4月から奨学金返済の猶予期間が延長!! ~奨学金返済「猶予制度」を利用しよう!~

独立行政法人日本学生支援機構は、平成26年4月より奨学金の返済猶予期間の適用期間を通算5年から通算10年に延長した。

画像

公益財団法人生命保険文化センターより引用

この背景には、貧困の拡大により教育費の捻出が困難な家庭が増加していると同時に、大学授業料の急増も影響している。

そのため、奨学金を受ける学生数は、今では大学生の半数を超える。

そして、卒業後も不安定雇用の拡大があり、奨学金の返済に困難を抱える人々が増えている。

奨学金返済にお金を支払っている場合ではないという人々の増加だ。

例えば、先日NPO法人ほっとプラスへ相談に来られた20歳代男性は、大学卒業後に4年間、非正規雇用で働いてきた。年収200万円程度である。もちろん貯金は出来ない。

手取り収入は16万円ほどで、国民健康保険料、国民年金保険料、奨学金返済の支払いを終えると生活に困窮するという相談だった。

このような場合、積極的に周知をしていないため、あまり知られていないが、奨学金の返済を猶予してくれる制度がある。

日本学生支援機構は、ホームページで以下のように案内をしている。

日本学生支援機構の奨学金の返還期限猶予制度について

奨学生本人に返還困難な事情があるときに、願出によって返還を一時的に停止する制度です。

返還期限猶予を受けている場合、その期間は返還をしなくても延滞していることにはなりません。

猶予してもらうには所定の書類を日本学生支援機構に送付し、審査を受けることが必要です。

※返還すべき元金や利息が免除されるものではありません。

返還期限猶予の期間は通算10年(120ヶ月)が限度で、1年ごとに願い出が必要です。

ただし、災害、傷病、生活保護受給中、産前休業・産後休業および育児休業、大学校在学(防衛大学校等一部の大学校)、海外派遣(青年海外協力隊等)については、当該事由が継続している間は10年の上限なく返還期限猶予を願い出る事ができます。(災害原因が同一の場合は、災害発生から5年が限度になります。)

要するに、返済が困難な場合は返済を猶予するというのだ。

では返済困難な場合とは何か。

この範囲が意外と広く、多くの人々が対象となることが理解できる。

それは以下のとおりだ。

返還困難な事情

傷病により就労が困難な場合

生活保護を受給している場合

在学期間終了後1年以内で、大学・大学院などに進学する準備をしている場合(※資格試験、就職試験等の準備は対象になりません。)

失業中の場合(※再就職済みの場合や失業前から延滞がある場合は対象になりません。)

収入がない(少ない)場合

'''経済困難の認定における収入・所得金額の目安

給与所得者  年間収入金額(税込み)300万円以下

給与所得者以外  年間所得金額(必要経費等控除後)200万円以下

※金額はあくまで目安です。'''

大学等の特別研究員で、収入が少ない場合

新卒等、在学期間終了後1年以内で無職・未就職・低収入の場合

外国の研究機関で研究していて、収入が少ない場合

罹災により返還が困難な場合

産休・育休により収入がない(少ない)場合

防衛大学校・防衛医科大学校・海上保安大学校・気象大学校・職業能力開発総合大学校・国立看護大学校のいずれかに在学している場合

青年海外協力隊・海外農業研修等で派遣されている場合(※派遣前の準備期間等は対象になりません。)

※その他の事由もあり。

特に、年収300万円以下で働いている場合、返済困難な事由に該当する。

産休・育休中のお母さんにも朗報だ。

ぜひ奨学金猶予制度を申請してほしい。

申請用紙もダウンロードすることが出来る。→奨学金返還猶予願書式

正直なところ、「めんどくさい」と思われたかもしれない。そう思う。

しかし、無理して生活費を圧迫しながら、返済をする必要はない。

問い合わせをしながら、書類を提出すればいいのだから。

そして、奨学金の延滞や督促があり、返還に困った場合は仲間の弁護士が相談窓口を設けている。

遠慮せずに奨学金問題対策全国会議へ相談をしてほしい。

'''奨学金問題対策全国会議

〒104-0061 東京都中央区銀座6-12-15 いちご銀座ビル7階

東京市民法律事務所内

電話03(3571)6051 FAX03(3571)9379

事務局長 弁護士 岩重佳治'''

日本はヨーロッパの先進諸国と比較して、給与型の奨学金の割合が極めて少ない国である。

皮肉を言えば、大学を卒業したお祝いに「借金」をプレゼントして、社会に送り出す現実がある。

少子化にも関わらず、相変わらず教育に支出するGDP比も極めて少ない。

要するに、国として学生を支援する意識に乏しいといえる。

このままでは、大学卒業後に結婚して子どもを養育し、家庭を再生産していくことができない。

さらに人口減少と高齢社会が加速化してしまう。

こんな国は極めてめずらしいし、だからこそ現状を変えたい。

少しずつ貸与型の奨学金は奨学金などではなく、「教育ローン」であるという批判が広がり始めている。

このような声とともに、「おかしい!」と声をあげながら、わたしたちは現実に対抗していくことが大切だと思う。

日本の奨学金はこれでいいのか!
日本の奨学金はこれでいいのか!

参考文献:『日本の奨学金はこれでいいのか!奨学金という名の貧困ビジネス』