加藤厚労相「企業が安易に給付金に流れないように」 中小企業は「詐欺国家」「嘘」「混乱ばかり」と批判

新設する休業者への直接給付金について説明した加藤厚生労働相(写真:つのだよしお/アフロ)

加藤厚生労働相「企業が手当を支払わず、安易に給付金に流れないように」

5月15日、加藤厚生労働相はなかなか機能しない雇用調整助成金を補足する制度の新設を発表した。

休業した労働者に支払う休業補償は、雇用調整助成金を申請すれば、その一部を国が立て替える仕組みである。

しかし、この制度は企業にしか申請権がなく、企業が申請をしなかったり、諦めてしまった場合には、労働者の休業補償が企業からされるとは言いにくい。

実際に労働相談、生活相談を受けていれば、本来されるべき休業補償が全くされていない事案の多さに驚く。

そこで生存のためのコロナ対策ネットワークでは、当初より「みなし失業給付」を検討し、早急に労働者が自ら申請できるようにするべきだと提言をしてきた。

新制度の詳細はこれから詰めていくが、労働者が自ら休業補償の申請ができる政策が実現すれば、我々の提言と類似の政策になる。

ここは評価したいところだ。早期に実現をお願いしたい。

加藤勝信厚生労働相は15日の閣議後記者会見で、新設する休業者への直接給付金に関し「使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合には、休業手当の支払い義務が生じる」と強調した。

企業が手当を支払わず、安易に給付金に流れないようにくぎを刺した。

新給付金は、新型コロナウイルスの影響で仕事を休んだが、休業手当を受け取れない人が対象。

導入されれば従業員に給付金をもらうよう指示し、手当を払わない企業が増えるとの懸念がある。

出典:休業手当、義務は変わらず 新給付で企業にくぎ 加藤厚労相・新型コロナ 5月15日 時事通信

中小企業の一部からは「詐欺国家」「混乱ばかり」という辛辣な批判

その上で、前述の通り、加藤厚生労働相は「使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合には、休業手当の支払い義務が生じる」ことを強調し、雇用調整助成金なども活用しながら、補償するように促す。

これはごもっともであり、雇用調整助成金、持続化給付金、無利子・無担保融資など、あらゆる手を尽くして、企業は最大限の努力をしながら、引き続き雇用を守り抜いていただきたい。

私も加藤厚生労働相の意見に賛同するし、新設の制度で労働者が給付金を申請できるのだから、休業補償はしなくてもいい、解雇や雇い止めをしてもいいと思わないでいただきたい。

その一方で、加藤厚生労働相に再度注文をつけておきたい。

企業は労働者を率先して解雇したいわけではないし、休業補償もできればしたいと思っているだろう。

そのための雇用調整助成金を当初より申請困難にしてきた当局の責任者は誰だっただろうか

雇用調整助成金が使いにくいという声が現場から上がっているにもかかわらず、微修正をしながら対処し、手遅れ感を広げたのは誰だろうか

「雇用を守れ、休業補償をしろ」と企業にくぎを刺すことは大事であるが、もう少し企業に当初から寄り添うことはできなかっただろうか

5月14日に私に届いた中小企業の女性経営者Sさんからのメールをご本人の承諾のもと、紹介したい。

藤田先生

いつも記事を拝見しています。

持続化給付金、ひどすぎます。

早ければ一週間で振り込まれると総理が言いましたが、申請70万件中振り込まれたのは、開始から2週間たったのに、たったの2万件程度、このままでは給付まで半年かかると言われています。

概ね2週間で振り込むというのは嘘だったのでしょうか

また、雇用調整助成金も1ヶ月で振り込むと言われていましたが、審査が開始するのが、7月以降、それから1ヶ月なので9月とも言われています

そして今度は失業給付で直接8割払うとか…私たち中小企業は混乱するばかりで、払う気もないのに、次々複雑化するばかり

この国は詐欺国家でしょうか

政府は、雇用調整助成金の代わりに今度は休業者に直接失業給付とか、わけのわからないことをいい始めました。

散々雇用調整助成金をすすめておきながら、いまだに支給許可率は、0.1%、誰にもお金がゆきわっていないのに、払う予定のアドバルーンばかりで、1円もなし

それなのにコロコロ新しいことばかり。

しかも、この失業給付が悪質なのは、一旦企業が期日に給与を払うのを免除し、給付は給与支給日から最短、早いと1週間とか言っていますが、今までの状況を見ていると無理なのは確実で、数ヶ月後になることはほぼ確実で、その間労働者には1円もお金が入ってこない、労働者にとっては死活問題になります。

これでは、自殺者激増だと思います。

もうハローワークも現場も専門家も混乱して疲弊しています

現場で懸命に切り盛りする中小企業の方なので、若干、メール内容には不正確な部分もあるだろうが、政府に対する率直でわかりやすい現状認識といえよう。

つまり、中小企業に注文をつける前に厚生労働省はやるべき施策を打ってきたのか、という疑問を多くの方が持っている。

本当に制度を使わせる気があるのか、という辛辣な批判でもある。

今後も制度が変わることによって現場は混乱を極めていくだろう。

ぜひ厚生労働省には、現場の声を最大限尊重し、制度利用者の側に立った丁寧な政策立案を継続的に実施いただきたい。