東京ディズニーリゾートの「限定正社員化」と処遇改善ー賃上げから日本経済の立て直しへの一歩をー

ディズニーリゾートの象徴・ミッキーマウス(写真:つのだよしお/アフロ)

東京ディズニーリゾートの処遇改善と賃上げ

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが過去最高益を更新したそうだ。

僕の友人にも多数のディズニーリゾートファンがいて、引き続き多くの人々に夢や癒しを与えてほしいと思う。

オリエンタルランド(OLC) <4661> =2018年4~12月期の連結業績は増収増益。売上高と全ての利益が過去最高だった。東京ディズニーランド(TDL)の35周年企画や季節限定のイベントが好評で、TDLと東京ディズニーシーを合わせた入園者数は過去最高を更新した。 

出典:〔決算〕OLC、4~12月期は過去最高益(時事通信)

その一方で、この報道を受けたときに思ったことは、1過去の非正規労働者との労働事件が係争中であるとともに、2非正規社員の賃上げや処遇改善をおこなうのか、という点だった。

2018年7月19日、ディズニーランドで着ぐるみショーに出るなどの業務にあたっていた契約社員の女性2人が、過重労働やパワハラで体調を崩したとしてオリエンタルランドに対し、約755万円の損害賠償を求める訴訟を千葉地裁に起こしました。

すでに11月13日には千葉地裁で第一回口頭弁論が開かれました。併せて同日には原告側の記者会見が行われ、2人の女性社員が置かれていた過酷な労働環境や悪質なパワハラの実態が明らかになっています。

出典:オリエンタルランドでパワハラ訴訟。非正規社員からは悲痛な声が続々

ディズニーリゾートでは働く労働者の環境がこのように悲惨だと報道がされており、その待遇改善にも注目が集まっていた。

夢や希望を与える国が労働者の酷使と搾取のうえに成り立っているとするならば、非常に気分が良くない話である。

引き続き、裁判を通じて事実認定がされ、労働者の権利が保障されることを期待するし、同様の事件が繰り返されないように再発防止を徹底していただきたい。

このような労働事件があるなか、オリエンタルランドはアルバイトスタッフの約2割を無期雇用のいわゆる限定正社員に採用することも発表している。

労働問題、福祉問題にともに取り組む今野晴貴は「限定正社員とは、職務や勤務地、労働時間を「限定」する代わりに、給与は正社員より低くなるという雇用形態だ。職務などが限定されることで、業務の負担が少ないために、賃金が低いことが正当化されるというわけだ。」(今野晴貴オーサーコメント)と述べている。

東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドは1日、アルバイトの約2割を2022年度までに無期雇用の正社員にすると発表した。「雇用を安定させ、パークの質を高めたい」という。

同社のアルバイトは1万9006人(18年4月時点)。希望者を募って選考し、3千~4千人を新たにつくる雇用区分の「テーマパークオペレーション社員」にする計画だ。

出典:オリエンタルランド、アルバイトの2割を無期雇用化へ(朝日新聞)

しかし、限定正社員も正社員と比較すれば、十分な処遇や賃金ではないことも確かだ。

前出の今野晴貴も「職務を限定したとしても、差別が無際限に認められるわけではない。彼らの技能や努力が評価される賃金体系を作るべきだろう。」と継続した処遇改善を求めている。

ただ、僕はアルバイトスタッフに対して、限定正社員とはいえ、処遇改善に踏み込んだ姿勢については評価したい。

日本経済のためにも非正規労働者が多い産業は利益を労働者に分配せよ

先月は僕がZOZOTOWNの非正規労働者の賃上げにこだわる理由ー日比谷公園年越し派遣村の教訓と派遣労働者ーZOZOTOWNの非正社員比率は67%ー派遣や非正社員に過度に依存する企業体質からの脱却をーという記事を配信してきた。

いくつかの企業ではこれらの発信を受けて、オリエンタルランドのように、アルバイトスタッフの限定正社員化や非正規雇用の処遇改善に動きを見せてくれている。これらの処遇改善の動きは第一歩として歓迎すべきことだ。

オリエンタルランド同様に、日本には非正規労働者に過度に依存することで成立している産業が数多くある。

未だかつてない長さの好景気を実感できない労働者が多い理由は、実質賃金や労働分配率が低いだけでなく、企業が過度に非正規雇用に依存していることにもある。もはや労働者の約37%が非正規雇用である。

これでは個人消費も伸びないし、いくら商品開発しても購買意欲が湧かない。

ワーキングプアや子どもの貧困問題も改善の兆しが見えない。

以前の好景気は多くの労働者がそれなりに富を分配され、充実感をもっていたはずだが、今回の好景気は実感がない。

オリエンタルランドのように、まずは非正規雇用の処遇改善、労働者への利益の分配を強める企業が続いてほしい。