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スマートニュースに読売新聞が参加、残る朝日新聞の動向に注目

藤代裕之ジャーナリスト
スマートニュースに儲けられた「読売新聞」チャンネル

ニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」に6月2日から読売新聞のチャンネルが追加された。スマートニュースは、毎日新聞と産経デジタル(産經新聞)が参加し、ワールドカップ特集では日本経済新聞の記事が使われている。読売新聞が参加したことで、全国紙で唯一スマートニュースに参加していない朝日新聞の動向が注目される。

スマートニュースと読売新聞は、2月のソチ五輪時に「読売ソチ五輪ニュース」を期間限定ながら共同で運営し、1400万PVを達成。その実績がチャンネル開設につながったという。発表時にSmartNewsが300万ダウンロード突破、読売新聞が「ソチ五輪」チャンネル開設で業界に衝撃を書いたが、ついに流れが変わったということだろう。

スマートニュースをめぐってはウェブ上からコンテンツを集め、独自のインターフェイスで表示する際に広告を非表示にしていたこことから「ただ乗り」批判が起きていた。ネット事業に慎重とされる読売新聞社との協業が公開されたことにより、流れが変わる可能性がある。

出典:SmartNewsが300万ダウンロード突破、読売新聞が「ソチ五輪」チャンネル開設で業界に衝撃

ソチ五輪時のリリース
ソチ五輪時のリリース

上記記事にも書いたが「ただ乗り」批判を受けながらも、スマートニュースはメディア各社との協業を着実に進めて来た。チャンネルプラスを開設したメディアは既に、毎日、産経、読売の全国紙に加え、共同通信、ロイターの通信社、東洋経済オンライン、ハフィントンポストなどがあり、42チャンネルになっている。この購読者総計は730万人ということだ。日本経済新聞との関係は、読売のソチ五輪と同じで実績をつめばチャンネル開設に結びつく可能性もあるだろう。

全国紙や通信社は、実は大量の使われないコンテンツを持つ。日本経済新聞の場合、サッカーファンならば、武智記者、吉田記者の名前を知っているだろう。だが紙面は限られて毎日同じ記者の原稿を掲載することは難しい。電子版ならば同じ試合で武智、吉田両記者の戦評を読み比べるという贅沢な展開も可能になる。スマートニュースに単に記事を配信するだけでなく、社内に眠る資産(コンテンツ)の見直しも必要になる。読売新聞がこれからどうスマートニュースを活用するかも注目される。

ジャーナリスト

徳島新聞社で記者として、司法・警察、地方自治などを取材。NTTレゾナントで新サービス立ち上げや研究開発支援担当を経て、法政大学社会学部メディア社会学科。同大学院社会学研究科長。日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)代表運営委員。ソーシャルメディアによって変化する、メディアやジャーナリズムを取材、研究しています。著書に『フェイクニュースの生態系』『ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか』など。

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