【連載】17歳の殺人者 第10回 2.少年Aの告白 論告・求刑

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第一章 女子高校生コンクリート詰め殺人事件

2.少年Aの告白

論告・求刑

一九九○年五月二五日正午すぎ、東京地裁の前には長蛇の列が幾重にも折れ曲がって続いていた。一目で数百人とわかる。論告求刑公判の傍聴を希望する人たちであるが、大半はテレビ局などが動員した学生アルバイトだ。前年七月三一日の初公判のときよりはるかに人が多い。

眼鏡をかけた小太りの検察官が淡々と読み上げた論告要旨は次のようなものだった。

〔昭和六十三年十一月二十五日、まず被告人Cが帰宅途中の女子高校生を襲い、被告人Aがこれを助ける振りをして近付き、暴力団に狙われている、助けてやる等と甘言を弄して同女を誘拐し、更に被告人B、Dがその事情を知りながらこれに加わり、被告人四名で全員でC方に同女を連行して略取し、翌六十四年一月四日までの四十一日間にわたって不法に監禁し、その間、同女に対し、乱暴行為を繰り返した上、被告人四名がほとんど連日、筆舌に尽くし難い殴る蹴るの暴行を加えたほか、身体に火をつけて皮膚を焼くなど、凌辱の限りを尽くして殺害し、加えて、その遺体をボストンバッグに入れコンクリート詰めにして遺棄したという事案であって、その残忍かつ極悪非道である点において過去に例を見出し難い〕

論告の読み上げは続き、「わいせつ目的で適当な女性を物色中、たまたま通りかかった本件被害者を誘拐・略取したものであり、その動機は極めて反社会的かつ自己中心的」で、「被害者の女子高校生はなぶり殺しにされたとしか言いようがなく、動機に酌量の余地はない」と検察官は述べた。

そして、被害者の両親の激しい怒りと悲しみと、社会に与えた衝撃や不安を強調し、「被告人らの行動は人の仮面をかぶった鬼畜の所業と断ぜざるを得ない」と断罪、とくにAに対する情状の部分では、「犯罪的性向を矯正するのはほとんど不可能な状態」と言い切った。B、C、Dについても犯行に積極的にかかわっていたと力説した。約四○分に及ぶ論告のあと、求刑。

法廷内の空気が一瞬にしてはりつめ、下を向いてメモをとっていた記者たちが顔をあげた。

主犯格のA(論告時二○歳・事件当時一八歳)に無期懲役。

準主導的立場にあったB(論告時一九歳・事件当時十七歳)に懲役一三年。

女子高校生を監禁した家の次男C(論告時十七歳・事件当時一六歳)とD(論告時一八歳・事件当時十七歳)には懲役五年以上一○年以下。

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