竹中平蔵パソナ会長「都知事選。重要政策が議論されていない」 東京の資産売却は重要政策か?

東京都(東京都民)の資産を市場に売却するように示唆する竹中平蔵氏(写真:つのだよしお/アフロ)

竹中平蔵氏「東京都は巨額資産を市場に売れ」

竹中平蔵パソナグループ会長がTwitterを更新した。

今度は東京都知事選挙で重要政策が議論されていないと問題提起されている。

重要政策というから何だろうと思って確認してみたら、東京都の巨額の資産を市場で売却することだそうだ。

新型コロナウイルス感染拡大が収束していない状況下において、経済危機に苦しむ市民も多数に及んでいる。

重要政策といえば、保健医療体制の拡充や経済危機対応としての福祉政策、雇用の維持や再分配政策などが出てくるかと期待していたが、相変わらずである。

市民生活の困難は重要ではないのだろう。

民営化で利益を上げる人は誰だろうか

ここまで徹底して市場関係者、資産保有者、資本家にとっての重要政策を顕示し、一般市民にとってほとんど意味がないことを「重要政策だ」と打ち出せる感覚に毎回驚かされている。

竹中平蔵氏が指摘するとおり、日本でも英国のサッチャー政権と同様に、中曽根政権では鉄道、電話通信などを国有から民営化に移行した。

その後も国有、公営は非効率だという論調、潮流にのり、民営化を加速していった。

典型的なものは、小泉・竹中改革とも呼ばれる郵政民営化である。郵便局の資産、郵便貯金を市場、株式市場、外資に売り渡した。

当時は、政権与党である自民党内の議論、反論も軽視したまま、力で押し切り、全国各地にある巨大で巨額の郵便事業を市場化する。

鉄道、電話通信、郵便、公営住宅、公団住宅など市民生活になくてはならないサービスを効率化という名目で、市場に売り渡し続けてきた現代である。

今もさらに水道局など水道事業を民営化する動きがある。

社会福祉領域も公営は忌み嫌われ、非効率だと言われ続けてきたため、株式会社などが福祉事業へ参入を続けている。

売り渡された福祉事業によって、参入してきた民間保育所、有料老人ホームなどのサービスの質はどうだろうか。

福祉現場にいる者として、私は民営化に否定的である。

各領域が民営化することによって、その資本、株式を保有する人々は大きな利益をあげられたことであろう。

生活必需品であり、なくてはならないサービスだからこそ、一部の人々の「儲けの道具」に利用せず、公営化していた先人の知恵は失われてしまった。

それらを利益を上げる道具に変質させてしまったのは、民営化、市場化である。

福祉サービス同様、他事業も民営化によって、人々の暮らしの向上、サービスの向上があったとはいえない。

竹中氏が取り上げるサッチャー政権以降、民営化した事業は現在、サービスの劣化により、再国有化、再公営化が議論されている。

英国さえも市民生活の視点から、見直しの議論なのである。

竹中氏による、この時代背景のなかで、自分たちの利益をあくまで追求しようとする姿勢は頼もしい。

しかし、そろそろどのような意図があるのか、一般市民である私たちは注視するべきだろう。

正直にいえば、市場の力、経済力、効率化、という言葉に私たちは何度も騙されてきたのではないだろうか。

また同じように騙されてしまっては、社会がより破壊されてしまうはずだ。

何よりも非正規雇用を増やし続け、雇用が破壊されて、人々の暮らしがどうなっているか確認しながら、パソナグループ会長である竹中氏の「重要政策」を吟味いただきたい。