竹中平蔵氏の「月7万円」ベーシックインカムは憲法違反の可能性!? 各地の生活保護基準と比べてみた

「月7万円」のベーシックインカム論を提案する竹中平蔵パソナグループ会長(写真:つのだよしお/アフロ)

竹中平蔵氏の「月7万円」ベーシックインカム論

9月23日にテレビ番組で竹中平蔵氏が「月7万円」ベーシックインカム論を提唱して以降、賛否が議論されている。

竹中氏のベーシックインカム論については以下でも意見を述べているので参照いただきたい。

竹中平蔵氏が提案する「月7万円」のベーシックインカム論がヤバすぎる

なかには一人あたり「月7万円」を支給してもらえれば、あとは無理せずに働けばいいし、生活が可能ではないか、という意見もある。

竹中氏同様、生活保護や年金を廃止にしても問題ないという意見も見られた。

「月7万円」と生活保護を比較してみた

そこで、一人あたり「月7万円」支給とはどのようなものなのか、廃止を提案されている生活保護の最低生活費と比べてみることとする。

生活保護法には日本国憲法第25条の要請に従い、最低生活の原理が定められており、「第三条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」と規定されている。

また、基準及び程度の原則では「第八条 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。

2 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。」と規定する。

そして、必要即応の原則として「第九条 保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。」と定める。

つまり、日本国憲法による健康で文化的な最低限度の生活を具現化した金額が各世帯別の「生活保護法における最低生活費」といえる。

結論から先に言えば、竹中氏の「月7万円」ベーシックインカム論では日本国憲法に反する生活しか保障されないようだ。

生活保護、年金を廃止して導入されれば、いわゆる違憲の可能性が高い。

具体的に見てみたい。

以下は 1 東京都大田区 2 北海道札幌市 3 福岡県北九州市 の3自治体における生活扶助額に世帯人員に応じた住宅扶助の限度額を加えたものである。

各自治体の最低生活費の目安だと思っていただきたい。

東京都大田区(2020年9月現在)

高齢者単身世帯(75歳女) 126,870円

高齢者2人世帯(72歳男、67歳女) 182,700円

母子2人世帯(45歳女、17歳子) 224,550円

母子3人世帯(30歳女、4歳子、1歳子) 257,750円

標準3人世帯(42歳男、38歳女、14歳子) 244,380円

札幌市(2020年9月現在)※冬季の場合(冬季加算込み)

単身(38歳) 123,570円

高齢2人(夫72歳、妻68歳) 175,490円

母子3人(母32歳、子9歳、4歳) 255,380円

北九州市(2020年9月現在)

単身高齢世帯(68歳) 102,830円

高齢夫婦世帯(68歳・65歳) 149,210円

母子世帯(32歳・4歳) 177,170円

母子世帯(42歳・17歳・10歳) 222,390円

夫婦と子ども二人世帯(35歳・32歳・10歳・7歳) 225,930円

どの自治体の最低生活費も住宅費がかかることを考慮した場合、一人あたり「月7万円」では概ね足りないことがわかる。

生活保護の場合には、この金額だけでなく、医療扶助、介護扶助、教育扶助など、必要に応じて追加支給もあり、各種税や保険料も減免措置がある。

誤解しないでいただきたいのだが、この金額は理論的に健康で文化的な最低限度の生活を考証し導き出しているものである。

人間が社会生活をする上で、これくらいは月額必要だということである。

決して生活保護における最低生活費が高いのではない

この金額に就労収入や年金金額が足りていないのであれば、賃金や年金の支給水準が低いことを意味する

ましてや、その状態で預貯金や資産が十分ないのであれば、すぐに足りない分の生活費を求めて、福祉課に生活保護の申請に行ってほしい。

要するに、最低限の支給金額を考慮すれば、いかに竹中氏のベーシックインカムが最低生活すら支えないものになっているか理解できるだろう。

ベーシックインカムを導入して、生活保護、年金を廃止するという提案がいかに荒唐無稽の暴論かも見えてくるはずだ。

いまも新型コロナウイルスによる失業、休業が続いている。生活保護が必要な方は今後も増えるだろう。

利用可能な社会保障を大切にして、必要な際は遠慮なく活用していきたいものである。