかの目的(公共の福祉)のためにどうしても規制しなければならない行為のみ禁止されています。

性行為(類似行為を含みます。以下同じ)については、性的自己決定権という人間の尊厳を基礎づける極めて重要で根本的な権利が問題となるわけですから、当然、その権利を国家が制約するのは最小限度でなければなりません。

では法的に許されない性行為とは?

では法律上、許されない性行為とは何かと言えば、18歳未満の児童に対して、有償で性行為をするようないかにも違法性のある場合(児童買春に当たる場合)などを除けば、児童福祉法や、各都道府県のいわゆる淫行条例で定められている「みだらな性行為」です(条文例は後述参照)。

重要なのは、18歳未満との性行為が一律に禁止されているわけではなく、原則的には問題はないが、例外的にみだらな性行為が禁止されているという点です。

この原則と例外を間違えてはいけません。

一部の記事でも、二人の関係が結婚を前提とした交際のような真摯な付き合いであれば問題はないが、それを証明するのは難しいというようなコメントを見かけましたが、これは原則と例外を間違えています。

婚約中であったり、それに準ずるような関係性があったりすれば、当然みだらな性行為とは評価されませんが、これらは淫行ではないケースの一例に過ぎず、これらに至らない場合であっても、法律が想定している「みだらな性行為」に該当しなければ問題ありません。

つまり、淫行か真摯な付き合いかどちらなのかということを判断するのではなく、淫行かそうでないかを判断すれば足ります。こう考えると、真摯な付き合いとはなんぞやと定義する必要すらありませんし、立証責任で言えば、検察官側が淫行があったことを立証しなければならないのであって、国民側が婚約中であったことなどの事情から真摯な付き合いを立証しなければならないわけではありません。

みだらな性行為とはなにか?

さきほどから「みだら」という単語を多用していますが、そもそも「みだら」な性行為とはどのような性行為を指すのでしょうか。

これは、法律がみだらな性行為を禁止している趣旨から遡って考える必要があります(以下は最高裁判所の判決で述べられたものです)。

その趣旨とは、一般的に18歳未満の青少年(児童)が、その心身の未成熟さから、精神的に未だ十分に安定しておらず、性行為などによって精神的な痛手を受けてひどく傷つくことがあるため、そのような青少年の健全な育成を図るために、青少年の育成を阻害する性行為だけを処罰しようというものです。

そして、そのような処罰すべき性行為とは、青少年に対する性行為全てを指すのではなく、青少年を誘惑したり騙したりして、青少年の心身の未成熟さに乗じた性行為や、青少年を単に自分の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性行為をいうものと考えられています(後述の警視庁HP参照)。

このように、法律では、漠然と18歳未満を相手とする性行為を禁止しているのではなく、特に禁止すべき性行為だけを具体的に限定しているということに注意が必要です。

18歳未満の立場に立って考えてみよう

そもそも、18歳未満を相手とする性行為のうち、一定の性行為を禁止したのは、もちろん相手となる18歳未満の子のためですから、本件のような問題について議論する場合には、18歳未満の青少年の立場に立って考えてみる必要があります。

そして、18歳未満の青少年も、自ら相手を選んで性行為をするという性的自己決定権を有しているわけです。

日本の民法では、特に女性は16歳以上で結婚できるわけですから、当然ですよね。

ただ、仮に18歳未満を相手とする性行為を広く禁止してしまうと、逆からみると、18歳未満の青少年にとっては、誰も自分を相手にすることができなくなり、青少年側にとっても重要な権利が制約されてしまう結果になるわけです(18歳未満の青少年はどんどん性行為をしろと言っているわけではなく、自己決定権が制約されてはならないという話です)。

もちろん、青少年の健全な育成を阻害する性行為は許されるべきではないですが、そうでない多数の性行為までもが許されない行為であるかのような風潮は、法律が予定しているものではありません。

そして、今回の事件では、社会的に大問題かのように広まって報道されてしまいましたが、淫行の疑いありと言ってしまうことは、同時に、相手方女性について、淫行の被害者かもしれないと言っていることと同じです。

また、相手方女性にとっても、自分がきっかけとなってこれだけ大事になってしまったとして、精神的に傷ついている可能性があることも忘れてはいけません。

そうなれば、そもそも誰を守るための法律だったのかわからなくなってしまいます。

今回の事件について

今回の事件については、相手方女性もその親御さんも、狩野英孝さんのことを非難しているわけでもなく、また、少なくとも記者会見を前提とすれば、一定の恋愛感情を前提として享楽的ではない交際をしていたということであって、法律上とやかくいわれるものではないはずです。

特に、相手方女性は当時17歳とのことで、18歳未満といっても年齢的に1歳だけの差ですし、報道から推測される交際態様についても、さらに何か違法性のある事情が明らかにならない限り、現状で狩野英孝さんが何らかの罪で処罰される可能性はほぼないと思います。

これは、狩野さんが相手方女性のことを17歳であると知っていた場合を前提としていますが、もちろん、知らなかった場合には故意が欠けるので違法行為にはなりません。

その点、狩野英孝さんの事務所は、今後、狩野英孝さんへの世論の批判がどれほど広まるかわからない中、解雇を否定して一定の擁護を示しているのは、さすがだと思いました。

最後に

これまでの最高裁判所の判例では、法律で禁止すべきみだらな性行為の一つとして、青少年を単に自分の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性行為が挙げられると述べられてきましたが、他方、同じく最高裁判所の判決の中で、この意見に反対する裁判官から、そもそも性行為とは、自己の性欲を満足させるために行われるのが通常であるという指摘がなされています。

確かに、人の行いとして、そもそも性欲を満足させるために行われるのが性行為であって、それを処罰する必要があるのかというのは法律家の中でも昔から議論になっていることです。

また、禁止される性行為とそうでない性行為が明確に区別できないなどの理由もあり、弁護士会から、性行為を制約する法律に対する反対意見が表明されることもあります。

このように、18歳未満を相手とする性行為の当否については道徳や倫理に委ねることにして、法的な規制から外すべきという見解も多く存在するということも知っておいていただければと思います(もちろん児童買春や強姦のように明確に違法性がある性行為については当然処罰すべき)。

ただ、世論としては、例えば、歳が離れた男性と18歳未満の女性との間の交際や性的関係を認めると違法行為を誘発しやすいのではないかというイメージがあり、広めに批判していこうとしてしまうのかも知れません。

しかし、法律では許されていて、道徳や倫理でのみ問題になるケースであれば、他人の行いについて自分の感覚と異なるからといって、勝手に批評する根拠があるのかよくわからなくなりますし、少なくとも法律上はどのようなルールになっているかを押さえた上で、本件のような問題についての意見形成がされればと思いました。

刑法

(強姦)

第百七十七条  暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

出典:法令データ提供システム

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童買春禁止法)

(定義)

第二条  この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。

2  この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。

一  児童 

二  児童に対する性交等の周旋をした者

三  児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者

(児童買春)

第四条  児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

出典:法令データ提供システム

児童福祉法

第三十四条  何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

六  児童に淫行をさせる行為

出典:法令データ提供システム

東京都青少年の健全な育成に関する条例

(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)

第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

出典:http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012150001.html

警視庁HP

「淫行」処罰規定について

みだらな性交又は性交類似行為とは、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいいます。

なお、婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある場合は除かれます。

出典:警視庁HP

※本記事は分かりやすさを優先しているため、法律的な厳密さを欠いている部分があります。また、法律家により多少の意見の相違はあり得ます。