【連載】17歳の殺人者 第57回 十七歳で卒院し、被害者の供養に

目次へ

十七歳で卒院し、被害者の供養に

カズキが少年院を卒院した時、かれは十七歳になっていた。カズキが卒院後すぐにおこなったことは、被害者の供養だという。

「被害者の女性については、少年院にいるとき以外でも忘れたことはないので、すぐお寺に行って供養しました。そういうことだけが気掛かりだったので、まず最初にやらなくてはいけないと思っていました。やってどうなると人に言われればそれまでですが、僕ができるのはそれくらいしかなかったんです。お寺は被害者のお墓のあるお寺ではありません。被害者のお墓は分からないのは勿論ですが、きっと行けないと思います。だからといってなにもしないわけにはいかないので、自分なりに考えて自分なりにしたんです。

供養の時、被害者の女性に対して僕は謝りました……。助けてあげられなかったことを、少なくとも助けられる一番近い位置にいたのですが、にもかかわらずそれをしなかったことを……。僕に"いつ帰れるの?"と彼女が聞いた時に、答えられなかったことに当時の僕がすべて象徴されていると思うんです。あそこで答えられるだけの勇気があったら、恐らく警察に行っていたと思います。ですが、自分だけを守ることしか考えていなかった。いま、口では助けてあげたかったとか、警察に行こうと思っていたとか言えますけど、実際に行動に移していなければなんの意味もないことです。とにかく、僕がこれから生きていく上で、一番大事なことは自分がやってしまったことを忘れてはいけないということです。事件を起こしてきたような自分であってはいけないということです。供養した時にそれを約束しました。どんなことをしても供養にはならないかもしれませんけど、それを守るしかないんです。それだけです。いままでしてきたことの悪いことの分、一生懸命やっていくしかないと思っています」

目次へ

電子書籍で本書の購入を希望の方はこちら