最近ホームレスを見かけることが少ない理由ー見えにくい住居不安定者の実態ー

ホームレス状態にある人々(ペイレスイメージズ/アフロ)

最近はあまり見かけないホームレスの人たち

少し前には都市部に出てくると必ず見かけるといってもいいホームレス状態にある人たち。

それが最近は見かけることが少なくなったのではないだろうか。特に冬場になると路上で見かけることが極端に減る

彼らはどこに行ってしまったのだろうか。

厚生労働省(2018)によれば、確認されたホームレス数は、4,977人(男性4,607人、女性177人、不明193人)であり、前年度と比べて557人(▲10.1%)減少している。

この数については計測の仕方など不十分ではないか、と疑問が上がっているものの、年々減少傾向にある。

路上で見かける人々は公式な統計でも実感としても減っているらしい。

僕たちも10年ほど前から夜回り活動と称するホームレス支援活動を埼玉県内で続けてきた。

ホームレスの人たちに生活保護の申請を促したり、アパート探しを手伝ったり、病院や法律事務所に付き添ってきた。

以前は主要な駅周辺や公園には多くのホームレス生活をする人々がいたが、当時よりも少なくなっていることは間違いないだろう。

厚生労働省が把握する数字は少ないにしても、以前と比べたら劇的に減っている。

「路上に寝ている人」は明らかに見かける回数が減った。

今回は彼らがどこに行ったのか、ホームレスはいなくなっているのか、について考えてみたい。

ネットカフェ難民化するホームレス

まず、結論から先に言えば、ホームレスは一向に減っていない

むしろ、新しい形態で増え続けている。

ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法によれば、ホームレスとは「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」を指している。

要するに、屋内にいる者はホームレスではないと法的に位置付けられている。

ここに近年、特に冬場にホームレスを見かけない理由もある。

ホームレス状態でも日雇い労働や臨時で働き、一時的な収入を得ている人もいるので、最近はネットカフェやカプセルホテルを定宿としている人も存在する。

以前は建設業を中心に不安定な日雇いが多かったが、最近はどこの企業でも現場作業に関わる形で派遣労働も多い。

彼らは定宿のネットカフェから出勤もする。

例えば、NPO法人ほっとプラスが生活支援で関わる人々のうち、明らかに「路上で寝ている人」は減っている。その一方で、ネットカフェなどからの支援要請が増え続けているのだ。

特に冬場にはネットカフェからSOSサインが頻繁に出され、関係機関と連携して支援に乗り出していく。

なかには難病や障害を抱えながら、ネットカフェで生活していた相談者もいる。

いわゆるネットカフェ難民の存在だ。

厚生労働省(2007)によれば、約10年前にもすでに5400人のいわゆるネットカフェ難民が全国にいることが確認されている。

さらに、昨年発表された東京都(2018)調査によれば、東京都内だけで約4000人のネットカフェ難民がいることが報告されている。東京都内だけでこの数字である。

首都圏近郊、全国に調査を広げたら、約10年前の調査時よりも確実に増えていることだろう。

上記の東京都調査(2018)の時期は、2016年11月~2017年1月である。冬場に調査したことも重要な点だ。

暖かい時期は路上で寝ることも可能だが、寒い時期は屋内に入らざるを得ない。

屋内、特にネットカフェなどの不安定な住環境で暮らしている人々が膨大な数で存在している。

まず東京都に限らず、政府、各自治体とも、実態調査をおこなっていくことが不可欠である。

日比谷公園年越し派遣村を経験して以降も、10年ほど生活困窮者支援を続けているが、現場の相談件数は当時とまったく変わっていない。

主な相談者が路上にいないだけである。

身寄りがなくて保証人もいないので住宅を借りることが難しい、安い家賃の住宅が少ない、礼金・敷金などの初期費用が捻出できない、などネットカフェで暮らさなければならない人々の悲痛な叫びは今も続いている。そして当時よりも増えている。

僕たちもいわゆる夜回り活動を月に1回ずつおこない続けているが、皆さんの力も貸してほしい。

まずは現場に足を運んで、実態を知る人が増えてくれば、問題がより「見える化」されて取り組みも前に進んでいくことだろう。

次回の夜回り活動(反貧困ネット埼玉主催)は、2019年3月20日(水)22時にJR川口駅改札前に集合しておこなう予定だ。

弁護士や司法書士、行政職員などと一緒に、食料提供や情報提供をおこないながら、ホームレスからの脱却をお手伝いしていく。

多くの方に現場で起こっていることを知っていただく機会になればありがたいし、それらが実態調査の実施を後押ししていく力になるはずだ。