【連載】17歳の殺人者 第6回 「センパイ、あの子、どうするんですか……」

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「センパイ、あの子、どうするんですか……」

翌日。十一月二九日のことである。

「またA先輩から呼び出されたんです。いまから医者に行くからつき合えって。ジブンが原付でA先輩の家に行くと、先輩は髪洗ってる最中で、家のなかで一時間ほど待たされたんです。先輩はまず接骨医に行って薬をもらうと、次は歯医者に寄ったりしました」

そうカズキはその日のことを思い出した。

Aがカズキに聞いた。

「ハラへってるか?」

「はい」

Aとカズキはファミリーレストランに入った。カズキは注文してからAに聞いた。

「センパイ、あの子、どうするんですか……」

「どうしようか」

「ヤバイですよお」

「帰したら、かえって(バレたら)ヤバイからなあ」

Aがこうもらした。

「埋めちゃおうか」

「そんなのマズイですよ」

そこでその会話は中断した。

カズキは、これ以上かかわるのはまずい、Aたちに近寄るのをやめよう、そのときに心底そう思ったという。都合よく、それから三~四日間は仕事で東京を離れなければならなかった。当時カズキは土木関係の仕事に就いたばかりだった。このままAたちとの関係を消滅させてしまおう、とカズキは考えた。

「でも、甘かったです。仕事先から家に電話をいれると、母親が心配そうな声で、"へんな子から電話があって、カズキ君はどこ行ったんですか?って聞いていたわよ"って言うんです。もう絶望的な気持ちになりました。A先輩が捜しまわっていたんです。せめて、逃げた、と思われるのがいやなので、十二月に入ってすぐ、またCの家に顔を出しました」

Aは不在だったが、女性はまだいた。カズキも加わった輪姦事件から一週間ほど経っていた。女性はBたちと談笑していた。煙草も吸っていた。カズキは「とけこんでるな」と思って、その日は帰った。その光景を見たカズキは、女性がAらに監禁されているのではないか、という危機意識を忘れてしまう。

次にカズキがCの部屋に行ったのは十二月の中旬だった。

「A先輩がつくろうとしていたヤクザの青年組織(極青会)にはいることを断りに行ったんです。ヤクザとかかわりあいになるのがいやだったから。女の子は元気がなく、顔にアザがあり、ふとんにはいってました。見張りはCでした。A先輩はいませんでした」

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