拝啓 江藤拓農林水産大臣様 お肉券もお魚券もいりません。日本銀行券を給付してください。

お肉券やお魚券の配布を検討している江藤拓農林水産大臣(写真:ロイター/アフロ)

江藤拓農林水産大臣 お肉券配布は必要ですか?

江藤拓農林水産大臣がその存在感を増している。

以下の報道にある通り、江藤農林水産大臣は、自民党からの要請を受けて、お肉券やお魚券だけでなく、メロン券、マグロ券配布の案も議論しているようだ。目を疑うような記事だが、どうやら本当のようである。

新型コロナウイルスの感染拡大で生産者が打撃を受けたことに対応するため、自民党が打ち出した「お肉券」「お魚券」構想に批判が相次いだことについて、江藤拓農林水産相は27日午前の閣議後会見で、「国民の方々の反応はわかっている。十分に受け止めている」と述べた。支援の対象を林業などほかの農林水産品に広げて検討していく方針だ。

これまで訪日客の需要が多かった和牛は、ウイルス問題で訪日客が減って需要が落ち込み、価格が大きく下落している。江藤氏は「全国のと畜場の倉庫に和牛の在庫が積み上がっており、これ以上入らない」とし、「生産から流通、消費の流れを何とかする施策は必ず必要になる」と述べ、生産者への支援の必要性を訴えた。

訪日客の急減に加え、政府の自粛要請で外出が減り、他の高級魚介類や果物などの需要も減っている。メロンや国産マグロなどの価格も低下しており、自民党内では和牛に続き、魚介類を対象とする商品券を発行する案も打ち出された。同党内で関連業界をバックにした部会が競い合うように商品券構想を打ち出す様子に、ネット上では「族議員批判」が相次いでいる。

仮に商品券の制度を導入しても、実際の発行までには時間がかかり、江藤氏が訴える当面の在庫解消対策につながるかはわからない。肉や魚など商品ごとに商品券が乱立すれば国民に分かりづらくもなる。江藤氏は、「公金を使うので、財政規律上許してもらえる範囲内でやらなければならないので、工夫をしている」とも話した。(大日向寛文)

出典:お肉券、お魚券に「族議員批判」 農水相「受け止める」朝日新聞

新型コロナウイルス感染拡大で消費が落ち込んでいることは理解するが、いま議論するべき内容だろうか。

経済危機でも関係なく、ゆとりがある政治家や高所得者向けのポータルサイトでも開設して、お金がある人向けに消費を喚起してあげたらいいではないか。

お肉やお魚の消費を促す対策は二次的・三次的でよい

少なくとも、これらの商品券構想を打ち出すより、大多数の市民は現金給付をした方がよほど助かることだろう。

早速、同様の意見はツイッター上であふれかえり、『日本政府、日本銀行券知らない説』がトレンド入りした。

日本銀行券とはいうまでもなく、紙幣のことである。

江藤農林水産大臣に限らず、麻生財務大臣も現金給付に難色を示し、消費を喚起する商品券発行に意欲的であることも報じられている。

これに対し、各著名人も普段の政治的主張に関係なく、反対や違和感を示す事態となっている。

現在の状況では、各商品券を発行し、消費を喚起することよりも優先するべきことがあるという各主張に賛同する。

これらの消費喚起策は、新型コロナウイルス感染が収束した後に検討すればいいことだ。市民全体の優先度合いは高くない

業界団体へ外出自粛要請をしたらどうか

それにもかかわらず、これらの商品券構想が生まれるのは、各業界団体、企業が利益を確保するため、必死に要請、ロビー活動をしているためである。

自民党内でも違和感を持つ国会議員も存在するが、日頃から業界団体との結びつきが強い国会議員は、彼らに「忖度(そんたく)」しなければ、支持を失ってしまうかもしれない。

そして、何よりも業界団体や企業にこそ、今は何をするべきか考えて欲しい。

業界団体や企業の必死さも理解するが、今そのような時であろうか。

自民党や各省庁に政策提言する前に落ち着いて欲しい

この時期に、和牛の消費を促そうと画策すること自体「火事場泥棒」的であり、低次元の「ショック・ドクトリン」(惨事便乗型ビジネス)と言えないだろうか。

業界団体や企業のイメージ戦略としても、よいこととは思えない。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、これから外出自粛要請が広がっていくだろう。

ぜひこのような「我田引水」で「今こそは」と息巻く業界団体、企業には自粛要請に従い、国会周辺に出入りをしないでもらいたい

政府への信頼を揺るがすことは市民の命を奪いかねない

いま市民の多くは政府が支援策をどのように出していくのか、動向を注視している。

現実に多くの生活困窮者を含む市民が明日の生活に不安を感じている

この状況において、出てくる政策が上記の商品券の数々であれば、絶望感を増すことは間違いないだろう。

生活困窮者支援現場の相談内容は、日増しに逼迫(ひっぱく)さを増している。

家賃をどうするか、電気・ガス・水道、各種ローン返済は大丈夫だろうか。

これから仕事はどうなるのか。これ以上収入減少が続いたら生きていけない。

そんな声で溢れている。

幸いなのは一部で支援策が実施され始めていることだが、的外れな政策論ばかりが続けば、絶望感から自ら死を選んでしまう方が出かねない。

生活福祉資金の特例貸付が本日から開始ー状況次第で10~80万円がもらえる償還免除もありー

政府は自分たちに何もしてくれないと思う市民を大量に作り出すことになってしまうだろう。

いま必要なのは、市民に優先度が高い政策を打ち出し、市民を見捨てないという強いメッセージを打ち出すことである。

カール・マルクスは「資本論」において以下のように述べている。

労働者と資本家がともに苦境にあるとき、労働者は生きていけるかどうかで苦しんでいるが、資本家は金もうけできるかどうかで苦しんでいる

どちらの苦しみを最優先に考えて行動するべきなのか、政治家の資質が問われる局面が続くだろう。

業界団体、企業、政府や政治家の動向を私たちは忘れずに見ておかなければならない。