Yahoo!ニュース

【連載】暴力の学校 倒錯の街 第30回 生徒指導の実態

藤井誠二ノンフィクションライター

目次へ

生徒指導の実態

「〈生徒生活指導対策についての依頼〉

本校においては、生活指導並びに学習意欲の低下防止と、他生徒への影響等を考え、特に次のような項目について指導をおこなっています。なお、詳しいことは生徒手帳に記載していますので、よく読まれて把握しておいて下さい。

(A)

1制服

・上着・ベストの丈を短くしたり、脇を縫い込まないこと。(改造した場合、元に戻させる。正規に戻らない場合は、買い替えさせる。)

・スカート丈は膝の皿下の線とする。

・ネクタイを改造しないこと。(細くする等)

2頭髪

・パーマ又はパーマと見なされる髪型(コテ・カーラー等の使用によるもの)染色・脱色・ドライヤー等の使用により髪が赤くなったものは違反。

※上記の違反の場合は、ショートカット(耳が出るまで)にしてから違反をしていない状態に戻させる。(保護者召喚もあります。)

3通学バッグ

・改造したり、落書きしたりしないこと。規定の大小のバッグを用途に応じて使用すること。

弁当バッグ

・通学バッグの中に入れてこない弁当及び途中で購入してくる昼食は規定の弁当バッグに入れてくること。

4通学靴

・学校規定のコイン型の黒靴を使用のこと。エナメル・スウェード・布製・踵の高い靴は使用できない)

5ソックス(ストッキング)

・無地白色が基本であるがワンポイントは可。黒ストッキング着用時は黒・濃紺・濃いグレーのソックスを着用可能(白は不可)

・肌色ストッキングの場合は白色ソックスを着用すること。ハイソックスは不可。(ストッキング使用は十二月~三月の期間とする。)

6化粧品(アクセサリー)

・化粧品(色物リップクリーム・コロン等)類、ポマード類、イヤリング(ピアス)・ネックレス・指輪類のアクセサリーの使用禁止。耳に穴(ピアス用)をあけてはいけない。

7ポケットベル

・ポケットベル、携帯電話は持って来ないこと。所持していた場合は担任預かりで、直接保護者に返します。

(B)教科普類は必ず持ち帰ること。教科に関係ない物(雑誌・お巣子・ジュース等)は持って来てはいけない。

(C)アルバイト

・一年生は原則として禁止、二、三年生は長期休暇期間中のみ届け出があれば許可することがある。

・一~三年生で経済的事情により日・祭日等にアルバイトをしたい場合は、担任に相談をして正規の許可を得ること。

(D)免許取得

原付免許取得

・原則として禁止であるが、特別の理由(家から母寄りの駅・バス停迄四キロ以上ある場合)がある場合は担任に申し出ること。協議のうえ許可することもある。

自動車免許取得

・進路内定者、内定見込者等で必要な場合は三年生の十一月より自動車学校へ入校することを許可する。(本校の自動車免許取得の規定を守るという条件で十月より申し込みを許可する。)

(E)遅刻・早退・欠席をしないように心掛けること。(遅刻・欠席等の場合は必ず保護者より事前に連絡をして下さい。)

1、特に無届け遅刻をしないこと、届けをしたら良いという安易な気持ちで遅刻をしないように。

2、早退届のない場合(学校で病気等)は養護教諭と相談のうえ、受診証明書を持たせて担任の許可のもとに下校。

3、無届けの欠席・遅刻の場合は必ず担任が家庭連絡をする。

※遅刻・早退・欠席については事前ないし事後、本校規定の様式の届けを保護者より担任に提出して下さい。

※上記(A)(B)の違反がはなはだしい場合は、いったん帰宅させ正しくして再度登校させることがある。

※登下校時・HR等で所持品調査をおこなうことがある。喫煙具類(ライター・マッチも含む)・シンナー類等を所持していた場合は喫煙・吸引と同等とみなす。

※違反物を所持していたり、身に付けていた場合は没収(学年末迄)する。(必要がある場合は学校で保護者に直接返します。)

所記の目的を達成するためには生徒の自覚はもとより、保護者各位のご協力を必要とします。よってその指導の一環として、違反者、無断遅刻者、怠学者については下記のように回数に応じて指導を重ねて行き、放課後居残り指導を致しますのでご協力をお願いします。

◆違反回数、無届遅刻回数

1・2回目 担任指導

3回目 担任→学年主任指導

4回目 担任→学年主任→生徒部長指導

5回目 担任→学年主任→生徒部長→教頭指導

6回目 担任→学年主任→生徒部長→教頭→校長指導

7回目 保護者召喚

8回目 以降は特別指導

※なお、違反事項、遅刻回数等は生徒手帳に記録しますので、保護者確認の印を日付の箇所に押して下さい。又、遅刻、違反等しないように指導をして下さい。

※この用紙は保管しておいて下さい。」

目次へ

ノンフィクションライター

1965年愛知県生まれ。高校時代より社会運動にかかわりながら、取材者の道へ。著書に、『殺された側の論理 犯罪被害者遺族が望む「罰」と「権利」』(講談社プラスアルファ文庫)、『光市母子殺害事件』(本村洋氏、宮崎哲弥氏と共著・文庫ぎんが堂)「壁を越えていく力 」(講談社)、『少年A被害者遺族の慟哭』(小学館新書)、『体罰はなぜなくならないのか』(幻冬舎新書)、『死刑のある国ニッポン』(森達也氏との対話・河出文庫)、『沖縄アンダーグラウンド』(講談社)など著書・対談等50冊以上。愛知淑徳大学非常勤講師として「ノンフィクション論」等を語る。ラジオのパーソナリティやテレビのコメンテーターもつとめてきた。

藤井誠二の最近の記事