【連載】17歳の殺人者 第3回 1.少年カズキの告白 少年カズキとの出会い

目次へ

第一章 女子高校生コンクリート詰め殺人事件

1.少年カズキの告白

少年カズキとの出会い

「むかしの友だちには、もう会いたくないんですよ。あの街に帰ると、また悪いことを始めそうだし、中学の先輩が怖いんです。なにされるか、わからないし。ぼくのことを知ってるやつがだれもいないところで、生活をやり直したいんです」

私がカズキ(仮名・一六歳)に会ったのは、千葉県内の小都市だった。だだっぴろい駅前には、貸しビデオ屋と見慣れない名前のコンビニエンスストアがあるだけである。東京への通勤圏として真新しいマンションや一戸建てがここ数年で急速に増え東京のベヅドタウンと化したが、その住宅ラッシュに駅前開発が追いつかなかったのだろうか。がっちりとした一七○センチ程の体格。白いTシャツに黒のゆったりしたコットンパンツ。スポーツ刈り。日焼けした顔。

駅から少し歩いたファミリーレストランに入った。ガラス窓の外を下校中の高校生たちが、ふざけながら自転車に二人乗りして帰って行く。カズキは時折、伏し目がちにそれを目で追う。同世代の姿を見ると、自分への「追手」に思えてしまうのだという。

「やっと、最近気持ちの整理がついてきたんです。取り返しのつかないことやっちゃって、どうやって生きていけばいいのか、わからなかった。毎日、むかしの先輩たちがジブン(カズキ自身のこと)を捜すんじゃないか。そして、先輩たちに殺されるんじゃないか、と思ってびくびくしているんです」

カズキは、監禁殺人に関与した一人として逮捕、傷害致死罪で起訴されたが、家裁から検察への逆送致は免れた。家裁の審判で少年院に送られることが決定し、長野県内の中等少年院で約半年間の短期処遇を終えたところだった。たった半年間か、と私は思ったが口には出さなかった。

カズキが怯えるように「あの街」と呼ぶのは事件の舞台となった足立区綾瀬である。かれは出院と同時に「あの街」を離れたのだった。

カズキはあの日のことをいまも鮮明に覚えている。あの日とは、一九八八年十一月二八日。Aら四人の少年に高校生の女性が拉致されてから三日後のことである。

目次へ

電子書籍で本書の購入を希望の方はこちら