【連載】17歳の殺人者 第55回 殺されたと知った時は呆然とした

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殺されたと知った時は呆然とした

結果的に被害者の女性は無惨な殺され方をされる。事件を知ったのはいつで、逮捕された時はどんな状況だったのか。

「八九年の三月でした。住み込みで働いていまして、仕事から戻ってみると、事務所のおばさんから"あんたが住んでいた所のことをテレビでやっているわよ"と聞いてニュースを見ました。そこで初めてそういう結果になってしまったことを知りました。テレビでは、ずっと監禁した挙げ句に死んでしまったからドラム缶に入れて放置したという報道でした。一番最初に感じたのは、とにかく信じられなくて――半信半疑ではあったんですけど、帰したということをどこか信じたいというのがあったので――ニュースを見た時はただ呆然とするだけで、被害者の方の写真が出た時に本当なんだと実感しました。こんなこと後で言っても仕方ないんですけど、結果としてこうなってしまうんだったら、友達と相談したときに警察に行っていればという後悔ばかりが頭の中をよぎって、その日からずっとその毎日でした」

友達と警察に駆け込もうという他に、なにか警察に伝える方法はなかったのか。

「チャンスは一度だけありました。ちょうどその頃、僕の家の近くのマンションで母子殺人があって、刑事が聞き込みで家に来たんです。僕がちょうど家に戻った時に色々間かれたんですけど、その時に僕は言ってしまおうと"刑事さんに話したいことがあるんですけど……"と持ちかけたら、自分たちは母子殺人の件で動いているので、相談があるなら少年課に行ってくれと言われたんです。無理矢理でも話していれば……恐らく話していれば、聞いてはくれたと思うんですけど、話を聞いてくれていれば……責任逃れになりますけど、その時が一番のチャンスでした」

テレビで事件を知ってから、どんな日々をカズキは送ったのだろうか。

「とにかく、被害者の方に対して申し訳ないという。自分を責めても責め足りない。自分もこの目で(被害者を)見ていますから……。仕事もあまり手につきませんでしたが、だからといってなにもしないわけにもいかないですから、それはまた逃げることになりますから、いま自分がやらなきゃいけないことをとにかくやっていました。警察が来たのは、事件をニュースで知ってから二週間くらいあとです。職場に来ました。そのときは僕は建築の仕事をしていたんですが、会社の社長と刑事さんらしき人が三人くらい来て――その時は刑事だとわからなかったのですが――話をして、いったん帰ったんです。そのあと、さっき来たのは刑事さんだと社長の口から聞きました。今回の事件のことでFを逮捕しに来たが、仕事もきちんとして、住まいもはっきりしてるので、もう少し捜査がはっきりしてから改めて来るということなので、そのときはそのまま仕事を続けてくれということでした。結局、逮捕されたのは四月にはいってからでした。警察から取り調べをしたいと呼ばれまして、その場で逮捕されたのです」

カズキは三日ほど警察の留置所に身柄を拘束された後、送検され事情聴取を受けた。その後は家庭裁判所に送られ、身柄は鑑別所に移送された。鑑別所生活を一カ月経たのち審判を受け少年院送致となった。処分は一般短期処遇で、約半年間、長野県内の少年院で過ごすことになった。

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