現金一律10万円給付の正しい使い方? お笑いの街・大阪に答えあり!?

新型ウイルス肺炎が世界で流行 緊急事態宣言下の大阪(写真:アフロ)

現金一律10万円給付でも大阪は面白い

安倍首相が4月17日に「1人当たり現金10万円の一律支給」をすると記者会見で発表した。

生活困窮されている方には朗報だし、高所得者には「10万円もらっても…」と冷めた反応がある。

そのようななか、大阪が早速熱い。

異例の現金30万円支給の撤回発表があり、まだ確実に支給がされるのか、疑問視する声もあるなか、「とらぬ狸の皮算用」が始まっている。

お笑いタレントのたむらけんじが18日、自身のツイッターで「10万円基金」アイデアを公表。これに松井一郎大阪市長が即反応した。

たむけんは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の経済対策として、「1人10万円の一律給付」が決まったことを受け「申請したら国が10万円くれるみたいやけど、最初は申請しないとこうと思った」と告白。

しかし「国に預けてても何使われるかわからんし、スピード感もない」として「その10万円がなくても踏ん張れる皆さんを集めて『10万円基金』みたいなん作られへんかな」とアイデアを披露した。

これに対して、松井市長は「大阪府が基金を作るので、そちらへの寄付を呼びかけて下さい。宜しくお願いします。チャー!!」と協力を呼びかけた。

大阪府の吉村知事は17日の会見で「新型コロナウイルス助け合い基金(仮称)」の創設を発表している。

たむけんのツイートには「面白い」という称賛の声や「溜めて何に使うん?」という質問なども寄せられた。

また、月亭方正は、松井市長の「チャー!!」ツイートに対して「10万円寄付します~どうしたらいいですか」と反応。

大阪府の基金に協力することを宣言した。

出典:たむけんの「10万円基金」アイデアに松井大阪市長が即反応 方正も乗った 4月18日 デイリースポーツ

まだ未確定の段階から大阪では寄付先、使い道をめぐって大騒ぎである。

寄付が低調な日本 愛国者は日本にいるのか

しかし、ここに現金一律給付の意義や奥深さがある。

当然、生活に余裕がない人たちは生活費や住居費、事業費、子育て費用などに充てればいいし、ストレス発散のために飲食費に使ってもいいだろう。家電製品や生活必需品を取り替えてもいいかもしれない。粛々と好きに使えばいい。

その一方で、もともとお金がたくさんある人たち、損失が大きく出ていない人たちはどう振る舞うのかも見ておいてほしい。

ある人にとっては不要不急のお金が配られる。現金一律給付の面白さはここだ。大阪は早速、とても面白い。

大阪で先行して議論が始まったように、全国各地、各団体でも面白いアイディアを出してほしいし、「お金持ちの10万円」「困っていない人の10万円」をめぐって、様々な議論を始めてほしい。あってもなくてもよいお金を何に使うのか。

あるいは「てやんでぇ!10万円なんてケチくせえ!俺は100万円寄付するぜ」というヤツが出てきても面白い。

またあの「お年玉配布」が趣味の社長はお金を追加で配るのだろうか。何にどのように10万円を使うだろうか。

今回のお金は税金である。血税とも呼ばれる。ここもまた面白い。

社会的に多くの方たちから集めたお金が一定量、みんなのもとに返還されてくる。

バラマキ批判、税金のムダ使い批判の人たちは国庫に返納するだろうか。いろいろと興味深い。

いずれにしても、寄付する際には社会状況をよく見て、どんな分野、どのような寄付先がよいのか、もSNSやメール、ネット上で議論すればいいのではないか。

寄付先の批評もおこなえばいいし、そんな使い道があるのか、と学び合えばいいかもしれない。

いずれにしても、日本には社会課題が山積している一方で、どの団体も財源不足が顕著である。

特に、企業活動、経済活動を批判し、資本の運動と一線を引いて活動している団体には恒常的に資金不足の課題がある。

意義ある活動をしていても、PRが難しい団体もある。

資金が乏しいから、淘汰されればいいという市場の論理、経済合理性で団体活動を測ることも出来ない。

近年はクラウド・ファンディングなど寄付しやすい、集めやすい媒体も開発されてきたが、相変わらず、寄付総額は低調な状況だ。

まずはどこでもいいから社会的に意義があると思ったところに支援したらいいだろう。寄付する行為が大事だ。

人助けランキング、日本は世界最下位という現実

実は日本は人助けが世界一下手で、社会から助け合いが失われた国だと幾度も指摘されている。

在米ジャーナリストの飯塚真紀子氏は、イギリスのチャリティー機関が世界の国々を対象に、人々のGiving(他者に与えること、寛容度、人助け度)の状況を調査して発表している”World Giving Index”(世界人助け指数)を紹介し、以下のように指摘している。

「見知らぬ人、あるいは、助けを必要としている見知らぬ人を助けたか」という観点で、日本は125位と世界最下位であることだ。

出典:「人助けランキング、日本は世界最下位」英機関 日本は冷たい国なのか ホームレス受け入れ拒否問題 飯塚真紀子

たむけんが指摘するように「国に預けてても何使われるかわからんし、スピード感もない」という現状は正しいが、実は政府も私たちも人助けに全く慣れていない。何をしたらいいか、わからないのである。だからいまの有様がある。

私は生活困窮者支援を続けてきたが、その当事者に対しても「生活困窮、貧困は自己責任だ」「怠け者だからそうなったのだ」「助ける必要はない」「努力をしなかった本人が悪い」「税金のムダ使いだ」など、と非難され、支援活動への攻撃もされてきた。

なかなか支援活動が大変な国、地域であると実感している。

しかし、現在、不可抗力で誰でも生活困窮に陥る事態となっている。

ぜひ寄付を通じて、人助けとは何なのか、社会とは何なのか、連帯とは何なのか、いろいろと考える人が増えることになれば、今後の日本の希望になるだろう。

幸いにも、この間、社会の連帯感、助け合いの必要性が高まり、自己責任論は縮小傾向にある。

そして、新型コロナウイルスは様々な社会課題を顕在化させ続けている。

生活困窮問題、労働問題、DV問題、住宅問題、保健医療体制の問題など、不十分な社会の状況が見えやすい時期だ。

ぜひこのような惨状のなか、寄付先や社会課題の解決資金の行き先に希望を感じられる社会にしたい。

大阪のように面白く議論を盛り立てるのもいいが、申請しない、もらわない、と議論から降りて、つまらない態度を取ることもできる。

せっかくだから、面白く楽しい議論に参加してほしいと思う。

皆さんがどこに寄付するのか、によって日本社会は徐々に変化していく可能性があるのだから。