前回の消費増税分は8割が借金の返済ー「増税分は全額社会保障に使います」のウソとこれからの増税議論ー

施政方針演説をする安倍晋三総理大臣(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

安倍総理大臣の施政方針演説

今年も国会が開会され、安倍晋三総理大臣が施政方針演説をおこなった。

演説では「少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度を築き上げるために、消費税率の引き上げによる安定的な財源がどうしても必要。10月からの10%への引き上げについて、国民の皆様のご理解とご協力をお願いする」と述べた。

要するに、今年10月に控えた消費税の10%への引き上げに協力と理解を求める姿勢が示された。

2014年の消費増税分の政府広報ポスター(内閣府)
2014年の消費増税分の政府広報ポスター(内閣府)

皆さんはこの政府広報ポスターを覚えているだろうか。

2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられた。

その際の政府広報ポスターである。その文言に注目してほしい。

「消費税率の引き上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」というフレーズがある。

前回の増税分はどのように使われたのか、検証はされたのだろうか。

まず決定的なことは、前回の増税分の使途について、政府広報ポスターのようになっていない。

過去の消費税は何に使われたのか

財政社会学者の井手英策慶應義塾大学教授は「例えば、消費税の増税分が何に使われたのか、みなさんは知っていますか。増税分の使い道のうち8割は借金の穴埋めに回されました。残りは医療、年金、介護、子育てという社会保障に広く、薄く使われています。」(東京新聞2016年7月8日)とインタビューで述べている。

社会保障や社会福祉のために、全額を使っていないという前回のことを踏まえて、皆さんはどう思うだろうか。

消費税が8%から10%に引き上げられたときに、また再度、約束は守られるのか心配で仕方がない。負担ばかり大きくなるのではないか。

前回の増税分である3%を利用すれば、大学教育の無償化や医療や介護の負担軽減など、国民の暮らしに還元することが可能だったはずである。

私たちは税率が上がる際には負担が重いので反対の意思を表明するが、増税された後はその検証が十分にされない傾向が強い。

増税分が約束も守られずに、適当に使用されているのであれば、これから超高齢社会を維持するための増税議論が繰り返される際にも、政府や行政を信じることが出来なくなってしまうだろう。

増税されても社会保障や社会福祉に予算が回らず、負担ばかりが増えるという印象も払拭することが出来ない。

前回の消費税引き上げ分は明らかに「全額、社会保障の充実と安定化に使われます」という状況にはなっていない。

ぜひ国会も開会された今こそ、施政方針演説の内容が今度こそ遂行されるように注目していただきたい。

また同じようなことが繰り返されては国民の負担が大きくなるだけだからだ。