「これでは生きられない」という相次ぐ声 生活が苦しかったら気軽に生活保護を受けよう とにかく生きよう

埼玉県川口市役所(写真:アフロ)

極貧状態に追い込まれた生活相談の数々

5月2日、3日には生存のためのコロナ対策ネットワーク主催の労働・生活相談会が開催された。

私は埼玉会場で、以下の報告にもある通り、弁護士らと生活相談の電話を受けていた。

その相談は壮絶を極めるものだった。

埼玉会場に電話いただいた99人中(すでに生保利用の方を除く)、所持金5万円以下の方が32(3人に1人)、うち所持金1000円以下の方が21(5人に1人)。

ぎりぎりまで追い詰められた人が、日々、急増している状況です。

一律10万円の特別定額給付金などが届くのは、早くても5月下旬。7月にずれ込む可能性もあります。

いのちや生活を支えるため、今、使える制度は、生活保護制度です。

生活保護は「権利」ですので、積極的に活用してください。

また、当事務所では、コロナ災害「コロナなんでも」電話相談ダイヤル(平日16時~18時・埼玉総合法律事務所の弁護士が対応・048-862-0360・相談無料)を実施中です。お気軽にご相談ください。

(弁護士 猪股正)

出典:埼玉総合法律事務所HPより

手持ちの所持金が残りわずか、という事例も散見され、労働組合員が基金から生活費を届けに行く事例もあるほどだった。

そして、さらに驚くべきは政府が準備した休業補償、生活保障策の数々がほぼ機能していないために困窮する人々の姿だった。

例えばダントツで多かったのは「休業手当を払ってもらえない」という相談だ。

政府は企業が従業員を休業させた場合に、その休業費用の一部を支払う雇用調整助成金を拡充し続けてきた。

しかし、現場ではほぼ機能していないのである。

これはずっと指摘してきたことだし、明日(5月10日)のNHK日曜討論でも、加藤厚生労働大臣たちに改善を求める制度である。

つまり、日常的に使われていない急ごしらえの制度はいつも非常時に機能しにくいのである。

==生活保護制度が受けやすいように改変を== 

だから、休業補償も生活保障もない場合には、容易に生活困窮することが明らかだ。

すでに「3月から全く収入がない」という方たちからの声も多く寄せられている。

ぜひその際には前向きに生活保護制度の活用をしてほしい。

お住まいの役所の福祉課、生活支援課など生活保護を担当する部署に気軽に問い合わせてほしい。

生活保護制度は生活困窮状態にある場合、一時的あるいは永続的に生活費などを支給してもらえる制度である。

私たちがこれまでに支払ってきた税や保険料を一時的に生活費に充てさせて貰えばいいだけだ。

いま仕事を探すとしても、外出自粛で難しいし、感染拡大リスクもある。

新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、経済活動が始まるまで、生活保護に避難すればいいのである。

いわゆる経済危機の際のシェルターでもある。

しかし、相変わらず、生活保護制度に対する誤解や偏見、バッシングは根強い。

生活保護は受けるべきではない、生活困窮に至るのは自己責任だ、という雰囲気が社会に広がってしまっている。

以前はいわゆる「生活保護バッシング」の嵐が吹き荒れ、生活保護受給世帯への激しい差別がおこなわれたこともあった。

ぜひそのような風潮を見直す機会にもしていきたい。誰でも生活に困ることが現実としてある。

そして、生活保護制度をより誰でも受けやすくするように、使いにくい部分は変えていかなければならない。

雇用調整助成金なども制度改変が激しく、使いやすさを求めて工夫が重ねられている。

生活保護制度も同じように改変しなければならない制度だ。

私も共同代表を務めている生存のためのコロナ対策ネットワークでは生活保護制度について、以下の政策提言をおこなっている。

政府や厚生労働省は、これを契機に生活保護制度がより幅広い市民の命や生活を支えることができるように改善を進めてほしい。

そして、皆さんもこのような声をまた首相官邸や厚生労働省などへも届けてほしい。

みんなで苦難を上手く乗り切るために。

生存のためのコロナ対策ネットワークとは

生存のためのコロナ対策ネットワークは、コロナ危機により労働問題や生活困窮、ハラスメント、差別に直面する人々の相談に応じてきた労働組合、NPO、学者、ジャーナリストらからなるゆるやかなネットワークです。

現場の声をもとに政策提言し、状況改善につなげることを目的としています。

ネットワーク参加者

稲葉剛(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事)、今野晴貴(NPO法人POSSE代表)、藤田孝典(NPO法人ほっとプラス)、竹信三恵子(ジャーナリスト)、岩田正美(日本女子大学名誉教授)、後藤道夫(都留文科大学名誉教授)、布川日佐史(法政大学教授)、大内裕和(中京大学教授)、指宿昭一(弁護士)、新里宏二(弁護士)、猪股正(弁護士)、ほか(順次拡大予定)

出典:生存のためのコロナ対策ネットワークとは

申請手続きの大胆な簡素化を進める

 申請者の感染リスクを低減するためにメールやFAX・郵送などによる申請受付を幅広く認めるべきである。必要書類も最低限におさえ、書式を問わず受け付けるべきである。

資産要件を大幅に緩和する

 少なくとも一定期間、貯蓄保有額を大幅に引き上げる。自営業者やフリーランスが排除されぬよう自動車の保有要件を緩和する。住宅ローンを抱えている場合でも利用可とする。生命保険等の保有要件を緩和することなどが求められる。

要件の一部緩和の周知徹底

すでに厚生労働省から一部の要件を緩和する事務連絡が出されている。これを現場に徹底する。生活保護の実施機関が独自の規則で運用している場合も少なくない。

家族や親族への扶養照会を一律に停止する

 家族関係に困難を抱える人々にとって、援助可能かどうかを尋ねる扶養照会は、生活保護の利用をためらう大きな要因となっている。また受給への審査に無駄な労力を発生させる。