「1世帯あたり30万円の現金給付」という巧妙なウソ 現実は対象が限定された現金給付の可能性

1世帯あたり30万円支給すると発表した安倍首相(写真:ロイター/アフロ)

1世帯30万円給付という発表と報道のウソ

4月3日、安倍首相が自民党幹部と会談し、現金給付策の方針を固めている。

それに伴って、各報道機関も1世帯あたり30万円を支給すると報じている。

しかし、内容をよく見てみると、1世帯に一律で30万円を配布するというようなものではない結果となっている。

今のままでは限定的な現金給付対象といえそうだ。

政府・与党は3日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策の柱となる現金給付について、所得の減少を条件に1世帯当たり30万円を支給することを決めた。

対象者が市区町村の窓口などに申請する自己申告制とし、申請時に所得が減少したことを示す資料の提出を求める。支給金は非課税とする。

また、全国の地方自治体に計1兆円を配る臨時交付金の創設も対策に盛り込む。

政府は、7日にも緊急経済対策を決定する。対策全体の事業規模に関しては今週末にかけ調整が進められる見通しだ。

自民党の岸田文雄政調会長は3日、安倍晋三首相、麻生太郎財務相と相次ぎ会談。

岸田氏は首相との会談後、現金給付について記者団に「一定の水準まで所得が減少した世帯」が対象になると明らかにした。

政府は今後、所得減少の程度や所得上限など対象世帯の線引きを含めた制度の詳細決定を急ぐ。

自己申告制とする理由について、政府関係者は「一人ひとりの所得を把握するのは難しい」と説明。

政府は特例を設け、支給金を非課税とする予定だ。

リーマン・ショック後の2009年、「定額給付金」として国民に1人当たり1万2000円(若年者と高齢者は2万円)を配布した際にも同様の措置を講じた。

現金給付をめぐっては当初、全国民に一律支給する案が浮上。

政府・与党は所得減世帯に20万円を支給する方向で検討したが、国民生活への影響を懸念する安倍、岸田両氏の政治判断で最終的に金額を上積みすることで決着した。

菅義偉官房長官は3日の記者会見で「生活に困難を来す恐れのある家庭を対象にし、生計維持に必要な給付水準を検討した」と述べた。

岸田氏は麻生氏との会談で、自民党の提言を踏まえ、都道府県と市町村への臨時交付金の創設を要請した。

岸田氏は会談後、「1兆円で調整するという答えを頂いた」と語った。両氏は交付金の使途について自治体の判断に委ね、限定しないことを確認した。

出典:現金給付、1世帯30万円 自己申告制―自治体に1兆円交付・新型コロナで経済対策 時事通信4月3日

この対象者は住民税非課税世帯とそれに相当するくらい収入が減少した(5割減との報道)場合、所得減少を証明する資料を持って、役所へ自己申告するそうだ。

はっきりと言えることは、1世帯に一律30万円というのはウソであるということ。

厳密に言えば、住民税非課税世帯と一定の所得制限があり、その所得が半減するくらいの経済的ダメージがある世帯が対象になる。

1世帯30万円の現金給付という期待感だけ煽る政府への不信感

一律での現金給付ではなく、限定された対象への現金給付と言っていいだろう。

これは低所得世帯への限定的な現金給付というのであって、決して「1世帯あたり30万円給付」などと報道するようなものではない。

1世帯30万円給付と聞けば、自分たちも対象なのではないか、と期待感を膨らませて当然ではないだろうか。

それはことごとく裏切られる形となった。

現状で言えることは、香港で決定したような1人14万円支給などという一律給付、「普遍主義的」な現金給付ではなく、極めて「選別主義的」な現金給付である。

このような支給制限をおこなった選別的な現金給付は、支給される人とされない人を生むことになる。

そうなると、それぞれ応分の税や保険料を支払っている市民の間で、不公平感や分断、差別感情が湧いてくることは間違いないだろう。

首相官邸に意見や要望を寄せてみてはどうか

多くの市民が求めていたのは、1世帯か1人かは別にして、一律の現金給付ではなかっただろうか。

これではもらえる層ともらえない層の摩擦を生みかねないし、期待をしていた人々の思いを嘲笑う結果だとは言えないだろうか。

これらの方針は4月7日に正式に決定される予定である。

それまでに皆さんの意見を何でもいいので、首相官邸や与野党の国会議員、マスメディア各社に届けてほしい。

例えば、首相官邸のホームページから意見や要望を寄せることが可能である。

大事なので、繰り返しておくが、1世帯一律の30万円現金給付ではない。

市民全体が大きなダメージを負った経済危機に対して、給付対象をこれほど絞っていいのだろうか。ぜひ主体的に考えてほしい。