【連載】17歳の殺人者 第21回 3.少年Cの告白 あらゆる「ムカつく」ことが暴力の理由になる

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3.少年Cの告白

あらゆる「ムカつく」ことが暴力の理由になる

高校生の女性を監禁した部屋の主であるCとツヨシ(仮名・一六歳)は東綾瀬中学の同級生だった。ツヨシにとって、中学時代のCは「ぜんぜんワルという感じじゃなかった」という印象しかない。

「Cなんて、おとなしかったですよ。おれなんかに会うと、ぺこぺこしてた。悪くなったのは中学を卒業して、高校やめて、A先輩とつき合うようになってからですね。髪の毛も赤く染めたりしてましたもん。高校デビューですよ。でも、あんな悪いこと、よくやったもんですよ。A先輩に命令されてやったに決まってますけどね」

私と並んで歩きながら、そうツヨシは早口でしゃべった。細身のからだに白いジーンズの上下。ゴールドのネックレス。中学を卒業後、タイル店で職人見習いとして働いている。

私たちが綾瀬の駅前を歩いていると、前方からエグゾーストノイズが聞こえて、車高を極端に上げた四輪駆動車がわれわれの一メートルほど横をかなりのスピードで走り抜けていった。ツヨシはふいに会話をやめ、その車のほうをふり返った。形相が一変し、目がつりあがった。四駆を睨みつけている。今にも追いかけていくのではないかと思えるぐらいの殺気だ。

「なんだ、あのヤロウ」

吐き捨てるようにツヨシが言った。

「知り合い?」

「ちがいますよ。ナマイキなんですよ」

どうやら、自分のすぐ脇をスピードを落とさずにとばして行ったのがカチンときたらしい。街ですれちがう「知らない顔」はすべて敵。ガンをつけてくる、睨んでくる、肩がぶつかる、ナマイキそうな顔をしている……。ささいな、あらゆる「ムカつく」ことが暴力の理由になり、暴力の「必然」に転化される。

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