今治タオルブランドの背景にあった違法な外国人労働ー差別と搾取で成立する血塗られた産業からの脱却をー

縫製産業に多い外国人技能実習生(写真:ロイター/アフロ)

NHKが今治タオルブランドを告発

今治タオルといえば、有名なタオルブランドであり、愛用している人も多いはずである。

その今治タオルをめぐって、先日NHKが外国人技能実習生の過酷な労働環境を告発した。

NHKによれば「1ヶ月の残業時間は少なくとも180時間と、過労死が認定される基準の倍近く。さらに、140時間の残業代が未払いになっている可能性があること」などが報道され、その衝撃的な映像の数々から大きな反響を得ている。

日ごろから外国人労働者を含む生活相談や労働相談を受けている立場から、NHKの報道に感謝したい。

ジャーナリズムにはこのような苦しい立場にある人々に光を当てて、問題解決の一助となる役割を引き続き果たしていただきたい。

わたし自身、外国人労働者に蔓延している違法労働や人権侵害の数々に辟易している一方、氷山の一角でも明らかになることは問題解決への一歩となると期待している。

問題の企業は今治タオル工業組合の下請け工場のひとつ

ただ、NHKの番組では問題となった企業が明示されなかったため、無用な憶測を呼んだり、全く別の企業が非難にさらされたりした。

風評被害を巻き起こすべきではない、などとNHKへの批判もあった。

しかし、今治タオル工業組合は正式にコメントを発表し、問題となった企業が「当組合員等の縫製の下請企業であること」を明らかにした。

(1)ベトナム人技能実習生の受入企業(当該企業)は、当組合に所属する企業(組合員)ではありません。

本報道で「28人のベトナム人が働く下請工場」「仕事はタオルの縫製」と報道されている当該企業は、当組合の組合員でないことを確認しております。

また、本報道で「明日組合で話し合うと言っている」とある組合は、外国人技能実習生の監理団体(受入を行う協同組合)であるとされ、当組合とは別の組織です。当該企業と当組合との直接の接点はありません。

(2)当該企業は当組合員等の縫製の下請企業であることから、当組合も社会的責任及び道義的責任を重く受け止めています。

当該企業は当組合に所属する企業(組合員)ではありませんが、組合員等の縫製の下請企業であることから、今治タオルの振興を図る取り組みをしています当組合としましても、社会的責任及び道義的責任があると考えており、この問題を非常に重く受け止めております。

(3)今後の対応は、技能実習生の労働環境の改善を最優先に考えて支援などに取組みます。

現在のところ、当組合でも情報収集に努めるとともに、本報道にもありましたように同機構が「労働基準法や技能実習法などに反した疑いで会社の調査は続いている」とのことであり、同機構の調査結果となんらかの措置を参考にして、実習生の身分や地位等の利益を最優先して労働環境の改善などの対応を真摯に検討してまいります。

(4)法令遵守等の周知徹底の強化のための全員協議会およびコンプライアンス研修会を開催いたします。

当組合では、経済産業省等から指導を受けています「繊維産業における外国人技能実習の適正な実施等のための取組」と「繊維産業の適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」を基に、これまで以上に組合員はもとより下請企業の法令及びコンプライアンス遵守について周知徹底を強化します。

そのため、7月8日(月)午後1時30分から組合員104社を招集して、全員協議とコンプライアンス研修「組織で考える不祥事防止策」を開催いたします。また、一過性のことと捉えず、今後より一層業界として是正のための取組みを継続してまいります。

また、調査と並行し、組合員104社に対し、各社内のみならず、各社の業務委託先に関しても、労働者の健全な待遇や環境形成のサポートを行なえる制度構築、内規設計等を検討してまいります。

出典:今治タオル工業組合ホームページ

要するに、今治タオル、今治タオルブランドが製作される過程の一部を人権侵害ともいえる外国人技能実習生が担っていたのは事実である。

外国人技能実習生に対する差別や人権侵害の事例は後を絶たない。なかにはあまりの過酷な労働環境のため、職場から失踪してしまう事例や過労死の事例、自殺まで追い込まれた事例まである。

そもそも「外国人技能実習制度」とは、人材育成を通じて国際貢献を果たす目的でつくられていると政府は説明している。

技能実習生は働きながら、技術や知識を身につけることができる制度である。

もちろん、実習生には労働基準法や各種法令が適用され、最低賃金の保障なども受けられる。

しかし、実習生という地位の低さは明らかであり、労働法制が守られないことが現場では常態化し、企業も問題化したら強制帰国させるなど、違法運用が蔓延している。

日本の労働市場は日本人にすら、ブラック企業という名の通り、労働法令を適切に守らない環境にある。外国人労働者、それも地位の低い労働者にそれが守られることがないことは容易に想像がつくはずである。法律など絵に描いた餅と化している

だからこそ、現代の「蟹工船」「女工哀史」とも表現されるほど、劣悪な環境下にある外国人が大勢いる。

外国人労働者への人権侵害が横行する日本の労働市場

そして、問題は外国人技能実習生だけではない

今野晴貴は留学生が「強制帰国」を争って日本語学校を提訴 日本の介護現場を支える違法労働の実態とはと留学生も違法労働をさせられ、抗議したら強制帰国させられそうになった事例を紹介している。

この場合には、介護施設と提携している日本語学校が人材派遣会社のような役割を果たし、使えなくなった労働者を強制帰国させる役割まで担っていた。

この様子は2019年6月27日のNHKクローズアップ現代+で放送されている。ご確認いただきたい。

前述の今野らNPO法人POSSEでは問題を重く捉え、ついに外国人労働サポートセンターを開設して相談支援活動をはじめた。

フィリピン人留学生への支援や訴訟費用をクラウドファンディングで集めているのでご支援いただきたい。

前述の訴訟代理人を務め、長年にわたり、外国人労働者の支援をしてきた指宿昭一弁護士も活動を評価し、このような相談窓口が増えることを歓迎している。

いまも劣悪な労働環境にある外国人労働者には、信頼できる窓口があることを知ってほしいし、守秘義務もあるので、気軽に相談することをお願いしたい。泣き寝入りでは次の犠牲者が生まれるだけである。

日本の呆れ果てる現状を少しずつでも問題解決への一歩として共に歩みたいものである。

消費者として商品を購入する際には注意を

企業や資本は常に安い労働力を求めて、海外に工場を作ったり、国内の労働者の賃金を抑え込んできた。

国内の労働者だけでは飽き足らず、最近は外国人労働者に矛先が向いている。

資本主義が成立した時期から、資本が安い労働者に依存することは何ら変わらない光景である。

そのため、私たちが外国人労働者に出会う機会も増えている。

日本社会を支えてくれている彼らがどのような生活をしているのか、についても関心を引き続き寄せていただきたい。

彼らがいなければ稼働しない産業も出てきているにもかかわらず、相変わらず大事にされている様子は見られない。

香港、韓国、台湾など東アジアでも労働力を集めようと努力が続けられているなか、日本がこのような惨状を繰り返せば、優秀な労働者は日本を見捨てていくだろう。まさに国益を損なう事態ともいえるのではないか。

また、私たち消費者は商品がどのような過程で製造されているのか、改めて確認したい。

どんなに商品やサービスの質が良かったとしても、外国人労働者への差別や人権侵害、違法労働によってつくられた血塗られた商品に手を出さないでいただきたい。血塗られた商品に手を出し続けている限り、犠牲は止まることがない

企業や商品の動向を少しでも把握いただき、賢明な行動をとり続けていただくだけで、かなり是正効果を発揮するだろう。

消費者の皆さんの行動にも希望を見出したい。