佐村河内守氏への批判だけでなく聴覚障害者への理解と支援を!

佐村河内守氏の「3年前より耳は聞こえていた」というコメントを受けて、彼に対する批判とともに、国会でも聴覚障害の障害認定のあり方について見直しが検討され始めた。

産経新聞「佐村河内問題」受け厚労相「聴覚障害認定のあり方見直しを検討」

まず、聴覚障害の認定方法は、医師の意見書に委ねられていることが多く、日常生活を細かに見ていない医師には判断が難しいことが多い。

これについては、医師に限らず、生活面の支援に関わる機会がある社会福祉士や言語聴覚士、ヘルパーなど多様な専門職の意見を聞くことが重要だろう。

当然であるが、家族や親族、友人の意見も重要である。これらの声が意見書に反映されることは少ない。

そのような医師以外の声がほとんど反映されない意見書によって、障害認定がなされる状況を見直す必要はあるだろう。

しかし、それよりも重要なことは聴覚障害者の置かれた現状理解と生活支援の不足を改善することではないだろうか。

聴覚障害は耳が聴こえない、あるいは聴こえにくいということ。

そのため、何が障害されているのかといえば、主にはコミュニケーションである。

コミュニケーションをとることが難しいということは、日常生活上、私たちが買い物や移動、仕事、相談などする上で何気なく行っている言語が使用できない場合がある。

これらのコミュニケーションツール(コミュニケーションの道具)としての言語が使用できない場合は、手話やボディランゲージなど他の手段を用いることになる。コミュニケーションを支える何かが必要ということだ。

しかし、聴覚障害者のコミュニケーションを支援する人々やサポートする機関(社会資源)が乏しい現状が続いていることをご存じだろうか。

市区町村社会福祉協議会では、手話通訳士を派遣する事業を行っている。

また、障害者生活支援センターでも聴覚障害者に限らないが、生活相談を受けたり、福祉サービスの活用を促すなど聴覚障害者をサポートする取り組みを行っている。

ただし、聴覚障害者の日常生活や社会生活を十分に支援できるだけの人々が用意されているわけではない。

社会生活を送るということは、ほぼ毎日、24時間365日何らか社会へのアクセスの必要を意味しており、本来はそれを支える何かが常に必要とされている。

そうでない限り、聴覚障害者は聴覚障害者のままに留め置かれる。

ここで、全国で唯一の聴覚障害者の当事者団体である全日本ろうあ連盟を紹介したい。

全日本ろうあ連盟は、このような聴覚障害者への支援の不足を受けて、厚生労働省に対し、「聴覚障害者の福祉施策に関する要望について」(2014年1月23日付)で提出をしている。

特に3つ目の聴覚障害者福祉に関わる人材養成・確保は先述したようにとても重要である。

全日本ろうあ連盟要望書

1、全国の聴覚障害者が平等に福祉サービスの利用ができるよう、社会福祉施設等の社会資源の整備を図って下さい。

2、障害支援区分認定や介護区分認定において、聴覚障害者やろう重複障害者、高齢聴覚障害者の障害特性を正しく反映するよう、コミュニケーション関連項目等の扱いの変更、「視力」「聴力」の項目に合わせ「言語(発語及び手話)を調査項目に追加、及びマニュアルの修正を行って下さい。

また、介護支援専門員研修や障害者相談員研修において聴覚障害等、障害種別毎の支援の留意点、認定調査時の留意点、障害に関わる専門機関との連携、活用等について周知して下さい。

3、聴覚障害者福祉に関わる人材養成・確保を強化して下さい。

4、情報アクセス・意思疎通支援を受ける権利について規定し、利用負担なしの原則に基づき、全国共通の意思疎通支援制度の仕組みについて、障害当事者団体・関係団体とともに検討を進めて下さい。

これらの意見を受けて、厚生労働省の施策担当者と同時に、私たち社会の聴覚障害者に対する理解も広げていきたい。

興味・関心を持っていただいた方は手話通訳士にならないだろうか。手話を勉強してみてはいかがだろうか。

聴覚障害者と接してみてはいかがだろうか。あるいは当事者団体を様々な形でサポートしてみていただけないだろうか。

人が足りないのだから。

いずれにしても、佐村河内守氏の騒動を受けて、本人を批判し、障害認定制度のあり方のみに議論が終始しないことを願いたい。