菅義偉首相 就任直後に竹中平蔵パソナグループ会長と会食しないでください

菅義偉首相と会食した竹中平蔵パソナグループ会長(写真:ロイター/アフロ)

菅義偉首相が竹中平蔵パソナ会長と会食

菅義偉首相が18日、人材派遣業大手の竹中平蔵パソナグループ会長と会食した。

菅義偉首相は18日午前、東洋大の竹中平蔵教授と東京都内のホテルで朝食を取りながら1時間余り懇談した。

首相は小泉内閣の総務相だった竹中氏を副大臣として支えた。

竹中氏は金融・経済財政担当相の経験もあり、菅内閣として進める規制改革や経済政策についてアドバイスを受けたとみられる。 

出典:菅首相、竹中元総務相と懇談 9月18日 時事通信社

時事通信社の記事では、東洋大の竹中平蔵教授となっているが、彼は未だに人材派遣業大手のパソナグループ会長である。

以前から閣僚も歴任し、現在も政府委員を兼任しながら、社会政策に影響を及ぼす立場にある人物である。

首相就任直後に竹中氏と会食をするというメッセージは、彼を現政権でも要人として扱い続けることを意味するだろう。

人材派遣業に対する容認とも取れる行動に受け取られるのではないか。

人材派遣について、過去には手配師、口入れ、とも呼ばれていた時代があり、労働者の賃金から仕事紹介料などを中抜きして利益を得る業者と揶揄(やゆ)されていたこともある。

今でも人身取引の一種として、人材派遣業を厳しく法規制している国もあるなか、日本では労働者派遣法によって、徐々に派遣労働という働き方が一般化してきている。

新型コロナウイルスで生活困窮しているのは派遣など非正規労働者

いまどういう社会状況か、菅首相は理解をされているだろうか。

生存のためのコロナ対策ネットワークで一緒に活動してきた今野晴貴氏は、相変わらず人材派遣業者が「派遣切り」「雇い止め」している実態を相談支援現場から告発し続けている。

政府の要請も「無視」 「派遣切り」を強行する人材派遣大手の実態とは

労働相談の現場に限らず、生活相談、福祉相談の現場でも、元正社員という人よりも、元派遣社員、元非正規社員という人が多く、いわゆるワーキングプアという実態が非正規労働者のところで顕著だ。

つまり、派遣労働というのは不安定な働き方の象徴とも言えるものである。

これは人材派遣業者たちの政策要求を聞く政府が政策で後押しをし、構造的に作られてきた働き方である。

人材派遣業者が介在しない場合、本来であれば、労働者には満額の賃金が支払われるが、今は中抜きされている事実がある。

賃金を中抜きされているのだから、生活困窮する理由とも密接に結びついてくる問題だ。

9月1日、共同通信の記事でも「コロナ解雇、8月末で5万人超に 非正規中心、増加止まらず」と見出しをつけている通り、失業者の大多数は派遣労働を含む元非正規労働者である。

過去に下記の記事で問題提起もしているので参照いただきたい。

竹中平蔵パソナ会長「このままだと日本を良くするのは益々難しくなる」足元の派遣労働者に目を向けてほしい

これからも「雇用の調整弁」と呼ばれた派遣労働者を増やすのか減らすのか、政策決定が問われている局面だ。

そこで人材派遣業大手の会長と会食しているようでは、先が思いやられる状況である。

竹中氏らの要望を聞いて、派遣労働者を含む非正規労働者の増加が進んできたため、日本経済は完全に疲弊してしまった。

低所得層も増え、購買力も上がらず、デフレ脱却などの見通しを立てることも困難になっている。

当然、他の先進諸国と比較して、実質賃金も上昇が見られない特異な国が日本である。

その実態を生み出した元凶といってもいいのは、竹中平蔵氏ではないだろうか。

経済政策を議論するのであれば、そろそろ失敗が明らかになった竹中論に依存するのではなく、新しい助言者が必要とされている。

首相がポストコロナを見据えた政策を打ち出す際には、不安定な雇用を増やし続けてきた弊害と向き合い、今よりも是正や規制に動いてくださることを期待したい。

その際に重用するのはもう竹中平蔵氏ではないはずだ。