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ビール缶や段ボールの放置でゴキブリ発生も 「ゴミ出し」の基礎知識を解説

藤原千秋ライター、住生活ジャーナリスト
(写真:アフロ)

 春から新生活が始まる方の中には、これまで「家事」一切に携わったことのない方もおられることでしょう。とはいえ一人で暮らし、何もかも自分で執り行う必要が生じたとき「何をやらないこと」がどんなトラブルを及ぼすか?ということは前もって知っておいて損はないでしょう。そこで今回はなによりもっとも軽視できない家事とは何か?その理由と対処法についてご説明します。

やらないと日常が破綻する最重要家事とは?

 もっとも軽視できない家事、それはずばり「ゴミ出し」です。実家などですでに自発的に行ってきていた方であれば十分重要性を理解されていることでしょう。しかし「ゴミ出し」と聞いてなんだ、たかがゴミかと思われた方は、くれぐれも注意してください。

 確かにひとり暮らしでのゴミの量はしょせん一人分でしかなく、捨てるのも実際たいした手間ではありません。ただ、「自分が捨てないと誰も捨ててくれない」という現実は後からじわじわきます。ハッと気づいたときにはもうどうしていいかわからないことになってしまう可能性のある、待ったなしの最重要家事なのです。

himawariinさんによる写真ACからの写真
himawariinさんによる写真ACからの写真

「ゴミ出し」を行う前に必要なこと

 「ゴミ出しビギナー」の方に限らずですが、新生活の開始と同時に必ず新しい住まいの建物内ないしは自治体の「ゴミ分別マニュアル」を入手し、内容を熟読しておいてください。ゴミの種類分けの流儀、ルール、捨てることのできるゴミ袋などの種類、回収の場所、回収の曜日と時刻等の確認はマストです。流し読みなどではなくしっかりと確認しておいてください。

 ゴミの捨て方なんて日本全国どこでも同じでしょ、と考える方もいるかも知れませんが、自治体が変わるとこれまで暮らしていた実家や従前の住まいのある自治体とは基本的にゴミ出しルールは異なると思っておいたほうがいいでしょう。特に、これまでゴミの分別を家族などに丸投げしており、何がどう捨てるものか等、意識することのなかった方はトラブルに見舞われやすいので注意してください。

もじゃさんによる写真ACからの写真
もじゃさんによる写真ACからの写真

「ゴミ出し」のルールを間違うと何が起こる?

 「ゴミ出し」のルールに則って捨てなかった場合、自分のゴミだけが「収集されず収集所に取り残されてしまう」ことがあります。生まれて初めてそんな目に遭うとビックリしてしまい、頭が真っ白になってしまうかも知れません。

 けれど決してそんなとき、所詮ゴミに名前はないから、などとうそぶいて知らないふりを決め込まないようにしてください。ゴミ収集場所を管理している人に中身を確認されてしまうことがあります。捨て方が適当な場合そこから個人情報があっさり漏れてしまう可能性もあります。

 「ゴミを収集してもらえなかったショック」から汚部屋化が始まるケースは少なくありません。収集してもらえなかったゴミは、慌てず速やかに自分の家に持ち帰り、そうして改めて正しく分別しなおし、ルールを守って出し、仕切り直しましょう。

 女性は身の安全のため、ゴミの出し主が女性であることを外からすぐ伺えないような注意を払う必要もあります。特に使用済み生理用品や廃棄下着、女性向けDMなどは半透明のゴミ袋の外側から決して一見してわからないよう注意深く捨てましょう。ポテトチップスなどの透けない空袋に入れて捨てるのはOK、でもいかにも女性の買うアパレルメーカーなどのショップ袋は女性と分かってしまうのでNG、というような見方を参考にしてください。

ぼんたんあめさんによる写真ACからの写真
ぼんたんあめさんによる写真ACからの写真

「ゴミ袋」はなんでもいいの?

 「ゴミ袋」自体もあなどれません。ともあれ自治体のルールに合致したものを把握し、その中でもできるだけ厚手で頑丈なものを選んで使うことをおすすめします。破れにくく漏れこぼれなどのリスクが低く安全なゴミ袋を使う、それだけでも避けられるトラブルは多いからです。

 とはいえゴミ袋1枚あたりのコストが気になる場合もあるかと思います。であれば、いかに家庭ゴミそのものを減らすかという方向で、生活の知恵をしぼりましょう。当然ながら家庭ゴミを外出先に持ち出して捨ててはいけません。

ゴミ捨て頻度と虫

 一人分のゴミは基本的に量が少ないものです。そのため、捨てるのもある程度量が溜まってからでいいだろう、と新生活に慣れていないうちは忙しさもあり考えがちです。しかし春先の気温下では水分のあるゴミは早々に腐敗し大変な悪臭を醸します。悪臭は「臭い」だけではなく、人体に有害なガスも含みます。たかが臭いと侮ると健康を損なう恐れがあります。

 ちなみに怖がる人の多い害虫、ゴキブリが寄ってくるのはいわゆる「生ゴミ」だけではありません。甘い汁の残ったビール缶、魚介などの缶詰の缶、甘い清涼飲料水などのペットボトル、肉魚のトレイ、また湿って温かい古新聞や段ボールなども、ゴキブリの餌に巣に非常に好まれます。

 生ゴミと違って腐らないからと、こういった「燃えないゴミ」の類を溜めるのは悪手です。これらのゴミも収集日を決して逃さず、都度都度捨てるようにしましょう。

写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

 最後にゴミについての余談ですが、「ダンボールを潰して上手にまとめて括る技術」はどこであっても必ず役に立ちます。ひとり暮らしなどの予定がなくても子どもでも、常日頃から練習しておくことをお勧めします。

 もう一つ。「ゴミの収集状況」でその地域、住宅の管理状況や居住者傾向が判断できます。新居探しの際には、その街の各地や集合住宅内にあるゴミ置場は必ず確認しましょう。捨て忘れ、あやしい汚れ、臭いがあるなど荒れている場合は十二分に注意するようにしましょう。

ライター、住生活ジャーナリスト

「家のなか」の事をテーマにウェブ、雑誌、新聞等で執筆。大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAboutガイド。主な著・監修書に『人生が整う 家事の習慣』(西東社)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!』(オレンジページ)、『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)等。2020年1月より東京中日新聞にてコラム『住箱のスミ』連載中。

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