格闘技イベント“グラチャン”が「来年はちょっと面白いことになる」理由とは?

12.2大会ではコンゴ人選手、ダリがGRAND初代王者に(C)GRACHAN

 9月に10周年記念大会を行ったGRACHAN(グラチャン)と、関西を拠点に定期開催を続けるGLADIATOR(グラジエーター)。2つの総合格闘技(MMA)イベントが仕掛ける初の交流大会『GRACHAN37×GLADIATOR 008』が12月2日、東京・大田区産業プラザPIOで開催された。

「試合前に流す映像を含め、グラチャンではその選手、その試合が持つ意味やストーリーを大切にしている」

 グラチャン・岩崎ヒロユキ代表は大会前にそう語っていたが、メインイベントとセミファイナルはまさに「おわり」と「はじまり」という2つのテーマがそれぞれ強く印象に残る一戦だった。

 メインでは中村謙作(吉田道場/35)が格闘家人生の幕引きとなる引退試合を戦った。(以下、中村謙作引退試合トレーラー)

「応援し続けてくれた人たちのためにも、最後は自分が楽しんで終わりたい。だからこそ、思い切り殴り合うつもりでいる」

 そんな元グラチャン・バンタム級王者の介錯を引き受けたのが、昇侍(しょうじ、トイカツ道場/35)だった。非凡な打撃センスを持ちながら、一時は格闘家人生を封印。昨年、グラチャンで約4年ぶりに復帰を果たした。

中村謙作(左)はお世話になった全ての人に感謝を込め昇侍と存分に打ちあった(C)GRACHAN
中村謙作(左)はお世話になった全ての人に感謝を込め昇侍と存分に打ちあった(C)GRACHAN

 戦場を去る男と、戦場に戻ってきた男は、共に35歳。「ハートで会話する2人らしい試合だった」と岩崎代表が語ったように、試合は胸のすく殴り合いとなり、3ラウンド、中村はついに昇侍の拳に力尽きた。

 2009年にプロデビューを果たして以来、新興イベントであるグラチャンを激闘で支えてきた中村の、“らしい”ラストファイトだった。

試合後、岩崎代表(左)から功労賞を受け取る中村。熊本から駆けつけた母からもねぎらわれるなど、人柄がにじみ出る引退セレモニーだった(C)GRACHAN
試合後、岩崎代表(左)から功労賞を受け取る中村。熊本から駆けつけた母からもねぎらわれるなど、人柄がにじみ出る引退セレモニーだった(C)GRACHAN

 セミファイナルでは新たなベルト、GRANDウェルター級(-77.1Kg)王座をかけ、現GRADIATOR同級王者のレッツ豪太(総合格闘技道場コブラ会/29)と、グラチャンを主戦場にここまでMMA7連勝と戦績を伸ばしてきたコンゴ人ファイター、ルクク・ダリ(Honey Trap/25)が対戦した。(以下、初代GRANDウェルター級タイトルマッチトレーラー)

 当たれば一発KO必至。そんな豪快なパンチがかすめ合うスリリングな攻防を判定で制したのは、最終3ラウンドの右の一撃で流れを引き寄せたダリ。柔道のコンゴ代表という経歴を持つ日本在住8年目の25歳は二児の父でもある。

フルスイングがかすめ合う戦いは緊張感たっぷり。ダリ(右)は母国コンゴでのMMA普及も目指している(C)GRACHAN
フルスイングがかすめ合う戦いは緊張感たっぷり。ダリ(右)は母国コンゴでのMMA普及も目指している(C)GRACHAN

 新ブランド創設の意味について、岩崎代表はいう。

「日本の格闘技界はウェルター級の層が薄い。その中で各団体が何本ベルトを作る? そんなに必要なのか? という疑問から生まれたのが『GRAND』です。今後はグラチャン、グラジエーターだけでなく、誰でも挑戦する権利があるベルトとして、他の団体も巻き込んでいきたい」

 グラジエーターとの共催や新ブランドの創設など、新たな挑戦が目を引いた今大会だが、「来年からは、さらに面白いことになりそうです」とは岩崎代表の弁だ。

「選手が海外で活躍できないなど、日本の格闘技業界は今、色々な意味でマズいかなと思っているんです。そこで、同じアジア諸国と手を結んで世界に通じる選手、世界で勝てる選手の発掘、育成をやっていくなど、視点を変えたチャレンジに向けて、すでに動いているところです」

 温かい「おわり」を見せてくれた大会は、熱い「はじまり」を予感させる大会でもあった。

GRACHANオフィシャルサイト