新型コロナウイルスの経済危機に備えるー宿泊・飲食サービス業従事者の危機を乗り越えるためにー

訪日外国人観光客の減少が見込まれる状況(写真:アフロ)

アメリカ国務省が日本への渡航の自粛要請や注意喚起

衝撃的なニュース報道がなされている。アメリカ国務省が訪日について注意喚起を行なっている。

これによって訪日観光客は激減することが予想される。他にも台湾がすでに注意を喚起しており、他国も順次、日本への渡航の延期や自粛を促していくと見られている。

アメリカ 日本への渡航レベルを1段階引き上げ

アメリカ国務省は、日本国内で新型コロナウイルスの感染経路が分からないケースが相次いでいるとして、日本への渡航情報を4段階のうちいちばん低いレベルから1段階引き上げ、高齢者や持病のある人は不要不急の場合、渡航の延期を検討するよう呼びかけています。

アメリカ国務省は22日、日本を対象にした渡航情報を4段階あるうちで最も低い一般的な注意を呼びかける「レベル1」から、より注意を要する「レベル2」に1段階引き上げました。

国務省はホームページ上で、「日本ではどこでどうやって感染したか分からないまま感染拡大が続いている」としています。

そのうえで、高齢者や持病のある人は重症化するリスクが高いため、日本に渡航する場合は医師などと相談し、不要不急の場合、渡航の延期を検討するよう呼びかけています。

また、アメリカ国務省は22日、韓国についても感染経路の分からない感染拡大が続いているとして、渡航情報を日本と同じ「レベル2」に引き上げました。

「レベル2」は渡航の中止や退避まで呼びかけるものではなく、日本とアメリカの間の渡航に直接の影響はないとみられていますが、アメリカは20日にも東アジアでのクルーズ船の利用について再検討を求める勧告を出していて、新型コロナウイルスの感染拡大に警戒を強めています。

米CDCも渡航を注意

アメリカCDC=疾病対策センターは22日、各国への渡航情報を更新し、日本国内で新型コロナウイルスの感染経路が特定できていないケースが継続的に起きているとして、3段階ある注意情報を2番目の「レベル2」に引き上げました。

CDCは、日本への旅行中は病気の人に接することを避け、手洗いやアルコール消毒をこまめに行うよう注意を呼びかけているほか、高齢者や持病のある人は不要不急の旅行の延期や中止を検討するよう求めています。

出典:NHK アメリカ 日本への渡航レベルを1段階引き上げ 2020年2月23日

訪日外国人旅行者数の増加から一転急激な減少へ

2019年に日本を訪れた外国人観光客は、約3188万人に及んだ。

リーマンショック、東日本大震災などの危機から観光業は立ち直りを見せ、インバウンド効果も含めて、多くの雇用を生み出している。

それらの従業員の努力により、中国、韓国、台湾、香港などのアジア各国だけでなく、欧米からも旅行客を広く受け入れてきた。

訪日外国人旅行者数・出国日本人数(国土交通省・観光庁)
訪日外国人旅行者数・出国日本人数(国土交通省・観光庁)

しかし、これらの国々で新型コロナウイルス対策として、外出や渡航の自粛が始まっている。

当然、各観光地で人が溢れかえっていた状況は一転し、静けさを増していくことだろう。

観光庁では毎月、訪日外国人旅行者数を発表しているので、こちらを継続的に注視して欲しい。

宿泊・飲食サービス業への打撃と失業者の増加への懸念

ここで危惧されるのは、観光関連産業の経済的な落ち込みである。

そして、その産業における事業縮小や倒産に伴うリストラや賃金の下落である。

実は観光業のうち、宿泊・飲食サービス業は従来より、非正規労働者の割合が高く、賃金がもともと高くない産業としても有名である。

地域の最低賃金に張り付く形の時給で働いている労働者も多く存在するのが実態だ。

また、女性従業員も多く、アルバイトやパートで働くシングルマザーや単身者も多い。

景気が良ければ雇用を増やし、悪ければ雇用を減らす「調整弁」の一つとしても機能してきている。

例えば、観光で有名な沖縄県では、「沖縄県内の観光産業を支える宿泊・飲食サービス業に携わる女性従業員約2万9千人のうち、非正規雇用は約2万4千人で、82・8%を占めることが4日、分かった。また、男性従業員1万8千人のうち非正規雇用は約7500人で、42・1%だった。宿泊・飲食サービス業で、特に女性の非正規雇用の多さが明らかになった。」と沖縄タイムズ紙が報じている。

もちろん、非正規労働者の多くは日々の生活を送ることに精一杯であり、十分な貯蓄や資産を保有していない。

訪日観光客が減ることによって、まず雇用が失われることになれば、大きな打撃を受ける層である。

予想以上の「経済危機」が訪れるのではないか、と危機感を有している。

生活困窮者相談窓口の早期活用を

今のうちから、観光客の動向を探りつつ、倒産や事業縮小を見越して、失業や収入減に対処する必要がある。

政府は2015年から生活困窮者自立支援法を施行し、各自治体に生活困窮相談窓口を設置した。

離職などにより住居を失った場合や失う恐れの高い場合には、家賃相当額を支給する住居確保給付金も整備している。

また、各市区町村の社会福祉協議会でも、生活福祉資金貸付を実施しており、生活困窮に対応している。

当然、貯金が底をついてしまう、という場合には生活保護制度も活用することができる。

各種福祉制度はこのような危機の際に力を発揮するように作られてきた。ぜひ遠慮なく利用してほしい。

いずれにしても、経済危機は自分たちでどうにか出来るようなものではない。

お住まいの生活困窮相談窓口に早期に相談し、必要な支援を受けてほしい。

政府や自治体も新型コロナウイルス発の経済危機の動向を注視し、追加で福祉政策の実施が出来るように検討を行いながら備えてほしい。